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ポンコツ噺「だるま蛸」

足のないタイツって、お尻だけってことか?
いや、それなら「脚」。
わかっているけど、突っ込みと揚げ足取りは、私の楽しみのひとつだ。

揚げ足ってなんだろう?
「上げ足」かと思ってた。
上げた足なら取りやすい。
地面に踏ん張っているのを取るよりも。

揚げ足という文字から、連想するのは、イカである。
なんとなくゲソの唐揚げ。
これは、ビールのつまみにいい。

ゲソは「下足」からきていると聞いた。
今の銭湯には、下足番のおじさんはいない。
番台すらないところが多い。

私の子供の頃ですら、自分で下足箱に入れてカチャリと札を落とし鍵をかけていた。
当時、あの木の札が欲しかった。
何度も持って帰ろうとしたが、思いとどまったのは、あれだけあっても仕方ないと気づいたからで、あの木の札がカチャリと鍵をかける手ごたえが好きだったのである。

いまも、居酒屋にあると、ちょっと嬉しい。
好みの番号が塞がっていると、チッと思う。

その昔にいた下足番のおじさんは、10足をまとめて管理していたらしい。
だから、イカの足がゲソという説がある。
イカの足が8本で、タコの足が10本だったら、タコの足をゲソと呼んでいたのか。

タコは、さぞかし悔しいことだろう。
だって、タコの足には、特別待遇の呼び名はないのだから。
タコの足はタコ足としか言いようがない。
コンセントみたいだ。
居酒屋でオーダーする気になれない。

思い出したが、だるま蛸というのがあるそうである。
腹が減ったけれども、エサをつかまえるのが面倒くさい蛸がいる。
それで一本くらいなら不便はあるめぇと思って自分の足を食う。
するともう一本食べたくなる。
昔ならかっぱえびせん現象というところか。
私にとっては、柿の種現象。
カールとかキャラメルコーンの人もいそうだ。

こうして、自分の足を食べつくした蛸を「だるま蛸」という。
想像すると一見奇妙だが、怠惰だけでなく、病気やストレスのせいもあると思うと痛ましい。
ヒトも、ときには自分の身体や心を食いながら生きているのかもしれない。
切ない話だ。
蛸もヒトも、傷ついた部分が再生するといいな。

そうだ。
このだるま蛸が穿くタイツが「足なしタイツ」だと得心した。

今日は微熱がある。
なすべき処理が終わってしまったので、今日の在宅業務を終了した。
体調不良ゆえのポンコツ噺なれど、話が最初とつながったのは、まことに幸運。

読んでいただきありがとうございますm(__)m