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匠の技、AIがデジタル化したその後は?~人から人への伝承が最も重要~

 日経電子版の記事【熟練の技 ITでシェア AI・VRなど活用】のようなリポートを読むと、いつも思う事があります――AI・ITを駆使して『匠の技』をデジタル化し、人間を代替、さらには効率化できるようになったとして、その後は一体どうするのか?――。



 まず、記事から、『匠の技』がAIなどを介在して伝承されていく経路を整理してみると――

▶『匠の技』の伝承

             【熟練者】
    『匠の技』『技能』『ノウハウ』『コツ』『暗黙知』
      ⇩                  ⇩   
   OJTによる伝承             デジタル化
      
⇩           (機械学習・視線計測技術など)
    【初心者】                ⇩
    【中級者】              【AI】など
                   ⇩         ⇩    ⇩
               IT化された伝承     代替   改善
                 (AR・VRなど)           ⇩     ⇩
                                                   ⇩                           ?     ?
                      【初心者】
                 【中級者】



 ①人手不足による熟練者の減少を、AIで代替したり、②熟練者の技能を、AIによってさらに効率化したり、また、③熟練者の暗黙知を、AIなどで見える化して、後に続く中級者・初心者へと伝承していく事は確かに必要です。

 ですが、問題は、AIによって代替されたり改善されたりしたシステムを、さらに改善するには一体どうしたらいいか、という事です。

 競合との競争、世の中の変化、ユーザーの変化に合わせてたゆまぬ改善が必要な事は明白で、その時に、お手本となり、システムを熟知した熟練者の系譜が断絶していたらどうなるでしょうか?AIが勝手に自己改善して、工場のラインを作り変えてくれたらいいですが、AIやロボットがそこまでの水準に達するにはまだ時がかかりそうです。そもそも、まるでSFの世界ですが、人間が技術に疎くなり、工場生産がAI・ロボットにおまかせの状態になる、ロボットが、勝手にモノを作るというのは、リスク以外の何ものでもありません。



 『モノづくり』の主役はあくまで人間であり、人間が、モノづくりのシステムを熟知している必要があります。そうすることで、人間が『匠の技』を保持し成長させていることで、初めて『モノづくり』の現場の改善が可能となると考えられます。

 AIによる代替・改善・IT化された伝承も必要ですが、要となるのは、人から人への伝承ではないでしょうか。



 

 
                    



       
                                                    

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