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ほんの数分でお値段以上の価値が生まれる

こんにちは。アスコムメディア開発部の中山です。
突然ですがこのボトル、なんだかわかりますか?

(見づらくてスミマセン)

洋梨がまるごとボトルに入ったブランデーです。
某月某日、会食で連れて行っていただいたダイニングレストランで出されたもの。

ものすごい厚切りのローストビーフが美味しいお店で、でっかい肉の塊を目の前でカットしてくれます。
牛肉300gって中年男性はちょっと怯むサイズですけど、脂身が少なくて意外と食べられちゃう。抜群に美味しくてそれだけでも大満足…だったのですが、食後のほどよいタイミングでツカツカとスタッフがテーブルにやってきます。

「食後にお酒はどうですか? 消化にいいですよ」

にこやかな外国人の方でした。
もう30年来、日本に住んでいるそうで日本語はペラペラ。
おまけに話が上手でユーモアたっぷり。
そこでオススメされたのが先ほどのブランデーです。
そしてこう聞いてきます。

「これ、どうやってボトルの中に果実を入れているかわかります?」

明らかにボトルの口より大きい果実が入っている。
お酒に詳しい人なら知っているのでしょうが、僕は全然詳しくないのでわからず。
みなさんは知ってます?

答えは、果実が小さいうちにボトルの中に入れて、そのままボトルの中で育てているのだそう。

(イメージです。出典:https://www.barrel365.com/fruits_brandy/)

「へえ〜!」

とまあ、ここまできて「お酒、いらないです」と言えるでしょうか。いや言えません。
普段そんなに酒好きでもなく、味も価値もよくわかっていない僕ですが、「せっかくだから」といただきました。

単に「いいお酒」とか「消化にいいよ」というだけだったら、飲んでないと思うんです。
10分かそこらでしょうか。愉快なスタッフとの会話に価値があったと言ってもいいかもしれません。
正直、お酒の味はよく覚えてないし、消化によかったかどうかもよくわかりませんが、頼んでよかったという思い出だけはバッチリ残ってます。
人は思い出には割と簡単に金を払う。お値段以上、いやプライスレスです。

これってお酒に限らない話ではないでしょうか。
どういう文脈に載せるかで、付加価値は大きく変わると思います。

僕が時折、上手だなあと感じるのは、例えば手土産を渡すとき。
「大したものじゃないんですけど」なんて謙遜して渡してしまいがちですが、
「めちゃくちゃうまいんです。好きなんです」と添えて渡す人もいますよね。
明らかに後者のほうがモノに付加価値が生まれている気がします。

ある放送作家さんはこう言っていました。
「手土産を帰り際に渡す意味がわからない。先に渡したほうが会話が弾むし盛り上がる」

同じ商品やサービスでも、うまく文脈を作れば付加価値が浮かび上がってきます。それを僕らは本の編集でやっています。

ちなみに、その愉快な外国人スタッフさんは最後に名刺をくれまして、
「うちは予約が取りにくいこともあるけど、僕の名前を出してくれたら取るよ!」
とニコニコして見送ってくれました。
みんなに言っているのかもしれないけど、悪い気はしないし、また来ようと思いますよね。

僕も次から名刺の出し方でも変えてみようかなと思います。

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