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三正面作戦を余儀なくされるGAFA~競争激化の先にあるもの~

 日経電子版の記事【GAFA、相互に「領空侵犯」 成長鈍化で新分野開拓】は、最近のGAFAの動向を整理、理解するのに格好のリポートだと思います。



 記事からは、今、GAFAが、(1)コア事業のビジネスモデルチェンジ(2)他社のコア事業分野への進出(3)ブルーオーシャンへの進出の3つの動きを加速させ、競争激化の時代へと突入している様がまざまざと浮かび上がってきます。その様子を整理してみると――

▶ITビッグの三正面作戦

(1)コア事業のビジネスモデルチェンジ
  ① コア事業の抱える課題
  ⇩ 1.コア事業のレッドオーシャン化(市場の飽和)
  ⇩ 2.プライバシー保護、優越的地位濫用、不正コンテンツなどの
  ⇩                             問題
  ⇩  ・広告主、ユーザーなどの離反 
  ⇩  ・当局による規制 
  ⇩
  ② トップライン(売上)の伸び鈍化
  ⇩ ⇩     ⇩
  ⇩ ⇩     ③ サービスの質を向上するビジネスモデルチェンジ
  ⇩ ⇩     ⇩
  ⇩ ⇩     ④ コスト上昇(不正コンテンツの監視、など)
  ⇩ ⇩
  ⇩(2)他社のコア事業分野への進出
  ⇩   例:アマゾンの脅威にさらされる小売業を自社のクラウド
  ⇩     サービスに取り込むマイクロソフトやグーグルなど、
  ⇩     他の業界とのアライアンスで対抗。
  ⇩
 (3)ブルーオーシャンへの進出、競争
   
① AIスピーカー、自動運転など
   ⇩
   ② コスト上昇


 このような構図から浮かび上がってくるのは、急成長の結果、様々な課題に直面してトップラインの伸びが鈍化してくる、いわば必然的な流れの中で、まずは、コア事業のビジネスモデルの見直し、そして、他社のコア事業分野への進出によるさらなる競争激化、また、先端的な分野でブルーオーシャンを席巻するための苛烈な競争と、コストが上昇していく傾向です。

 つまり、伸びが鈍化してくるトップラインを再び成長軌道に乗せるための成長投資の段階にある訳で、失敗は許されず、この競争激化の先にあるものは(社会全体から見て)――

▶競争激化の先にあるもの

(1)サスティナビリティ(持続可能性)のある
  ビジネスモデルへの転換

    ビジネスモデルが、より社会やユーザーに寄り添った、
   サスティナビリティ(持続可能性)のあるものへと転換する。
   『三方良し』の重要性の再確認。

(2)寡占から競争へ

    市場の寡占状態が競争状態へと修正され、(イノベーティブな
   アイデアを携えた)新規の参入も比較的容易となる。

(3)アクセラレートするイノベーション

    新規事業の確立を渇望する、いい意味での競争が、イノベーション
   を加速する。



 一方で、当然のことながら、個々の企業にとっては、『最悪のシナリオ』と『最良のシナリオ』がある訳です――

▶最悪のシナリオ

 次のビッグイベント、例えば2020年の米大統領選などで、またしてもSNSの悪用が疑われるような事態が発生し、ユーザーにとってセキュアかつ利便性のあるビジネスモデルへの転換が失敗、信頼性が失墜し、さらに、先端的分野の事業化に失敗する。

▶最良のシナリオ

 コア事業をサスティナビリティなものに転換し、信頼性の上に安定した事業基盤を確立、さらに、自動運転など先端的な分野の開発が進展して事業化に成功する。

 どのようなシナリオを辿ることになるかは、個々の企業が、ユーザーと社会の信頼性を獲得することをどれだけ真剣に考え、また、どこまで果敢に先端的な分野の開発にチャレンジできるかにかかっていると考えられます。サスティナビリティへの真剣さ、そして、イノベーションへの果敢さ、硬軟兼ね備えた攻めが必要な事は、いつの時代にも変わらないと思われます。



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