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#2)Luc Tuymans-感性のうつろな画面

リュック・タイマンス(Luc Tuymans、1958- ベルギー)

アーティストであり、映画、写真、そして、画家である。アントワープ(Antwerpen-オランダ)在住。
室内、家族写真、壁紙の模様などの日常的なものから、ホロコーストなどの歴史的事象まで、幅広い対象を描く。
そして、
そのコンテンツについて、もう少し追記すると・・・
タイマンスの作品は、雑誌やスナップ写真などの日常的にありふれたイメージをもとに描かれているものが多い。
(その為、2012年、絵画の元となったベルギーの政治家の肖像写真の著作権をめぐって裁判となったこともあった。)
人気の無い室内、音や動きのない、無表情な、穏やかな透明感と漠然とした不安感、無機質的な印象、また、我々の意識の奥の記憶を呼び起こす。

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リュック・チュイマンス。「動物園」2011

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(c)Luc Tuymans

それらのコンテンツは、固定的な解釈によって括(くく)られることなく、概念の中を浮遊し続けるようだ。
また、タイマンスの絵画には、戦争やホロコースト等の悲惨な歴史に言及した作品も多くあるが、その怒りや悲しみ、苦しみ等の感情されも希薄になって、無機質な画面 として描かれている。それ故に事実が示唆する惨劇も、より大きな戦慄を感じるのかも知れない。そこには、シニカルな(自己中心的な皮肉)感情はないだろう。
タイマンスの鋭い感性のフィルターを通してピックアップされた日常的イメージの断片や歴史、それらのタイマンスのうつろな画面が伝える。
現代美術の表現形態がめまぐるしくシフトする現状に、改めて絵画という表象の意義、また、人と美術との関わり、そして、今後のあり方等、問題を投げかけられているようにも感じる。
そして、それらは詳細は、その作品が、観る人、それぞれに語っている・・・

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(c)Luc Tuymans


Marlene Dumas en Luc Tuymans bij galerie Zeno X 2015

Luc Tuymans interview | "Body"




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