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卵の旬

冬は鶏が卵を生みません。

「そうなんだ~、寒いしね」

と、よく言われます。
いえいえ、そうじゃないんです。鶏は酷暑でも極寒でも卵を生みます。では、どうしてでしょう。

それは、日の出が遅くなり、日の入りが早くなるからです。日本古来の、二十四節気七十二候と言われる「暦」で、一番最後の「鶏始めてとやにつく」(鶏が卵を生み始める)は1月30日頃です。ちょうど、昨日が冬至でしたが、冬至を境とした約一ヶ月前後、鶏の産卵数がぐっと減るのです。

しかし、スーパーでは年中卵が売られていますよね。あれは、日の暮れるのが早くなってきたとき、鶏小屋に照明を入れるからなんです。そうすると、鶏は日の出も日の入りも分からないので、卵を生み続けてスーパーの棚も安定する、というワケ。でも、本当は今は卵の季節じゃないんですよね。養鶏業者さんはそれだと困るので、照明入れてますが、鶏にはオーバーワークなのです。

逆に、夏場なんか一羽が一日に一個の卵を生むので、卵カゴがすぐ卵でいっぱいになってしまい、近所に配りまくります。ところが、今の時期は、5羽いる鶏全体で一日に1個とか2個。一気に卵が貴重なものになります。

飼っているのはボリスブラウンという、沢山卵を生むように改良を重ねた、野生とはほど遠い品種。それなのに、ちゃんと太陽のことを分かって、そのように体が反応するのですね。鶏、すごくないですか?
でも、飼いはじめた初年度は知らなかったので、「あれ?最近生まないな」と、思ってたのです。それが、1月30日を境にまたガンガン生み出したのでビックリ!鶏もすごけりゃ、暦もすごいよ。ホント。

自然の能力ですごいと言えば渡り鳥です。「WATARIDORI」という映画をご存知ですか?フランス映画なのに、日本語のタイトルである、この映画は渡り鳥のドキュメンタリーです。季節が来たら目的地へ飛び立つ渡り鳥たち。地図も、コンパスもないのに、太陽や星などの天体を頼りに何千キロも山河や海洋を超えて行くのです。この映画のために、製作サイドは鳥と一緒にカメラを何度も飛ばして慣れさせた、というだけあって非常に美しく、また貴重な映像です。

そう思うと、スケールが違うとは言え、地上の鶏も、まだまだ原始の感覚を備えているのですね。人間にもそういうの、少なからず残っているのかな?


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