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『学校における働き方改革』について 文科省


 ▼ 学校における働き方改革推進本部 議事次第

 「学校における働き方改革に係る文部科学省の取り組み状況について」という内容の資料が2020年9月1日に文部科学省HPでアップロードされました。

 その資料の大まかな内容を4つに絞りまとめていきたいと思います。



1.部活動

 部活動は、生徒の自主的・自発的な参加により行われるものであり、責任感や連帯感の涵養に資するものであり、学校教育の一環として学習指導要領に位置づけられた活動であります。

 しかし、その実態は異なり、学校独自のルールのもと生徒全員の強制参加や部活動の転部のしにくさなど、学校が主導し管理するシステムになっているところが多いのではないでしょうか。

 また、生徒に部活動を強要するのと同じように、4月の人事発表の時には「どの部活希望ですか?」と部活動の顧問を引き受けることが前提とした人事がなされていることが非常に多くみられます。

 「自分は部活動やりたくありません」と発言しても、管理職に「生徒のために・・・」や「他の教員のことも考えて・・・」と言いくるめられ、結局やりたくもない部活動に従事しなくてはならない現状がつづていました。

 また、Twitterなどでも多くの教員の人が休日も含めて「毎日部活動で大変…」というような内容でツイートしている人が多く、部活動の休日のガイドラインがあるにもかかわらず「無視して活動をすることが生徒のためだ」と上の立場の人や熱血部活顧問の先生に言われ、いやいや毎日何時間も活動している人がいました。 

 文部科学省の資料にも、

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 と記されており、皮肉めいた文章だなとも感じてしまいました(笑)

 思わず「実際にはやりたくてやっているんじゃないよ!」と叫びたくなりました(笑)


 そんな部活動に関して、今回の資料ではこのように今後の方向性が示されています。

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 休日に部活動の指導にあたることは必要ないと明記され、また、従事したくない教員を休日に部活動の監督をさせることもよくないということも書かれています。

 これでやっと、休日が休日らしくなりますね…


 しかし、休日のみが外部委託されると、平日と休日の連携をどのようにして撮っていくかが課題になってくると思います。

 もちろん、学校の先生でも生徒指導的な側面が部活動にはあると考えている方が多いと思いますが、地域人材の方との認識のズレや指導方針のすれ違いで生徒や保護者は混乱してしまうことが出てくるのではないかと感じています。

 また、その連携のために平日の教員の勤務時間が伸びていては、なんの改革にもなりません。


 今回の方針は、まず第1歩としてポジティブに捉え、今後も部活動改革が継続されることを期待したいですね。



2.授業

 主に小学校における改革かなと感じられるものでした。

 令和4年度を目途に小学校高学年から教科担任制の導入が始まるというものです。

 正直、小学校の授業の勤務時間は休みなしのノンストップな印象です。

 つまり、毎日6個ほどの教科の違う授業をこなし、ほとんどの確率で同じ授業をすることがないということが起こっています。

 そのため、授業について検討するにしても、検討した授業を次に実践できる時がいつになるのかなと思うので、正直時間的にも労力的にも堪えると思います。


 また、小学校の先生を批判するつもりはないですが、日々たくさんの教科・授業をこなしているので、ある特定の教科の専門性という部分では欠けていると思うことが中学1年生を見るとよく感じます。

 「これ小学校のときにやったけど…」と教科を系統的に見る時間がないので、断片的な学習に止まってしまっている状況があると思います。(中学1年生の4月5月の授業で本当によく感じました…)

 やっぱり、小学校の先生でも自分の得意な科目で授業内容を検討し、その教科を系統的なつながりを児童に感じさせながら学ばせていくことが大事だと思います。

 

 今回、小学校高学年という中学校への準備段階ということで教科担任制に切り替わる目途が立ったのは大きな進歩だと感じました。

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 だた、教科担任制にした時には、授業数のバランスや使う教室の順番、教員のゆとりなどを加味しようとすると、導入当初は結構苦しい勤務になるのかなとも感じます。

 5教科では理科や英語、また4教科の技能的な側面がある教科では教科担任制はありがたいのかなと思います。

 今後どのように定着していくのか、また、小学校の教員の働き方にどのように変化をもたらすのかが興味があります。



3.教員免許更新制度

 以前教員免許の更新について記事を書きました。

 最低でも10万ほどが必要になってきます。

 もちろん実費ですよ。

 しかも30時間以上もの講習の時間があり、本当に学びたい講習を選ぶのかと言われれば、簡単で手軽に単位を取得できる講習を受けるということに重きを置いてしまっている人がいました。

 これは、研修自体が形骸化しているいい例ですよね。

 学級の班ごとの会議や班長会、学級目標など形骸化していることを児童生徒には言うのに、教師自身が形骸化しているものを変えようとしないのはいかがなものかと思います。

 そういった先生から、学級のことで形骸化していることを問題視してきたとしても、全く説得力がなくて残念だなとも思ってしまっています。



 さて、今回の働き方の改革の一つに教員免許更新制に関して以下のように書かれています。

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 ざっくりと読んだ感想を書くと、結局免許更新制度は始めてしまったことだし、後戻りできないから、別の方法も評価方法として取り入れて簡単に免許更新ができるようにしていこうという感じです。(※間違っていたらご指摘お願いいたします。)

 きっと教育論文や書籍の出版、学会などでの発表などがポイント制のような形である一定基準を満たすものに関しては、ポイントを付与して研修の単位として代替することができる感じではないかなと思います。

 このようなポイント制をとるのであれば、無駄な研修を実費でしなくてはならない状況を変えたいと思う人は、きっと自主的に研究を行うのではないでしょうか?(笑)


 


4.教員の魅力発信

 最後にこれは改革の蛇足とも思われる部分かなとも思ったので紹介します。

 下の画像の《普及啓発・魅力発信》という項目(線が引いてある箇所)についてです。

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 働き方改革を進めるなかで、魅力向上サイトを立ち上げるとあります。

 正直、後にも書きますが、教員の魅力はわかっているんではないでしょうか?

 魅力はわかった上で様々な働き方がある現在において、自分自身の ”生き方” や ”働く” ということについて考え、自分のキャリアを決めていくと思います。

 ということは、意図的に選択しないだけであり、魅力をいくら伝えても虚勢を張っているようにしか思えませんし、そこに予算を使うのであれば、もっと回すべきものがあるのではないかとも思ってしまいます。


 また、群馬の出退勤記録の隠蔽の事件があるように、結局の働き方が隠されている以上、働き手は減る一方だと考えるのは至極当然のことのようです。

 逆に、正確にパンフレットにすると叩かれます(笑)



最後に

 教員って自分でいろいろ考えてやれる、すごく楽しい仕事だと思うんですよね。

 魅力発信と言うけれど、その魅力は多くの人が感じているし、理解もしていると思います。

 でも、その魅力だけでは精神的にも肉体的にも続けることができないと言う方が多くいることを、全ての教員は知らなくてはならないと思います。

 そして、そうやって教員をやめざるを得ない状況で辞めた教員をせめてはいけないし、労働環境の改善していくことをやめてはならないと思います。

 給特法の今後の改正などに期待していきたいですね。


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