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「お別れ?どういうこと!?」

彼の言葉の後、すぐ間髪入れず僕の声が飛び出していた。
ここまで来てやっと僕も彼に興味が出てきたところなのに、急にお別れだなんて意味がわからない。

「君の方デ物音がシたんダ、誰か近づいテきてイルんじゃないカナ?」

そう言われてハッとした、窓の外を見る。
そこにはアウトドアチェアで寝ていたはずのパパが起き出していて、どうやら僕の姿を探しているようだった。

「僕モソうだけド、君も誰カに内緒で交信シテるんだロ?バレたらマずいよネ。特二こっチハ10987K1Dナんてイう離レタ星と交信シてるナンてバレたら怒らレるジャ済マないかラね」

彼の声を半分で聞きながら僕を探しているパパの姿を目で追うのにも必死で、話している内容はほとんど入ってこない。

「と、とにかくそうしたらまた今度話そうよ、来週ならできると思うから、多分」
「いヤ、それハ無理だ。モウ君とハ話せなイ」

冷たい言葉が僕の胸を突き飛ばす。
同時にパパが僕を探して名前を呼び始めたが、その声はもう僕の耳にほとんど届かない。

「こンなに遠いトコろと交信デきたトいうこト自体奇跡だし、さっキモ言ったミたいに危険なコとでもアルんだ、ゴめんよ」

何を言っているのかよくわからない。
でも混乱している頭でも、とにかくやっと仲良くなれた彼ともう二度とこうして話せないんだということは嫌でもわかる。
漠然と、でも確かにそういうことなんだ。

「なんで、どうして…?」
「君ハどうイウことかワかっていルはズだよ、セっかく仲良クなれタノにボクも残念ダ」

パパの声がだんだんと近づいてくる。

「でモ、そウダな、もシ10987K1Dの…地球のテクノロジーが発達シて、君がこッチに直接来らレルヨうなコとがあるなラ、その時はマタ会えるネ。直接会うナラ誰も何も言ワナい。こっチの方にハ知的生命体のいル星もタクさんアるし、友達もタくさンできルヨ。だかラ泣カナいデ、君がソう願ウならキッとこれガ最後なンかじゃナイ」

気づいたら僕は泣いていた。
声は出ないまま、涙だけが流れていた。

「じゃあ、会いに行くよ、絶対いつか君のところに行くよ」
「うん、ワかった。チナみにボクの星ハ1E2Iといウ名前だ、知的生命体のイル星なラどこ二言ってもこコがわカル、そコら辺で聞いてみルトイい」
「…うん。うん」

パパがキャンピングカーの近くまで来た、同時に彼とのお話も終わりの時だ。

「ジャあまたネ、ボクの友達、ユースケ、イツか会いにオいでね。ありガトう」
「必ず、僕は君のところへ行くから、絶対に行くから!」

僕がそう言うと、微かに優しい笑い声が聞こえた気がした。
その瞬間、すごい剣幕でキャンピングカーに駆け込んでくるパパ。
機械を弄っていたことも、パパの近くを離れたことも、当然たくさん怒られた。
あんなに怒っているパパを初めて見た気がする。
それに、泣いているパパは間違いなく初めてだった。

以来、機械は今まで以上に厳重に保管されて、僕は見ることもできなくなった。
でも僕はそもそも弄る気すらなかったんだ。
だって、そこに彼はいないから。
彼は、あそこにいるんだから。




それから時が経つ。
「俺行くことにしたよ、父さん」

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