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ブレーン・マシン・インターフェース~思考で操る世界~

 私達人間と機械(コンピューターを含む)との間の情報交換、つまり、機械を操作し、機械の状態を確認する手法は、古典的なボタン・レバー・タッチパネル・キーボード、そしてメーターやディスプレイといったUI(ユーザーインターフェース)から、近年、急速に音声UIへとシフトしつつあります。

 人間にとって最も自然なインタラクションである音声・会話による機械の操作・状態確認は、機械の操作方法を覚える必要もなく、最もストレスフリーなユーザビリティを体現していると思われます。

 しかし、日経電子版の記事【脳内の思考を音声に、AIで「読心術」へ前進】で紹介されるBMI(肥満指数のBMIではありません)、ブレーン・マシン・インターフェースは、さらにその先を行っています。


 聞いたことのある方も多いと思いますが、BMI(ブレーンマシンインターフェース)は、人間と機械との間の情報交換に、指や手、音声などの代わりに直接脳の働き(脳波など)を使うものです。音声などを介さずに、直接脳の活動=思考でもって機械を操作し、感覚器を通さずに、直接脳に機械の状態(映像など)を入力するという、まさにスーパーテクノロジーです。

 映画好きの方は、BMIの例として、クリント・イーストウッド主演の「ファイヤーフォックス」を思い出されるかも知れません。イーストウッド扮する元米軍パイロット、ミッチェル・ガントがソ連から奪取する架空の新型戦闘機ミグ31には、パイロットが思考するだけでミサイルや機関砲などを操作できる『思考誘導装置』が備わっており、その優位性は、もちろん、頭で考えてから手で操作するよりも素早く攻撃を仕掛けられる事です。

 BMIには、考えるだけで機械を操作できるという圧倒的なユーザビリティがあって、その有用性は、単に操作のスピードだけではないと考えられます――

▶BMIの有用性
(1)リアルタイムの操作性
(2)医療現場での活用
(3)遠隔操作・・・機械やアバターと脳をシンクロさせて、
         リモートコントロールする。
(4)人間拡張・・・コンピューター・AIと脳がリアルタイムで交信する
         事で、人間が高度な処理能力を獲得する
         【究極のAI(拡張知能)】。


 問題は、このような機械と人間の脳との繋がりが、決して人間の脳が超能力を獲得したために可能となる訳ではなく、あくまで、機械装置の力を借りてリンクされるという点です――

▶機械と人間の脳をリンクさせる装置の問題点
(1)【安全性】リンク装置が、外科的に脳に埋め込む性質のものだと、
   当然その安全性が問われる。
(2)【倫理性】装置によってリンクがなされるという事は、その装置の
   装着が、本人の意思によるものかどうかが問われる。
    本人の知らないうちにリンク装置が装着されて思考が読み取られ
   たり、警察による尋問などの場面で黙秘権との兼ね合いが問題と
   なる、などのケースが想定される。


 BMI、ブレーン・マシン・インターフェースによって、思考で世界を操る時代が来るとしたら、それは画期的と言うを通り越して、私達を取り巻く世界がガラリとその姿を変えてしまうパラダイムシフト、人間進化の一大エポックとなるのかも知れません。かつて道具を作れる器用な手が人間の進化と文明にもたらした以上の変化が訪れるのでしょうか。

 
 

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