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本の話

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『存在しない女たち』読書会第一章

『存在しない女たち』読書会第一章

第一章「除雪にも性差別が潜んでる?」

この章でも徹底的にデータを用いて、どれだけ女性がデータの中に存在していないかが語られる。
データは重要。
でもその読み方も重要。

女性は非定型な行動パターンが多く、それは無償ケア労働の結果でもある。
交通計画、運輸業全体が男性優位で、彼らは女性のとるパターンが理解できない。荷物の量も。

理解できないから、データに含まれていないからといって、それが無視して

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『牛たちの知られざる生活』

『牛たちの知られざる生活』

ちょうどNHKでやっていたアニマルウェルフェア特集を観て、言いたいことはわかるんだけど私には理解できない……と思っていたところだった。
動物の幸せってどういうことなんだろう?
極端にスケールダウンすると、わたしはペットを飼っていないし、動物とふれあう機会もほとんどない。そんな折に、この本を貸していただいた。

牛、羊、豚たちの友情や、家族の死に対する行動、人間との関係をどう築くのか。ていねいに描か

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第一回『存在しない女たち』読書会

第一回『存在しない女たち』読書会

TwitterのSpaceで毎土・夜8時半~9時に『存在しない女たち』の読書会をすることにしました。
オンラインで、顔の見えない状態で読書会をするのは初めてなので、今夜はイントロダクションだけ。

この本はサブタイトルに「男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く」とあります。
見えない存在にさせられていたことをデータでもって解説していく本。
イントロダクションでも、ひたすらあらゆるジャンル・

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『その島のひとたちは、ひとの話をきかない』を読みながら暮らす

『その島のひとたちは、ひとの話をきかない』を読みながら暮らす

静岡に越してきて、一年と三か月が過ぎた。SNSでゆるくつながっている人たちはいても、ともに時間を過ごすような人間関係はここではできていない。できない理由を探すのはどんなときでも簡単で、たとえば仕事をしていない(いちおう契約はしているものの開店休業中である)からだとか、子がいない(いたら多分地域になじむんじゃない?知らないけど)からだとか、社宅ではない(実際社宅って最悪でしょ)からだとか、地域のNP

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夜の鳥

夜の鳥

ここ何回か続いていることがある。
“家の人”がパン屋さんで必ずオマケをもらってくることである。
丸いパン。食パン。また今日ももらってくる。
小さな男の子ならまだしも、肩幅がガンダムくらいある成人男性だ。

「あんまり執着されないようにしなよ」

そう言ったら、
「お金払ってるから大丈夫。Uちゃんのほうがお金とか関係なしにもらってきたりするでしょ。こわいよ」
と返された。

なんとなく、たしかに、と

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早乙女ぐりこさんのエッセイ『だらしない』シャンデリアが心に刺さる

早乙女ぐりこさんのエッセイ『だらしない』シャンデリアが心に刺さる

早乙女ぐりこさんのエッセイ『だらしない』を読んだ。

読み終えてしばらく、わたしが変に感想を書くのもなぁ、と戸惑っていた。
裏表紙の下のほうにぺたりと貼られたシャンデリアの写真。
エッセイを読み終わるとこれが心に刺さる。

ぐりこさんの書くものが好きなので、当然面白かったことは間違いなく。

ある物差しで測れば、だらしないのかもしれない。
最小の社会である家庭、それから小学校は、ぐいぐい物差しを押

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天然記念物「鮎壺の滝」、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』など

天然記念物「鮎壺の滝」、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』など

2020/09/29(火)
朝、野菜スープ。黒豆・ヨーグルト・ミューズリー。

『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(上出遼平/朝日新聞出版)、リベリアの章を読む。
内戦時、多くの子どもが拐われ、子ども兵士にさせられた。銃で目の前の自分の親を殺すように強いられた。
子ども兵士はコカインを与えられ、戦わされた。そのとき、子どもたちは獣の仮面、かつら、ウエディングドレスで仮装したという。『それは“

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『レディ・バード』と『パチンコ』

『レディ・バード』と『パチンコ』

2020/9/28(月)
朝、あたためた黒豆・ヨーグルト・ミューズリー。
焼きバナナをつくって乗せようとした。
天板のうえにクッキングシートを乗せたまま、その上にホイルでまいたバナナを置き、焼く。シートだけ焼けてしまって部屋に煙がうすく漂う。
バナナはしっかりと焼けていなかった。
ほんらいなら、皮は真っ黒にこげ、なかのバナナはとろとろになっていなければならないのだ。ふつうの、ちょっとあったかくなっ

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『音を聴くひと』

『音を聴くひと』

雑誌『アフリカ』をつくっている下窪さんの作品集『音を聴くひと』。
手に入れてからちびちび味わうように読んでいた。

下窪さんにご連絡することがあったので、あらためて読みなおす。
『音を聴くひと』には、エッセイ、小説、それから魅力のひとつである編集後記などが収録されている。

湖だったり、山肌だったり、人間にとっては突然、清水が湧いているところがある。下窪さんのことばはそんなふうに、そこに流れている

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生活綴方叢書『とろんと』

生活綴方叢書『とろんと』

本屋・生活綴方の歓送迎会で、わたしの小説をリソで刷ったものをいただいた。

小説は『とろんと』というタイトルで、Trontoのことではなく、妙蓮寺のおでん屋さんが話に出てくることから、そんな名前をつけた。
おでん屋さんのご主人には実際に話を聞かせていただき、わたしの妄想とご主人の人生をフュージョンさせてもらった。
おでん屋さんにも、送らなきゃ。

この小説について、裏ごししていないじゃがいものスー

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『野球という名の、ひかりに似たもの』佐藤yuupopic・小林大悟

『野球という名の、ひかりに似たもの』佐藤yuupopic・小林大悟

いろんなことがあった日はなにから書こうかと迷う。

ご縁があって、佐藤yuupopicさんの詩集、『野球という名の、ひかりに似たもの』をいただいた。

野球に魅せられた詩人。
詩人は、自分の愛することをぽつりと呟くように、アコギとともに歌うように、叫ぶように絞りだすように、また呟くように言葉にする。

梅雨が終わったからだろうか。
夏の始まりの日、横浜をそろそろ去ろうとする日、段ボールに囲まれたわ

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『コロナの時代の僕ら』読んだり電子レンジクッキング見たり

『コロナの時代の僕ら』読んだり電子レンジクッキング見たり

朝、地震で起きる。ながく揺れて気持ち悪いけれど、最大震度4(茨城北部)ということなのでどこも被害は出ないだろうし、このくらいにしてもらえますか、と思って目をつむる。

朝食、パン、紅茶。
頭痛は消えたけれど疲れている。

地元の幼なじみと電話。今日から子どもの小学校が段階的に再開したそう。ひとクラスの人数の多さや、塾をしばらくオンラインで受けることへの不安な思いを聞く。
何度も書くけれど、

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祖父は浜崎あゆみ似の美人孫だけ覚えていた

祖父は浜崎あゆみ似の美人孫だけ覚えていた

『ブスの自信の持ち方』山崎ナオコーラ

著者が容姿をあげつらう酷い言葉をネットで浴びた体験に、ひるむ。なかなか読み進められない。
でもこの本は「ブスも自信を持とうね!」という啓発本ではない。著者の思いは、こうだ。

「ブスの自信の持ち方」とは一体なんなのか、と考察していきたいのだ。
(略)世間が、「ブスはどうやったら自信を持たないでいてくれるのか?」、あるいは「ブスはどうして世間の意見に歯向か

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『高野聖』と『ブスの自信の持ち方』をnow reading

『高野聖』と『ブスの自信の持ち方』をnow reading

2020/3/4
朝、おじや。
昼、ヨーグルトとミューズリーと黒豆。

図書館へ行く。
図書館は施設自体の利用はできないけれど、予約システムを使って本を借りることはできる。予約していた山崎ナオコーラ『ブスの自信の持ち方』の順番が、タイミング良くまわってきた。

毎日、朝晩、熱を計っている。発熱はしていないけれど、腰、背中が痛い。これはどっちの痛さだ……?
体力をつけることがはやり病への対策と聞いた

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