米国株 アジア投資家触手

米国の金融政策の見通しについて、米連邦準備理事会(FRB)と債券市場、株式市場の間の溝が深まっている。

年内の利下げについてFRBは否定を続ける。一方、債券市場では景気後退とともに年内の利下げの織り込みが進む。金利先物の値動きから金融政策を予想する「Fedウオッチ」によると、年内に0.75%以上の利下げを実施する確率は11日時点で79%にのぼる。各回0.25%であれば3回以上となる計算だ。年内利下げなしの確率はわずか0.1%にとどまる。

この利下げの可能性をリスク資産の追い風と解釈するのが米株式市場だ。QUICK・ファクトセットのデータではS&P500種株価指数構成銘柄の1年先の予想1株あたり利益(EPS)は昨年末から変わっていない。一方、予想PER(株価収益率)は16.8倍から18.2倍に拡大した。企業業績の改善を織り込んでいるのではなく、利下げへの「期待」が株高要因といえる。

日本では新型コロナウイルスの感染症法上の分類が8日、季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行した。インバウンド(訪日外国人)回復も含めて経済再開が本格化し、景況感が上向くとの期待は強い。
グローバルな景気サイクルは明らかに減速しており、先進国では日本が1番マシといえる。高金利が続く米欧で景気減速の懸念が強まるなか、相対的に堅調な日本の経済と企業業績が日本株を支えるとの見方は多い。

新興国には中国の経済再開という追い風が吹く。米国の利上げ一服も新興国通貨や債券にとって好材料で、投資妙味は高まっている。一方、低調な欧州経済の影響を受けやすい中・東欧には投資しづらい環境が続くとの見方が多く、地域差が広がりそうだ。

株式投資でカギになるのは中国だ。コロナの抑え込みを狙った「ゼロコロナ」政策を転換し、景気が回復し始めている。1〜3月の実質国内総生産(GDP)は前年同期比4.5%増と2.9%増だった2022年10〜12月から伸びが加速。旅行など国内消費の回復に期待が高まる。

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