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冬の歌 日曜の夜

※ヘッダーはざがね様の写真をお借りしました。ありがとうございます。


にちようび・買い物帰り・午後の4時。
「これからどーする 鬱だけど。」

「もう家に 帰って飲んで しまいましょう。」

ある家族の会話より

はい、ウチの日常会話です。
平日険悪ムードでも、お連れ合いが、軽妙にそう返すノリって救われるんですね。
そう、飲めばいいのだ。
まっとうな大人の振りはやめようぜ。
以下、お酒に関する、じゃなかった。それは #お酒草子

こちら、日常でエモい感じのことを綴った約31音の短歌集です。

解説は写真と共に回想しています。
よろしければ、ご一緒にどうぞ。


・渾身の歌 10首

だいだいに すみれ 群青 照り映えて
3本だけなら 休肝日

短日の ヘッドライトや 急ぐ群れ
「おむかえおそい」と つめられる

信号が赤ならいいのに
まだ少し 一緒にいたい 日曜の夜

味しみた 昨日のおでん ぬくとめて
宴は続く 日曜の夜

「誰よりも文才感性すばらしい」
ナンパ男の 嘘美しき

きみといると 世界はさらにきらめくの
ハイボールに告ぐ 冬花火

年果てる 世界の終わり パンを焼く
猫の額は 初雪の白

年の瀬や 日常の灯は かき消えて
おせちは嫌いと ひとりつぶやく

湖(うみ)の道 三途の川に 橋渡し
供らの指と 砂やわらかし

かなしみは お山の上で 煙になって
さよなら告げる 鐘が鳴る



湯谷神社

だいだいに すみれ 群青 照り映えて
3本だけなら 休肝日

短日の ヘッドライトや 急ぐ群れ
「おむかえおそい」と つめられる

残照が美しかったから、3本だけ飲むのさ。そんな大人の気侭さと
日が短いから、最近ママのお迎え時間が遅いと怒る幼児の正直さと。


敦賀駅

信号が 赤ならいいのに
まだ少し 一緒にいたい 日曜の夜

味しみた 昨日のおでん ぬくとめて
宴は続く 日曜の夜

このまま赤信号だったらずっと一緒に居れるのに。
ありふれた遠距離恋愛のような日曜の夜の淋しさ。
帰ったら忙しい親にジョブチェンジしなければならないやるせなさと、帰ったら昨日のおでんに日本酒の温かい日常が続く安堵と。
なんでもない幸せを楽しむのには、戻れなくなってからが本番。


鴨川

「誰よりも文才感性すばらしい」
ナンパ男の 嘘美しき

アレは世界の原動力。遊び男の巧みさは女には感心するものです。
それはキレイに鳴く小鳥のさえずりのよう。今、君の想像する私は10倍増しにスバラシイ、なんだろね。理想の怪物の自分。
卑屈な自分よりは100倍マシだな。そんな自分を見てみたい。


長浜城

きみといると 世界はさらにきらめくの
ハイボールに告ぐ 冬花火

ビールとかワインの方が収まりが良いんだけど、どうしてもハイボールって入れたかった。冬花火に合うから。


猫の額

年果てる 世界の終わり パンを焼く
猫の額は 初雪の白

年の瀬や 日常の灯は かき消えて
おせちは嫌いと ひとりつぶやく

年末の焦燥感を嘆いてみると、日常のありがたみが沁みるものです。
明日世界が終わるかもしれないけど、
大晦日なのに明日のパンを焼く何気ない日常が続く幸せ。
おせちは嫌いなのよね、と毒づける幸せ。


琵琶湖 奥の洲

湖(うみ)の道 三途の川に 橋渡し
供らの指と 砂やわらかし

生の実感は、死への恐怖と隣り合うことで鮮やかになるよね。
未来を生きる子らへ、母の生きた証拠を植え付けたいエゴ。
(思い出になりました、ってさらっと言えば良いだけの話なのにな)


近江塩津駅

かなしみは お山の上で 煙になって
さよなら告げる 鐘が鳴る


故郷の山やお空を眺めていると、気が紛れていくけど
かなしみって何処に行くのだろうね。
かなしみが消えることもかなしいのよ。


以上。読んで下さりありがとうございます。

初冬~年明け前に詠んでいたものをあれこれ手直ししつつ、気に入らないなと、ここまで熟成してしまいました。
歌を詠みたい時って、かなしい時が多いですね。
もっとユーモアを取り込みたい。
暗い顔ばかりじゃなく、さらっとユーモアでかわして生きたい。

※世界の終わり、はパンを焼くに係るマクラコトバです。紅茶を飲む、でも可。
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