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本の話

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2018年6月の記事一覧

『地下鉄道』コルソン・ホワイトヘッド

『地下鉄道』コルソン・ホワイトヘッド

農園の奴隷コーラの逃亡譚。
アフリカから連れてこられた史実と、逃亡を助ける「地下鉄道」というフィクションが強い魅力をもって惹きつける。

映画で観たい!と思っていたら『ムーンライト』を撮った監督が映像化するそう。
たのしみ。

この小説にあるのは、大きな悲しみと恐怖と少しの希望。
アメリカは誰の看守なのか。
支配するものは黒人労働者たちから報復されることを恐れ、その恐怖が暴力を生む。
恐怖

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『マンゴー通り、ときどきさよなら』

『マンゴー通り、ときどきさよなら』

この本には
わたし好みの条件が3つも揃っている。

移民文学
子どもの頃の話
詩のような文体

例えばこんな一文。
『いびきと、雨と、ママの、パンみたいな匂いの髪の毛。』

アメリカンドリームを求める中米からの移民が集まる街に引っ越してきた少女エスペランサ。

夢と貧困と女たち。
ひっぱたかれる女たち。
薄汚れているけれどビビッド。
一章ごとがとつとつと語られるような短さで、
この

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