見出し画像

睡眠不足の何パーセントが遺伝の影響なのか

割引あり

ゆっくり寝ようと思っているのに,どうしても朝早い時間に目が覚めてしまう,というのは私自身も良くあることです。できれば8時間くらい寝たいのですけどね……目が覚めてしまうのはどうしようもありません。


睡眠不足

睡眠不足というのは,睡眠時間が短いだけでなく,睡眠の質が悪いことという側面もあります。そして,睡眠の質は心身の健康やウェルビーイングにも大きく関係します。睡眠は人生の中でも大きな割合を占める要素であるのですが……そもそも,どれくらい環境による影響を受けるのでしょうか。そして,どれくらい遺伝の影響を受けるのでしょう。

遺伝と環境

遺伝と環境の影響力を推定する一つの方法が,双生児(ふたご)に注目することです。一卵性双生児のペアと二卵性双生児のペアからデータを得て,それぞれの類似度を計算します。するとたいてい,二卵性双生児よりも一卵性双生児の方が似ているという結果が得られます。

そこから,遺伝の影響力,環境の影響力を推定していきます。さらに環境は,共有環境(双生児を類似させるように働く環境)と非共有環境(双生児を類似させないように働く環境)に分けることもできます。共有環境はおおよそ家庭環境と読みかえられることも多いと言えます。

これまでに睡眠の遺伝率はいくつかの研究で推定されています。それらをメタ分析で統合すると,どういう結果になるのでしょうか。それを試みた,こちらの論文を見てみましょう(Heritability of sleep duration and quality: A systematic review and meta-analysis)。

ここから先は

1,614字

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?