《親ペン雑記#7》面倒な人のイノベーション
日経電子版は、何も最新の情報を得るためだけにある訳ではない。その検索機能を使って膨大な過去記事の中から「なるほど」とうならされる読み物を見い出すことのできる、まさに宝の山だ。
下に掲げた【シリコンバレーの神髄は「場所」ではない】なども、そんな珠玉の記事の一本だと思う
この記事では、世間でシリコンバレー、シリコンバレーともてはやされるそのシリコンバレーの神髄、イノベーションのエッセンスが、『場所』そのものではなく、そこに集っている『人』にあることを説いている。
面白いのは、そのイノベーションの担い手達が、往々にして面倒な人であるという指摘だ。記事から抜粋してみると――
〇 「協力的でない」ということでよく摩擦を生ずる。
〇 与えられた仕事をないがしろにすることがあるかもしれない。
〇 上司を無視して経営トップに直談判することもある。
〇 納得がいかないと「なぜ」を連発し、上司や同僚を閉口させることもある。
話は変わるが、最近見た抜群に面白い(個人の感想です)NHKのドラマ『カンパニー~逆転のスワン~』の主要登場人物、世界的バレーダンサーの高野悠なども、主人公に『面倒な人なんです』と言わしめていた。ドラマを通して人間的にも大きく成長していく高野悠だが、細かなこだわりがあり、妥協せず、意にそぐわぬと雲隠れしてしまう……
クリエイティビティで、今までにない全く新しい感動を創り出していく人物には、そんな一面もある。
思うに、人の性格は諸刃の剣、ある特定の性向が長所にも短所にもなる。
例えば、神経質な人は、自分でも嫌になることがあるかも知れないが、その反面で、細かなことにも目が行く天性の観察者・観測者であり、科学者に向いているかも知れない。
頑固な人も、日常的に周囲の人と衝突することに嫌気がさしているかも知れないが、目標に向かって妥協せずに物事を推進する強い意志、リーダーとしての素質に恵まれているかも知れない……
歴史上の人物、イノベーターでは、例えばトーマス・エジソンがいる。ありのままのエジソンの人となりに触れたければ、子供向けの読み物ではなく、本格的な伝記を読んでみるとよい。
イノベーションは、単なるきれいごとでもなく、なあなあの馴れ合いからも生まれない。人の性格、性向の良いところも、一見悪く思える所も、すべてを包み込んで、前進のベクトル、エネルギーとする包容力が必要なように思える。
その意味で、減点法で社員を評価するような企業は、大きな失敗もしない代わりに、成長可能性の芽を自ら摘み取っている、と言えそうだ。
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