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この人に描いてもらいたい!ローランサンの魅力


絵画ジャンルの一大勢力を誇る肖像画。肖像画を手掛けた画家は数えきれないほどです。
そんな中でも、私がもし肖像画をお願いするなら(実際にそんなことはできませんが)、ぜひこの人にという画家がいます。

マリー・ローランサンです。

マリー・ローランサン(1883-1956)

パリで私生児として生まれる。パステルカラーを使ったフェミニンな画風で知られる。

ローランサンは社交界の女性たちに大人気でした。彼女に肖像画を描いてもらうことが一種のステータスになっていたそうです。
女心をがっちり掴むローランサン。その魅力に迫ります。

似てないからこそ

ローランサンはさまざまなご婦人を描いています。

『シャルリー・デルマス夫人』


『ニコル・グルーと二人の娘、ブノワットとマリオン』


中でも有名なのが、ココ・シャネルの肖像画です。

『マドモアゼル・シャネルの肖像』


でも、実際の写真と比べてみると…

絵も写真どちらも素敵です!


正直あんまり似てないですよね。タイトルを見ずにモデルを特定するのは難しいかもしれません。

白い肌、黒目がちの瞳、ピンクの唇…ローランサンの描く人物は、みんな似たような感じで、モデルの個性はあまり強調されません。
だからこそ、ローランサンの絵の中では誰もが雰囲気美人!元々の容姿に関係なく、どんな女性も魅力的に仕上げてくれます。

可愛さの中のエレガンス

ローランサンの絵はフェミニン&愛らしさ全開!でも、単にブリブリしているわけではありません。

『羽根飾りの帽子の女、あるいはティリア、あるいはタニア』


『白い羽飾りの黒帽子をかぶった乙女』


カラフルなパステルカラーが使われていますが、薄塗りなので色の主張は控えめです。しかも、基本の色調が無彩色のグレーなので、大人っぽく仕上がっています。
背景もあまり描き込まれず、画面はスッキリと洗練されています。
全体的に上品な仕上がりです。

ラブリーとエレガント、この両方を兼ね備えているところがローランサンの魅力です。大人の女性に好まれたのがよく分かります。

人を惹きつける独特の世界観

ローランサンの描く女性たちにはあまり現実味がありません。

『女性たち』


顔や身体はデフォルメされていますし、質感もほとんど感じられません。そのため、肉体というよりペラペラの紙みたいに見えます。
表情はほとんどなく、目もちょっとうつろ。彼女たちが何を考えているのかよく分かりせん。夢の中をふわふわと漂っているようです。

幻想的でミステリアスな女性たち。ミステリアスな人って、普通の人より印象に残りますよね。彼女たちの独特の雰囲気に思わず惹きつけられてしまいます。

可愛い、でもそれだけじゃない

20世紀フランス社交界のレディに生まれ変わったら、ローランサンに肖像画をお願いしてみましょう。
どんな人でも美しく、優雅に、魅力的に仕上げてくれることでしょう。

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