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私と吹奏楽(5)

中学2年生。
初めての後輩ができた。私に指導できることなんてあるのだろうかとも思ったけれど、それなりに指導できていたように思う。
1年生の頃よりも、鍵盤楽器やティンパニなど小さな打楽器以外を演奏する機会が増え、その分難易度も上がった。

5月頃、また予想外のことが起きた。同じパートの先輩2人が諸事情により、コンクールに出られなくなったのだ。だから、私は実力と関係なく、コンクールに初めて出場することになった。

コンクールは、順位がつく。遊びのように楽しんで演奏すればよい演奏会とは異なる。だから、懸命に練習するしかなかった。行きたかった映画のエキストラにも行けず、遊びにもほとんど行けず、朝から晩まで毎日のように練習していた。

朝5時起きで学校へ行き練習→午前の授業を受ける→昼休みに練習→午後の授業を受ける→部活の時間+放課後に練習
そんなスケジュールをこなしたこともあった。

コンクール当日のことは、よく覚えていないが、緊張はほとんどしなかった。緊張はいつもしていなかったような気もする。ステージに立てば、演奏のことで頭がいっぱいだった。おそらく、今までしてきたことを、そのまま表現したのだろう。特に大きなミスもなく演奏を終えた。

それから少し時間が経ったある日、部活中に今までほぼ感じたことのない身体の異変を感じた。熱を測ると微熱だったが、その日は最後まで部活に参加した。
その日から毎日身体がだるく、熱っぽい日々が始まる。音や光にも過敏になり、部活に参加できる日が減っていった。

そんな日々が1週間ほど続いたある日、部活に一切顔を出さなくなった。部活どころではなかったからだ。その日から、私の学校生活から音楽が消えた。学校は勉強をするだけの場所になった。(たまに友達と話すことくらいしか楽しみがなかった)



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