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44arts|東洋の医・健・美(東洋文庫ミュージアム)+六義園

東洋文庫ミュージアムと六義園に行ってきました!
2施設+旧古河庭園を紹介した記事はこちら↓

この取材の際、東洋文庫ミュージアムの広報さんから「この夏の展覧会には美顔器が出る」とお聞きして、気になったのでやってまいりました。


チケットの表裏(マルコポーロはミュージアム・ショップの名前)

今回は東洋文庫ミュージアムにて、六義園とのペアチケット1,000円を購入しました。140円お得です!
東洋文庫ミュージアムのチケットはシールになっているので、服やカバンなど見えるところに貼って入場します。

深くて広い東洋文庫

オリエントホール

1階のオリエントホールでは、企画展に関連した資料の展示(まだ企画展ではない)をしていました。明るい吹き抜けの空間に、世界各国のお風呂文化に関する資料が並びます。

お風呂と聞くと、日本の温泉や「テルマエ・ロマエ」、なかにはトルコ風呂を思い浮かべる方もいるかもしれません。それとフィンランドのサウナでしょうか。
それくらいしかないのでは……?

ところがどっこい! パキスタンにあるインダス文明のモヘンジョ・ダロ遺跡では、家風呂の跡が見つかっています。日本で一般家庭が家風呂を持つようになったのは、近代になって集合住宅ができたり水道が整備されたりしたあとなので、驚くべき早さです。

東洋文庫の所蔵資料には、挿絵や写真の入ったものも多く、漢文やくずし字、外国語が読めなくても見応えがあります。

モリソン書庫

誰かかっこいい撮り方を教えてほしい

2階に上がると、東洋文庫ミュージアムの顔・モリソン書庫があります。ここにある本はすべてお飾りではなく、列記とした資料です。

東洋の医・健・美

企画展のご挨拶からは、来場者へのフレンドリーさがうかがえます。優しい……けど、もう若くないんだからみたいな気遣いも感じる。

今回の企画展「東洋の医・健・美」では、古来アジアの人々がどのように不調や怪我、 病気と向き合ってきたのか—呪術や呪いから、薬草やお酒・お茶、健康体操、解剖まで—東洋文庫が所蔵する医療史の名著でたどるものです。
普段は所蔵資料をメインに展示を構成していますが、今回は研究員(学芸員でなく、センターを利用している大学教授などの研究者)が所有するモノも展示されています。

知恵や知識を伝える紙資料

『小宇宙鑑』

この17世紀ドイツの解剖図は、しかけ絵本のようにめくることができます。
巧みに股間部分が隠されていますが、医学書なので露わにしたほうがいいのでは。でも当時の医者は大体男性だから、わかるだろうってことでしょうか。

『喫茶養生記』

『喫茶養生記』は、禅僧の栄西(えいさい、ようさい)が著した日本初の茶の専門書です。これは上巻で、健康増進に効果のある茶について書かれています。下巻は桑には病気を治す効果があると記され、上下巻合わせて『茶桑経』と呼ばれています。

研究員が持っているモノ資料

社長がコリコリしてるやつ
籐編みの枕もそっくりの形をしていますよね

主に近現代の中国の資料でしたが、さすが4000年の歴史といったところ(いつまで4000年と言っていいのだろうか)。

くだんの美顔器はヒスイ製で、一時期流行った、二股で金属やプラスチック製の頬をコロコロするタイプのものでした。
ヒスイというだけで効きそうです。

東洋文庫ミュージアムの展示は、キャプションを読んでは「ほほう、なるほど」と得るものが多く、挿絵や図、地図の入っているものも多いので、紙資料だけでも十分楽しめます。
今回はモノの資料も加わり、より立体的な展示になっていると感じました。

雰囲気のあるミュージアム施設

東洋文庫は、東洋についての書籍を所蔵する研究センターとして約90年におよぶ知の集積を活かしながら、ミュージアム活動によって資料の重要性や価値、研究者や収集者の情熱を伝えています。

ミュージアム・エリアには、前述のモリソン文庫のように、東洋の叡智を集めた書物の世界に来場者を誘うための工夫が随所に見られます。

キャッチーなキャプション

十二星座のモチーフと宝石を組み合わせたお守り
スマホで写真撮るのヘタえもん

キャプションとは、展示品の横にある解説のことです。資料名と著者・年代の下に黄色でキャッチーなコピー(つまりキャッチコピー)が書かれ、やさしい文章の解説が続きます。価値の高さや重要性を説明するのではなく、基本的な情報が書かれていますね。
このセリフは多分、セーラームーンだと思う。

回顧の路

古の時代にタイムスリップしそうな「回顧の路」は、近未来的なかっこよさ。

奈落の底に続いているかのように見える床は、「クレバス・エフェクト」という鏡を使った仕掛けです。実際には10cmほどの深さだそう。
韓国の現代美術作家イ・ブルの作品にも、似たようなものがあります。

レトロな展示ケース

レトロで趣のある展示ケースも、展示品とマッチしていますね。内部にLEDが仕込まれていたり耐震構造になっていたりはしないので、そうした不安は、中の人的にはあるかもしれません。

知恵の小径

ミュージアムとレストラン「オリエント・カフェ」をつなぐ中庭には、アジア各地の知に関する名言が原語・日本語で書かれています。
取り上げられている国や使われている文字はさまざまで、アジアは広大で多くの国があり、多様な文化が育まれているのだと気付かされます。

他にもいろいろあるのですが、公式ウェブサイトからたどるのが難しい(多分無理)なのでリンクを置いていきますね。

東洋文庫ミュージアムという施設名や内容からして、激渋なイメージを持たれる方も多いかと思います。けれど、スタイリッシュな展示空間と、ユニークでわかりやすいキャプションのおかげで、わからない・つまらないということはありません。

中学生くらいのお子さんや若い方も充分に楽しめるミュージアムです。
薄暗く雰囲気もあるので、意外とデートに最適かもしれません。

六義園に涼を求めて

東洋文庫ミュージアムを出ると目の前に木が茂っているのが見えますが、そこが六義園です。本当に目と鼻の先!

六義園は、五代将軍・徳川綱吉より下屋敷として与えられた土地を、柳澤吉保が自ら設計・指揮して造り上げた庭園です。紀州(現在の和歌山県)にある和歌の浦や和歌に詠まれた名勝を表現していることから、「和歌の庭」とも呼ばれます。

友人と浴衣デートしました

8月半ばの訪問でしたが、木陰と水辺があることに加え、地面が土だったので、大分暑さも和らいだ感じがしました。
オープンエアで細かい砂利を踏む音も心地よく、本当にお庭はオススメ。

園内の吹上茶屋で、冷やし抹茶と和菓子をいただきました。アサガオがこしあん、青もみじがゆずあんです。
ちょっとだけ半分こしました(それは半分こではない)。

今回は猛暑で断念しましたが、気候のいい時期であれば駅の反対側にある旧古河庭園にもぜひお越しください。

そもそもの入館料・入園料もお手頃ですが、ペアチケットやぐるっとパスを使えば、さらにお安く回れますよ!

よろしければサポートをお願いいたします。いただいたサポートでミュージアムに行きまくります!