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観客数の推移から見るリーグワンの壁

2023年ジャパンラグビーリーグワンはクボタスピアーズが悲願の初優勝で幕を閉じました。うれしい反面、パナソニックの選手たちの涙や、浦安DrocksのDIVISION2残留など「あと一歩」というシーンも数々ありましたね。

その中でも特に「観客数」に注目するとかなり面白いことがいくつかあり、ここでも「あと一歩」という側面がたくさん見られました。昨年度と比較すると客足は伸びているものの目標とは程遠く、各チームでばらつきも見られました。
今回はリーグワンの観客数について私なりの調査と偏見を述べていきます。

昨年度比較

昨年の平均4,213人から約34%のアップ(DIVISION1の平均観客数は第10節までのデータ)
引用元:https://leadrugby.com/archives/2670

今年度目標


2020年度に出されている声明には「1 部リーグは、1 試合当たり15000 人の観客動員を目指す」と示されています。
しかしDIVISION1の平均観客数は第10節までのデータで平均5,648人となっていて実際は目標を1万人下回ります。

今年度実績


DIVISION1 平均観客数5744人
DIVISION2 平均観客数1739人
DIVISION3 平均観客数1437人
DIVISION1とそれ以下のDIVISIONの観客数も課題であると感じます。
この数値が均等にそろえば観客数も増加する「のびしろ」になるはずです。

一位のチームの要因

動員観客数一位のサントリーサンゴリアスはどのやうな工夫をして集客しているのでしょうか。私の視点ですが調べたことから要因を探していきたいと思います。

①地域や企業内での連携
2020年9月に港区、2021年4月に府中市・調布市・三鷹市と、2021年11月に東京都と地域社会の発展に関する包括連携協力協定を結ぶ。
そのネットワークと「サントリーらしさ」を活かし、サステナビリティ推進部協力のもと小学校での“ペットボトルリサイクル啓発教室”などを実施。また社内からの集客として「新入社員特別ご優待」を行い公式戦の自由席限定で500円で入場可能キャンペーンを行っていた(うらやましすぎる)
ハイブリット型で事業を進めていくにあたって「地元民」へ輪を広げることは地道な作業ではあるが集客の持続可能性は期待できると感じます。

②海外トップ選手の獲得と日本代表選出選手の多さ
ラグビーの特徴である「多様性」を顕著に表しているのが外国人選手の多さですが、年々オールブラックスの有名選手や各国のスーパースターがリーグワンに参戦するために来日しています。特にサントリーではオールブラックスのボーデンバレットやダミアンマッケンジーが入団し話題に。日本人選手でも流選手や松島選手、中村選手など2019年のRWCで活躍した選手から、ニューフェイスでは斎藤直人と早稲田時代の同期の中野将伍、下川甲嗣など若手の日本代表選出メンバーもそろっています。私のように2019年からラグビーのファンになったいわゆる「にわかファン」と呼ばれる層がスタジアムに足を運ぶきっかけが「代表選手を見たい!」という気持ちで後押しされるかもしれないので日本代表選出選手や有名海外選手を獲得していることも非常に有利ですよね。

③youtubeやTwitterなどのSNSの活用
私が毎回楽しみにしているのがサントリーのYouTubeチャンネル「インサイドサンゴリアス」試合直前のロッカールームや選手の密着ブログなど既存のファンだけでなく、このチャンネルがきっかけでサンゴリアスファンになった人も多いはず。編集も音楽もスタイリッシュで毎回運営の方の広報力に驚かされます。
中野選手押しの私が新たにハリーホッキングス選手のファンになった動画です。アイス食べる姿が普段の試合の時の表情とのギャップがかわいすぎました。


また、サントリーの運営側への取材ではこんなことを語っていました。


「初年度の事業規模は20億円弱。うち自前で稼ぐのは最大6億~7億円。初年度のパートナーシップ収入は目標の約1億円をクリアし、2年目の目標の1億8000万円くらいに届きそうだ。ファンクラブも好調で初年度の目標の2300人は見えた。ただ新型コロナウイルスの拡大で状況は変わる。3~4年で稼ぐ額を倍以上にしたい」
「社員にもチケットを買ってくださいと伝えている。コロナもあってかホーム開幕戦の集客(1万人)は目標の1万5000人には届かなかったが、ホストゲームで約4億円の売り上げを目指す」
日経経済新聞(2022年1月24日)

一部のファンからはリーグワンのチケットの値段について厳しい意見もありますが、ホストゲームで4億円の売り上げを達成したら本当にすごいと思います。


優勝チームがなぜ観客数11位に?


選手の口からも何度も出てきて話題となったクボタスピアーズ舟橋東京ベイのファン、通称「オレンジアーミー」ですが、リーグワン全体での集客数は優勝チームにも関わらず11位。「オレンジアーミー」という強いコミュニティと印象深いオレンジ色を身に着けたファンはすてきだなと思う一方、他のチームのファンと比べて、私自身は「ファンになりたいけどまだチームについて詳しくないしオレンジアーミーになっていいのかな?」という謎のハードルの高さが自分の中であるのも事実(深く考えすぎかもしれませんが)
スピアーズの観客数について「原因はこれじゃないのか?」と思っている方ぜひコメントしてほしいです!

チームの強さと観客数の関係性は?

優勝したスピアーズが11位で最下位だった近鉄の方が観客数多いのはなんでだろう?など考えると様々な要素があると思いますが、下の図を見る限りチームの強さと観客数はかなり比例しているように感じますが例外も見受けられます。

引用:ラガまる君のツイッターから
https://twitter.com/ragamarukun/status/1660580589077159936?s=20

ディビジョン2の課題と戦略


今回悔しさを残してディビジョン2に残留になった浦安DRocksですが、このチームのyoutubeチャンネルは他のどこのチームよりも素晴らしいと感じます。ディビジョン2に降格になった時から今までの遍歴をシリアスに、時には笑いありの密着動画があり、チームの「ビジョン」と「団結」がよく表れたチャンネルだなと毎回思います。「勝ち」「負け」がはっきり評価され、なかなか普段の練習風景や試合までのプロセスを見ることが少ないスポーツの世界。しかし実際に選手たちがどんな思いをもってプレーしているのかや隠れた努力などをこのようなyoutubeなどの媒体で「可視化」できるのはファンにとっても非常にありがたくDIVISION1のファンをDIVISION2,3のチームに引き込む一つのきっかけになる気がします。

結局リーグワンの観客数の壁の原因は?


観客数が増えないことについては様々な原因が考えられると同時に競技場の立地や値段、またはチーム名が長すぎる?など様々な角度からの意見があります。今年は大切なワールドカップイヤーで2019年ではあんなに盛り上がった日本大会後にも関わらずコロナの影響で観客数があまり増えなかったという悔しさをバネに来年度のリーグワンがDIVISIONなどに関わらずもっと盛り上がればいいなと思います!私も今年度あまり現地観戦できなかった分、来年度は月2くらいのペースでスタジアムに足を運べるように頑張りたいです!



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