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#3 住んでいた家へ、もどる。

2021年12月1日 miércoles
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午前中荷物を整理し、午後1時にはホテルをチェックアウト。公用車に積まれた、一年半以上預けっぱなしの私の荷物と共に、前に二ヶ月だけ住んでいた家へもどる。大通りから小道に入り、車が門の前にとまった。車の音を聞きつけたのだろう、玄関のドアの小窓から大家のエリカさん(私の大家さんは日系人で日本語も喋れる方)が、外をのぞいているのが見えた。「あーーー!Tanto tiempo!!!(久しぶり)」とハグを交わす。エリカさんの第一声は「かっこいいー!」だった。ん、何が???笑。髪型?髪の色?服装?メガネ??変わったのはそれくらいだとおもうけど。

入居の手続きを済ませ、家の中をさっと見てまわった。私が置いていった一部のものは、そのまま残っていた。

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エリカさんとは日本にいる間も連絡をとっていて、私の再赴任が決まったことを知らせた際、「何か用意しとくものある?」と聞かれたので、私は「水とコカ茶」と伝えた。コカ茶は高山病を緩和するのに加え、いい香りで落ち着くので前に滞在していたときもよく飲んでいた。棚をの中を見ると、自分で買ったコカ茶もまだたくさん残っていることに気づく。

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荷物を解くのに夜までかかった。そして日本から持ってきたいろんなものが気圧でパンパンにふくれているのを見て、やっぱり普通の環境ではないな、と改めておもう。そういえばラパス到着時には、持ってきた味噌の袋がスーツケースの中で破裂しており、スーツケースがしばらく味噌風味になってしまった。気をつけないとあらゆるものがふくれて、最悪、破裂する。

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中の空気、苦しそう。
苦しいと言えば、やはりこっちに移って標高が上がり、ちょっと息苦しい・・・。外を歩いていて、上りになると途端に一歩踏み出すのに1.5秒くらいかかる、そして呼吸が苦しい。夕方、買い物へ出かけたが、スーパーからの帰り道はずっと上り。重い荷物を抱えて歩くのはほんとうに、、しんどい。家に戻って、血中酸素飽和度を測ってみたら80そこそこだったので、やばい!と、急いで酸素を吸入。


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2021年12月2日 jueves
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家でオンラインのスペイン語レッスンを受ける。午前と午後合わせて5時間。お昼ごはんは、以前食べに行っていたお肉のおいしい小さなお店で。お店の場所が少しだけ動いていたが変わらず営業していてうれしい。

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Chancho[チャンチョ]=豚肉のプレートを注文。25ボリ(約400円)

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夜には現地の友人と夕食に行く。彼女に頼まれていた保湿シートパックとおみやげのチョリTを渡す予定。近くの広場で待ち合わせ、再会のハグの後どこに食べに行こうか、と話す。おいしいと評判の日本食レストランはずっと閉まっている、という彼女。野菜をたくさん食べたい私たちは、別のアジア系レストランへ行くことに。私は豆腐の入ったレッドカレーを注文。カレーというより、野菜たっぷりの辛いスープだった。

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アジア系の料理だとやはり割高になり、このメニューで45ボリ(約730円)。

食べながら、お互いこの一年半にあったいろいろなことを話した。まだボリビアについて一週間経たないのに、こうして楽しく一緒にご飯が食べられる友達がいるのは本当にありがたいと感じる。場所に順応していくというのは、心理的な部分が大きい。だから余計にそうおもう。
ご飯を食べ終え、彼女が「もうクリスマスマーケットやってるかも。やってるかどうか見に行こうか。」と。平日なのでそこまで賑わってはいなかったが、ゲームに興じている子供、大人がいて、楽しそう。このごちゃごちゃ感がたまらない。私たちはテーブルホッケーで遊び、少しだけクリスマス気分を楽しんだ。


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2021年12月3日 viernes
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エリカさんにあんぱんをもらった。まさかの、あんぱん in ボリビア。

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そして、おまんじゅうも。緑茶はないのでコカ茶と一緒にいただきます。
ボリビアには日系の方もたくさんおられるので、日本の食材も結構手に入ったりする。どうやら、このあんこもエリカさんの知人がボリビアで作ったものらしい。しかし、こういった気遣いをしてもらえるのもありがたいこと。
前に住んでいた家に戻るということで、あるものないものを知っている上で、必要なものを用意できたのがよかった。今回持ってきてよかったのは、この薄まな板。とても便利。

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ボリビアにはおいしいコーヒーもあるのでコーヒーミルも持ってきた。前回、すでに持ってきていた、おたま、ピーラー、茶こしボール、巻き簀、蚊帳ふきんなどはそのまま置いてあったので、また使える。この家には、菜箸やおろし金はすでにあり、ご飯を炊くのに必須の圧力鍋や、私の朝のルーティン、小松菜豆乳バナナジュースを作る際に必要なミキサーもすでに用意されていた。(ここでは小松菜が見当たらないので、ほうれん草に変更。)

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海外暮らしではやっぱり食生活をそれなりに充実させることも必要だとおもう。まずは体調管理のため。あとは、日本食をふるまったり、ローカルフードを教えてもらったりと、文化に触れたり交流の機会も作れる。まあ何より、おいしいものを食べたいという欲、だな。大家のエリカさんには、彼女のリクエストで日本からカルピスのおみやげ。ボリビアと日本の食について話をしていると、エリカさんは「やっぱり出汁よね!」と。ということで今回は、日本からけっこうな量の食材を持ち込んだ。みんなからもらった餞別の出汁やふりかけも。しっかり使わせていただきます。

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2021年12月4日 sábado
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土曜日は念願のプールへ行くべく、教えてもらった地元サッカーチームThe strongestの持つ複合スポーツ施設へ。そのビジュアルからして思い出すのは阪神タイガース。

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スコットランド時代の友人フランチェスカの影響で、ここ数年、時間があれば泳ぎにいくようになった私。(フランチェスカは「My life is swimming.」と語るイタリア人のアーティスト)それまでできなかった平泳ぎを、YouTubeを見てイメトレしたりジムのレッスンに参加して、30歳を過ぎて泳げるようになったのだから、人間のポテンシャルはすごい。私は平泳ぎのリラックス効果とストレッチ効果に気づいて以来、その虜になってしまった。
ここのプールは25mで6コースだったかな。泳いでみると、日本で泳ぐ時のペースと同じとはいかず、50m泳いでは休憩しちゃう。プール施設の中には18歳以上が利用できるサウナもあった。少しのぞいてみたら、大きなぬるーいお風呂もあり、その奥にあるサウナはお香を焚いているのか、いい香りがした。

連れて行ってもらった方たちとお昼ご飯に韓国焼肉を食べ、ボリビアのビールHUARIを飲む。軽くてさらっとした飲み口。

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家に戻り、買い物へ。Mercado Rodoríguez[メルカド ロドリゲス]という大きな市場へ出かける。あらゆるものが安く手に入るローカルの市場で、スーパーよりも安く、食材などは種類も豊富。内陸国のボリビアではあまり見かけない魚類もここでは手に入る。

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歩いているだけで、お店の人が「何を探してるの?言って!」と口々に声を上げる。野菜などはみんな、kg単位で大量に買っていく。私はこの一年半ほど、どハマりしているスパイスカレーを作るためのスパイスを探す。あとピクルス用に、野菜も。

探しているスパイスがスペイン語でなんと言うのか、ちゃんと覚えてなく、きっと言い間違えているので、なかなか伝わらない。。。なんとか、クミン、ターメリック、シナモン、アニスなどをゲットし、今日はここまで。また改めて食材の名前を言えるようになってから出戻ります!
家の台所も充実してきて生活感が出てきた。外ではお肉中心のご飯になってしまうので自炊もしながら、体調を維持していかねば。

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2021年12月5日 domingo
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日曜日はもろもろ身辺を整える。ゆっくり起きて掃除と洗濯、スペイン語の勉強などして過ごす。するとトントン、とドアをたたく音。エリカさんだ。
「¡Hola, Buenos días! アツコさん、ちょっと仕事を頼みたくて・・・」と、手に抱えていたのは日本の料理本。漬けものの作り方を覚えたく、レシピを翻訳してほしいとのことだった。昭和44年出版のその本は、昔の丁寧な装丁で、私も眺めているだけで楽しく勉強になる。エリカさんは基本的な、漬けものの作り方を知りたいらしく、特に梅干しなどは作れるようになりたい、と言う。

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地球の裏側でもこうやって日本の習慣が受け継がれていくことが、不思議。

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ATSUKINO(アツキーノ)

2006年〜日本でグラフィックデザイナーとして働いた後、2013年に渡英。スコットランドの The Glasgow School of Art で修士号(Communcation Design: Graphic Design)を取得。帰国後はアートディレクター、キュレーターとしてデザインディレクションとともに現代アートの展示企画制作なども行う。海外での生活、旅を通じて得られる新たな表現や人との出会いが次の可能性につながると信じて動く、旅するデザイナーでありアーティスト。
現在は南米のボリビア、ラパスにてJICAボランティア活動中。デザイン教育環境の改善にあたっている。
http://nakanoatsuko.com/
https://shadow-candle.com/

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