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子どもの守備力(レジリエンス)

ウサギ仙人(ウ仙)から子育てについて学んでいた亀子であったが、

守備力の高いチームが有利

ウ仙「プロのスポーツの世界でな、『攻撃は最大の防御』『防御は最大の攻撃』という言葉があるが、どっちが真実か知っておるか?」

亀子「スポーツでは点を取らないと勝てないですからね。『攻撃は最大の防御』ですかね?」

ウ仙「ところがな、実際のプロのスポーツ選手に質問すると、『防御は最大の攻撃』が真実だというんじゃよ。わしも、かの田臥勇太がいるブレックス栃木(現在の宇都宮ブレックス)の選手に『オフェンスとディフェンスのどちらを優先するか?』と質問したら、みんな声を揃えて『ディフェンス』と言っておったんじゃ」

亀子「そういうもんなんですね」

ウ仙「トーナメント方式の高校野球のような世界じゃと、攻撃重視のチームが優勝したりすることもあるんじゃが、シーズンを過ごすプロのスポーツの世界じゃと、防御をきちんとできるチームが圧倒的に有利なんじゃよ」

亀子「それが子育てと何の関係が?」

レジリエンス(守備力)の高い人間が安定した人生を送れる

ウ仙「人生でも守備力が高いほうが安定しているんじゃよ」

亀子「人生の守備力?」

ウ仙「守備力のことをレジリエンスというんじゃが、心の抵抗力のことであり、困難を乗り越える力じゃな。心が傷がつかないようにする能力でもあり、傷ついても修復する能力でもあるな」

亀子「レジリエンスいいですね」

ウ仙「うちの一番下の娘もオランダでの経験で最強のレジリエンスを得たんじゃよ」

亀子「これは強烈な経験ですからね」

ウ仙「レジリエンスは以下の3つの要素からなるんじゃ」

①自己肯定感
②社会性(いい人間関係を築く力)
③ソーシャルサポート(他人に助けてもらう力)

亀子「自己肯定感はわかりますが、社会性とソーシャルサポートというのは?」

ウ仙「社会性というのは、コミュニケーション能力や思いやりのような、いい人間関係を築く力じゃな」

亀子「対人関係能力ってやつですね」

ウ仙「ソーシャルサポートというのは、他人に助けてもらう力のことなんじゃ」

亀子「他人に借りばかり作ることになるじゃないですか」

困難を一人で乗り越えるのは難しく、他人に手助けしてもらえる素直さが大事

ウ仙「困難に直面した時には、自分ひとりで乗り越えるのはなかなか難しいんじゃよ。素直に他人に助けを借りれる人のほうが困難を乗り越えられるんじゃよ」

亀子「そういわれればそうですが、なかなか人に助けてって言いづらいですね」

ウ仙「もちろん『オオカミ少年』の話のように、嘘ばかりついている人間はピンチの時に助けてもらえないように、日頃からいい人間関係を築いておかなければ助けてもらうことはできんな。そういう意味では社会性と一体のものでもある」

亀子「なるほど」

親の心配がソーシャルサポートの育成を阻害する

ウ仙「わしが『親の心配は百害あって一利なし』と口を酸っぱくして言う理由もここにある。子どものことを心配していると、子どもは心配かけたくないと思ってソーシャルサポートを求められなくなるんじゃよ」

亀子「そういうつながりだったんですか」

ウ仙「反抗期が始まったということは自立に向けて歩み出したところじゃから、子どもの自立を見守るのがソーシャルサポートへの一番の近道なんじゃ」

亀子「肝に銘じます」

こうして亀子のレベルが上がった。
『スクルト』並みに守備力を上げる呪文を覚えた。(つづく)

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