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DEEP!DEEP!DEEP!

【DEEP JAPAN ULTRA100】
🏁 @deepjapanultra100
⛰️ @matsunaga.hiroaki

■距離:100mile(約160km) ■累積標高:約D+10,000m

■結果:総合6位 タイム:31時間58分38秒

■レース前
「自分の初100mileレースになる」そう思ってエントリーした今大会。
仲間をサポートしてたら、制限時間ギリギリでゴールすることになった初100mile(タイ)。
メディアとしてランニングカメラマンとして女子優勝を追い撮りした100mile(球磨川)。

「自分の為に走る」ということへの不安
サハラで痛感した「メンタルの弱さ」
それでも累積10,000mを超える100mileで、自分を試してみたかった。

と言いながら、それ以前に不安要素が盛りだくさんだった。笑
・1人の夜が怖い(めっちゃビビり)
・時差ボケやばい(レース2日前にカナダから帰国)
・サハラ以降、全然練習できてない

完走できるのか?
準備は万端か?
否、それでもここ一年を振り返って、万全で臨んだレースなど無いことを思い出す。
いつも通り。
準備が100点かどうかは本番で120点が出ないとわからない。

6/23(金)早朝に車を走らせ3時間、会場へ向かう。

■6/23(金)11:00 スタート〜CP1
1人で会場に来るのも久しぶりだ。
@ikuta_asaren のひろこさんに会い、
タイでご一緒した @jin__san さんと再会し、緊張がほぐれる。

マラソンやショートレースの張り詰めた空気と緊張感とは違う、
少しゆったりとした空気とその中にあるずっしりとした緊張感。
たくさんの応援とボランティアの方に見送られスタートする。

このコースは大きく1,000mUPが3回、スタートしてすぐその一つ目を迎える。
感覚的にはスピードハイク。登山をしている感覚で登っていく。
前日からの雨のせいか、スタート3kmで沼にハマる。

一つ目の1,000mUPを終え、下る。
ぬかるみを見極めながら慎重に降りる。
怪我はできない。
ロードに出ると、BIBNo.1の選手が歩いていた。
100mileのまだたった10kmほどの地点。
トップクラスのダウンヒルは見ていてもヒヤヒヤするようなスピードだ。
その中でアクシデントがあればひとたまりもないだろう。
でも、それが速さであり強さなのだろう。

しばらくはロード区間を走る。
雨が降ってくる。
走っていたこともあり、心地よい。

■CP1〜CP4
CP1(20.4km)を出て、山道へ入る。
ちょっとした山道すら鬱蒼と生い茂る草木に囲まれ、一気に山の奥深くに来たような、そんな気持ちにさせられる。
雨が強くなる。
この時すでに15時を回る。
これ以上体を冷やしては夜がもたないと不安になり、レインを羽織る。

が、前週のカナダで使って、干しただけの状態だったので、やや臭う。。
カナダも雨のスキー場だったため、ぐちゃぐちゃ。結果レインも汚れたまま😇
撥水効果などほぼなく、一気に水浸しに。

このまま夜を迎えて寒さに耐えることができるのか、不安が過ぎる。

ここで @yamazaki_niku @soramido_yakushima と合流し、CP2(35.1km)を通過
2つ目の1,000mUP守門岳を目指す。
登りが始まる。2人はポールを使いサクサクと登っていく。
息が上がり、足が重くなる。
次第についていけなくなる。
今回に合わせて修理に出したポール。
最近はトレイルも撮影が多く、ポールを持つ機会も少なくなって練習もできていなかった。
当然うまく使えない、脚で登ろうとするもついていくには練習量が足りていなかった。
ここで、後ろから3人くらいに抜いていかれる。

なかなかつかない山頂、濡れて滑る山肌。
気持ちが折れそうになる。
「マイペースにいこう」
TOP10で入賞と知り、密かに目標としていた。
しかし、2つ目の登りにしてこのザマ。
オーバーペースでは無かった。
むしろ、ついていけなくて当然。
「ここは耐える、遅くても進もう」
そう切り替えて、黙々とCP3(46.1km)大岳を目指す。

稜線に出ると、残雪のトラバースが待っていた。
自然とテンションが上がる。

CP3から下り、難所の一つが待っていた。
雨と人とでずるずるになった道を同様にずるずるになりながら滑り降りる。
なるべく滑らないように慎重に進むと、後方から選手が何人も猛スピードで滑り降りてくる。
そこにインドから来ていた @runner2207 もいた。
彼とはこの山の前で会っていて、今日は抑えて明日に備えると言っていた。
前を譲った後、追いかけようとするも鈴の根が遠くに聞こえるだけで姿は見えなかった。

そして、CP4(58.1km)に着くまでに日が暮れ、20回以上渡渉を繰り返し、ようやく辿り着いた頃には21時が迫っていた。

■CP4〜CP5
速報で15位と知る。
TOP10を目指すには、1時間差の開いた @yamazaki_niku @soramido_yakushima このグループを追いかける必要があった。
CP4で豚汁を汁だけいただき、次へ進む。
このエイドで1人、奥で座って休んでいる選手がいたこと、エイドを出てすぐ、引き返してくる選手がいて、おそらく13位まで浮上したと心の中で思った。
そして、CP5でさらに数人抜かせると確信していた。

CP5(76.5km)は1回目のドロップバッグ。
それをモチベーションに進んだ。
初めての夜のソロトレイル。
入り口には熊注意の看板。
熊鈴を手に持ち、力一杯鳴らし続けながら、進んでいく。
…怖い。
それでも進まなければならない。
この時考えていたことは、数字だけだった。
標高何mまで登れば下に入るか、距離にして何kmか
下に入ったらCP5まで何kmか。ロード区間はあるか。
とにかく数字に集中して、怖さを紛らわせた。

山区間を終えて、林道のアップダウンに入る。
緊張と集中のしすぎか、一気に睡魔が襲ってくる。
その時 @ikuta_asaren メンバーから連絡があった。
「ひろこさん総合20位で女子TOP!」
目が醒める。
すごい!と同時に追いつかれる、と思った。
止まっていた足が動き出す。

林道区間で少しロストしたと言っていた前を走る選手と合流した。
前に出れば12位。
そのままCP5まで先をいく。
速報ベースで、TOP10圏内との差は1時間のままだった。
一瞬、落ち込みそうになるも「差が開いていない」ことを喜んだ。

■CP5〜CP6
CP5到着時時間「0:10」レース開始から13時間が経過していた。
案の定、CP5には4人ほど選手がいた。
その中には @runner2207 もいた。
1人はリタイアを決めていて、1人は先に出ていってしまった。
最低限の準備だけをして、次へと向かった。
今大会では、この先もアームカバー以外の着替えをしていない。
上から下まで汗も雨も泥水もかかっている状態だったが、後半も同じことだろうと着替えに割く時間を削った。

その結果、CP5を出た時点で9位まで浮上した。

先に出た選手を追い、走る。
CP5直後の山の下で前の選手を捉えた。
しかし、向こうもこちらに気づいたようで、引き離される

その先は送電線巡視路がいくつも続いていて、
道?と疑いたくなるような山の中を登っては、送電鉄塔の下に出て、
これまたずるずるの下り道を周りの草木を握りしめながら、
時に尻餅をついて下っていく。
そして、また次の送電鉄塔へ向かう。

まるで同じ場所をずっとループしているかのような錯覚に陥るコースだった。
その間も少し先に前の選手のライトが見えることをモチベーションに、進み続けた。

結局、前に追いつくことはできないままCP6(87.1km)が近づいてくる。
山を抜けたあたりで、そういえばこの辺りからヒルゾーンだったような…と足元をライトで照らす。
足元で無数のヒルが蠢いていた。

「”#$%&’!???」

声にならない奇声を上げながら、夜道の真ん中でヒルを払い除けた。
近くの人が見たら、確実に僕の方が怖かっただろう。

コンクリートロードに安心しながらCP6へ到着。
ここで、CP5で食べ損ねたと思ってしまっていたラーメンを頼んで食べてしまう。
エネルギー補給になったが、CPに時間をかけすぎてしまった。
おそらく夜間のソロ山行とヒルとの遭遇に精神的に疲れ、休息が必要だったのだろう。

■CP6〜CP7
CPを出る時におそらく @runner2207 がCPに入ってくるのが見えた。
やはり、休みすぎたかと思い、急いで先へ進む。

山に入り登っていると早速後ろからライトが見える。
「もう来たのか!?」
と思っていると、さっきまで僕が追っていた前の選手 @morihikooota だった。
CP6を出て、少しロストしていたらしく僕が先をいく形になっていたようだ。

そこからは付かず離れずの距離で2人で走り、朝を迎えた。
@morihikooota が眠くなったので、ペースを落とすと言い、先をいくことに。
このCP6〜7の区間が一番ヒルが多く、川沿いを10m行けば1匹ついてくるみたいな感覚で、最初は気持ちが悪くて毎度払っていたものの、腰を曲げてヒルを取る行為に苛立ちと疲れを感じて、しばらくして諦めた。

靴下を引っ張り上げて上からカーフカバーで覆う。ヒルが付くことは防げないが、大胆に血を吸われることもないと思い、時間短縮のためにヒルを無視した。

この辺りから、下り道のアドベンチャー感が爆上がりで、足元にはヒル、左は崖、道はぬかるみ、頭上には木の枝と、全てをかき分けながら何度も滑落しそうになりながら進んだ。
この時はもうホント勘弁してくれと思った。

ようやくCP7(100.8km)に着き、足元に塩を撒いてくれて着いていたヒルを一掃してくれた。
次のCPで北エリアの周回が終わる。
距離は10km弱だがTOP選手でも2時間半かかったらしいと言われた。
自分に置き換えたら+1時間以上はかかるだろうと、ボトル2L満タンにしてCPを後にした。

この時、ストーリーで速報9位とアナウンスしたが、実際は @oota さんの前にいたので、8位だった。
そして、前の選手は30分前くらいに出て、さらにその前は4,5人のパックになっていて賑やかだったと言っていた。
@yamazaki_niku @soramido_yakushima の2人がいるパックだ、そう思った。

■CP7〜CP8
累積10,000mを超えるレースで、1,000mUPは3つ、ということはそれ以外で合計7,000mの登りが散りばめられている、それは一つは送電線巡視路だったり、この先の壁のような急登の山、粟ケ岳もその一つだった。
気を抜けば、重力で落ちていきそうになるのを手足4本で山を掴み、登っていく。
何度時計を見ても、一向に距離が進まない。
それでもまだ登りはマシだった。

下りは虎ロープを掴んでいても、ぬかるむ足元に一度足を取られると落ちるように下っていく。
唯一の救いは、この山域にはヒルがいないことだった。

命からがら山を出て、CP8(110.3km)2度目のドロップバッグに戻ってきた。
ここで、GARMINの充電が心配になり、食事の合間に充電をする。
時刻は6/24(土)の朝9時、スタートから22時間が経過していた。

ここでは、制限時間の関係で北エリアに行けず130kmコースとして引き返す選手が何人かいた。

次のCP9(115.8km)までは5.5kmのロード。
ゴールまでは約50km、でも予定の累積10,000mまではまだ4,000mも残っていた。

■CP8〜CP10
CP8を出て、ボランティアの案内に従い舗装路を渡る。
ちらっとGARMINを見た時に違和感があった。
二度見する。動いていない。
なんのボタンを押しても、変化がない。

GARMINが止まった。

おそらく、手首の汗や水が充電口に残ったまま充電をしようとしたために、フリーズを起こしてしまった。

急いでiPhoneでGARMIN再起動のやり方などを探す。
結果、ボタン操作だけでは難しそうなことがわかり、ルート案内をiPhoneのジオグラフィカ一本に切り替える。
幸い、電波のあるロードのため、調べるだけ調べて諦めた。

道迷いさえしなければ、ゴールまで行けないことはないだろう。

急に晴れた空を鬱陶しく感じながら、緩やかな登りのロードを進んでいく。

CP9(115.8km)に着くと、選手が他にもいた。
各エイドで少しずつ眠りながら進んでいると言っていたので、130kmの折り返し組と思っていた。

彼が先に出たのを追うように、引きづりそうになる足をしっかり上げて、一定のペースで進んでいく、もGARMINがないのでペースはわからない。

前を走っていた @kj_hotsprings に追いつき、160kmコースであることを確認して、さらに前に出る。
この時点で順位は7位まで浮上した。

残るは前のパックで走る集団、ここに追いつけるのか、、遠いと思うと、どうしても後ろに追いつかれるのではないかという不安の方が強くなる。
それでも意識的に「後ろから逃げる」ではなく「前を追いかける」と自分に言い聞かせて進んだ。

■CP10〜CP12
CP10も早々に通過して、最後の1,000mUPへ挑む。
ピークの大岳までの前半は急登で後半はドロドロだった。
この急登がまた、全てに馬の背という名前がついても良いくらいの急登で、何度も立ち止まっては汗を拭いながら進んだ。

今の順位は決して安心できるものじゃない、15位から少しずつ上げてきたものの、すれ違い、共に走ってきた選手はみな強者ばかりだった。

それでも、InstagramやLINEで応援してくれているみんなに応えたいと脚と気持ちを前に進んでいく。

この日は晴れていて、DEEPな新潟の山々が綺麗に見えていたが、前日のように写真を撮ったりしている気持ち的な余裕は無かった。
(撮ってました笑)

やっとの思いで2度目の大岳(CP11)129.9kmへ到着する。
時刻は6/24(土)の14時前
スタートから27時間が経過していた。

ここまで来れば、次のCPまで下りだ。
そう気が緩んだのも束の間、目の前には黄土色に光るツルツルの山肌だった。
駆け降りることは到底できない。
それでも、いつ後ろが迫ってくるかわからない。
そんな時だった。

後ろから熊鈴の音が聞こえる。
この熊鈴の音には聞き覚えがあった。

まさか彼が一番に復調し戻ってきたということか!?

まだ、相手から自分が見えているかはわからない。
気持ちだけでも急いで、少しでも早く降りていく。
とは言え、集中力も限界が近く朦朧としてくる。

ここが踏ん張りどころだ、そう言い聞かせ、後ろとの距離を熊鈴の音の大きさで感じながら、降りていく。

チラッと後ろを振り返る、確実にトレイルランナーが迫ってきていた。
しかし、一緒に走った人も追い越した人も服装や顔も細かくは覚えていない。

一体誰だ!?

気がつくと後ろに着かれていた。
仕方なく前を譲ろうとするも、「大丈夫ですよ」といやに謙虚だった。

分岐に着いたところで、「頑張ってください!」と声をかけられる。

ずっと選手だと思っていた彼は、大岳で知り合いの応援をしていたという青年だった。

一気に緊張が緩まる。
山道を出て、ロードの道を走る。
彼が選手でなかったことが、僕に油断を与えた。
その先のロードは他よりも気持ちゆるゆると進んでしまっていた気がした。

■CP12〜CP13
CP12(141.0km)に着くと、 @yamazaki_niku と @rmrm1121 がいた。
僕が7位、彼らが5位6位だった。

ついに捉えた!そう思った。
しかし彼らはもう出る頃で、僕は最後の補給におにぎりや豚汁をいただき、最後20kmに向けて準備を進めた。

そして、彼らに追いついたということが、完全に後ろを引き離すことに成功したと僕に勘違いをさせた。

水を浴びて、さあ出ようという時に @runner2207 がCPに入ってきた。

さっきの僕と同じ状況だった。
そして、 @runner2207 は前日に2日目に上げていくと宣言していた。
彼はまだ走れる、このままでは追いつかれる。
そう思い、焦る気持ちと共にCP12を後にした。

前の2人は僕が来たことで僕を引き離すため、先を急いだようだった。
それは僕も同じで @runner2207 から距離を取るために何度も後ろを確認しながら前に進んだ。

しかし、ここで脚に限界が来た。
登りではポールを使って歩くのが精一杯で、いつ後ろに追い付かれてもおかしくない状況だった。
そんな中、次のCPまで約12kmを進んだ。
一向に前の2人は見えてこない。

CP前の最後の山を出た時に、 @hydipeterson がいた。
「意外と(前2人と)近いよ!」そこまで離されていないことに安堵しつつ、なかなか動かない足をなんとか最後のCP13(153.4km)まで運んだ。

その時も最後の最後まで、後ろがついてきていないか、確認しながら進んだ。
一度もその影も形も見ることはなかった。
やはり @runner2207 は追ってきていない。

「大丈夫」

そう自分に言い聞かせていた。

■CP13〜finish
CP13に着くと、また前2人が出て行くところだった。
ゴールまで残り8km。
ボトルに水だけ入れてCPを出る。

少し前に2人が歩いているのが見える。
でも脚は重たいままだった。

このままゴールすれば7位。
上出来過ぎる。
前2人も僕が前に行くことを許さないだろう、それならば7位を受け入れよう、そう思っていた。

林道の入り口に入る。
ここを登って降りれば、残るはゴール前の坂を登るだけ。

コンクリとは言え、今の僕の脚には坂道ですらキツかった。
ポールをついてなんとか進んでいく。

その時だった。

2人、後ろから走ってきてる人がいる。

混乱した。
最初は、幻覚を疑った。
次には、前の2人を抜かしたのか?とあり得ない錯覚をした。

だが、彼らはこの登り坂を走っていた、ポールも使わずに。

8,9位だった。
1人は @runner2207
もう1人は…おそらく @kj_hotsprings そう見えた。

現実として受け入れた瞬間、僕は脚の感覚を失った。
ポールを使い、飛ぶように登り坂を駆け上がる。

コーナーを曲がると前の2人が見えた。

「後ろから2人、来てます!」

2人も当然驚いていた。

一瞬「このまま仲良く5人合流してみんなでゴール🙌」
なんて妄想を抱いた。

しかし、彼らは走ってきている、僕らを超えてその先のゴールを目指して。

この最後の林道に5位〜9位、確実に入賞できることは間違いない。
僕は考えた。

追いつかれるまではあっという間だった。

横並びになる。
後ろから来た2人は圧倒的なスピードで登っていく。

着いていけるペースなのか?
あと、何キロあるのか?

時計が止まった僕には知る由もなかった。

ならば、着いて行くだけ。
千切られないように喰らいつく。

気が付いたら3人になっていた。
それでも油断はならない。

このアップダウンの後、ゴール前にも400mくらいの坂がある。
そこが最後の勝負。

そこに向けて、少しでも脚を温存しようとポールを使って走った。

林道を下り切る。
後は見えてこない。

この3人で勝負。
そう思った。

間も無くして、ゴール前の坂が見えてくる。

とその時だった。

「バキッ‼︎?」

使っていたポールがコンクリに挟まり、1/3が折れて外れた。

「嘘だ…」

最後の頼りのポールを失った。

この瞬間に前の2人と数十メートル離れてしまう。
急がないと。
こうなったら、自分の足だけで駆け上がるしか無い。
ポールをしまおうとするも、走る速さに収納できない。

そしてまた、前との差が開いて行く。

収納は諦めて、ポールを持って走る。

坂手前に誘導の方がいた。
絶対に「なんでポール手に持ってるだけで使わないんだろう?」と思われただろう笑

なんとか、坂に入る前に前に追いつく。

しかし、既に最後の勝負は始まっていた。

@kj_hotsprings は @runner2207 を置いて、少し前を走っていた。

一旦、 @runner2207 の後ろに着く。
前に出ようとしても、身体で遮ろうとしてくる。

@kj_hotsprings はさらに前へ行く。

このままでは7位だ。
ここまで来て、それでいいのか?

もう一段階、脚を強く蹴る。
@runner2207 に並び、一気に抜き去る。

3人が約5m間隔で縦一列。

もう @runner2207 が追ってくる気配はない。

しかし、途端に足が重くなる。
ギアを上げるのが早すぎたか!?

まだ登り坂は終わらない。

心拍が高まる。

登り切ればその先はゴールまで100mもない。

前との距離が少し開く。

6位、ここまで来れた。

でも、どうする?

行くしかないだろ!

登り坂の終盤、ダッシュに切り替える。

足音とザックに入れた熊鈴が激しく鳴る。

その音に気づいたのか @kj_hotsprings が振り返る。

彼もダッシュに切り替える。

ゴールまで残り50m
追いつけなかった。

その差、僅か2秒。

とてつもなく遠かった。

僕は最後の8km、追いつかれてから頑張った。
でも彼はその前からずっと走り続けてきていた。
凄まじいタフネスだ。

僕らが急にゴールしたもんだから、後から慌ててスタッフがやってきた。

僕は椅子に座り込んだ。
でも不思議と安心した気持ちだった。

32時間動き続けて、ゴール直前こんなに走れるのかと自分でも驚いた。

この100mileラストのデッドヒートは、今後レースで足が止まってしまった時や苦しい時、辞めたい時に僕を支えてくれる経験にきっとなる。

一緒に走った4人に感謝。
ありがとうございました🙇‍♂️
@kj_hotsprings
@runner2207
@yamazaki_niku
@rmrm1121

今大会では自分のメンタルの成長を感じることができた。
「マイペースに」
「後ろから逃げるのではなく前を追う」
この2つをずっと意識して走った。

これは、サハラや球磨川、ハセツネ30Kなど常に勝負を意識して走る @tomomi_challenger の走りを近くで見ていて感じたポイントだった。

これは今後も意識して走っていきたい。

本当にこんなコースもレースもDEEPな大会、日本じゃ他にない。
レース翌朝には「また走りたい。」
そう思ってしまった僕は、もうこのレースの深みにはまっているのかもしれない。

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