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【第3回 第3編】「イトバナシ」にこめられた想い

【第3回 第2編】インドとの出会いでは、インドとのつながりがなぜできたのかについてお届けしました。
第3編では、「イトバナシ」という名前の由来、そこにこめられた想いについて。これから新しいことを始めたい人へのメッセージも合わせてお届けします。

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—itobanashiというブランドのコンセプトについて伺いたいと思います。
ホームページを見ていて「暮らしの中に心躍る刺繍を。」や「”つくる人”をより身近に感じる」といった言葉が素敵だと感じたのですが、どのような過程を経てこのコンセプトに至ったのでしょうか。

「“つくる人”と”つかう人”の暮らしを豊かに。」というのが株式会社イトバナシのスローガンになっています。それは会社を作るときに決めました。
「イトバナシ」という会社名は、文字通り”糸のお話”という意味からきているんです。刺繍は布と糸と針だけを使ってつくられていますが、刺繍の服を作るとなると関わる人がとても多いんです。
生地を織る人、刺繍柄のデザインを入れる人、刺繍をする人、縫製する人…そこに関わっている人たちがみんなお話の登場人物として繋がっていけるようなものづくりのストーリーを作れたらいいな、それが最後にお客様に伝わるといいなという想いから、”糸から始まるお話”で「イトバナシ」にしました。

だから、会社名を決めるときに「”つくる人”を身近に感じてほしいなぁ」というのはあったと思います。
ただ、当時は「フェアトレード」や「エシカル」、「ソーシャル」という言葉に踊らされて、そういう言葉を使った方が「新しくできた小さなブランドだから知ってもらいやすいのかな?カタカナで目を引くから若い人たちに響くのかな?」といろいろ思っていました。最近までしっくりくる言葉で表現できたことがなかったんです。
コンセプトが固まり始めたのはちょうど2年くらい前。副代表の杉川が関わってくれるようになってからで、私が考えていることの壁打ち相手になってくれたんです。杉川はロジカルな人だから、私が普段考えているまとまらない思考をぶわーっと喋った時に掘り下げて聞いてくれたり、適切な言葉を提示して返してくれたりしました。もう1人のスタッフ、田村も壁打ち相手として言語化を手伝ってくれるんです。イトバナシとしてアピールしているコンセプトは、私の中にもともとあった考えからそんなに変化していないんですが、言葉ではっきりと言えるようになったのはここ1、2年かなと思います。

— “糸から始まるお話”素敵ですね。伊達さん自身のたくさんの経験があって、インドで関わってくださる人、日本で関わってくださる人、そのすべてが織り成して今のイトバナシに繋がっているんだなと感じました。

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ー次は、学生を含めこれから何かを始めたい人へのメッセージとして伺いたいのですが、会社を立ち上げて事業を始めるために大切だと思ったことはなんですか。伊達さんの大切にされているものはなんでしょうか。

学生さんからもそういった質問をよく受けるのですが、私がよく話すのは「自分が何をやっても、極端に言うと世界中が敵になったとしても絶対に味方でいてくれる人を2人準備するのが大事」ということです。事業の内容には全然関係ないんですけどね(笑)
1人だけだと依存関係になってしまって危ないけど2人なら…例えば、大学院を辞めて臨床心理士にもならなくてイトバナシのような小さな事業をやって失敗してもこの人は私のことを大切にしてくれるんだという人が2人くらいいると、くじけそうになった時にも「この人たちがいればなんとかなるしやっていこう」って思えるんです。そんな存在は大事だと思っています。

「起業をするために何が大切ですか」という質問に、ものすごくかっこつけて「インドの刺繍の文化を守りたいと思っています!」と言うこともできるんですが、そんな高尚なものはあまりないんです。
私はやっぱり刺繍が好きで、「途上国の刺繍が残っていったらいいなぁ」という思いがあるので、「好き」という純粋な気持ちを持っていることも重要だと思います。
初めて製品としての服を作ろうとした時、刺繍を入れれば入れるほどお洋服の単価は上がってしまうので、「ワンポイントにしてTシャツを作ったらどうか」とか「刺繍をできるだけ減らして低価格の小物を作ったらどうか」とよく言われました。会社を立ち上げて最初の頃はいろんなアドバイスをもらったんです。(苦笑)でも、そのアドバイス通りにやらなかったのは、「自分の好きな刺繍をまとえるくらいにたくさん使いたい」 と思っていましたし、それは服でありたくて、現地にある刺繍をなるべくそのままに使うことが大事だと思っていたからです。「自分の好きなものを減らさない」というのはアパレル事業において大事にし続けていますね。

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—「好きなものを減らさない」。いいですね。
ビジネスでやるぶん、自分のこだわりと会社としての存続の両立は難しくないでしょうか。

そうですね、確かにそこは大事ですよね。なので、私以外のスタッフは作ったものをどう広めるか、新しい商品はできないかということを常に考えてくれていますし、アパレルブランドを私の好きなことができる場としてどう残していくかについても考えてくれています。
今は「株式会社イトバナシ」とアパレルブランドの「itobanashi」が同じ名前だからややこしいんですが、会社の方では例えば伊達ゼミ(広島大学の起業支援プログラム)や文化学園での講師も教育事業の一環として取り組んでいます。
あとは地域資源活用事業という名で、こうした地方のお店をつくるときにもいろんな種類の国の補助金を活用させていただいています。私たちの扱っている刺繍は長い歴史の中でゆっくりと文化を醸成してきたものなので、アパレルブランドitobanashiも焦らずゆっくり成長させていこうと思っています。

—なるほど。刺繍製品を販売するだけではなく様々な取り組みをされているんですね。
「世界中が敵になったとしても絶対に味方になってくれる人を2人準備する」もかっこいいと思いました。
(第4編へつづく)

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第3編では、「イトバナシ」という名前にこめられた想いについてお届けしました。
次でいよいよ最後の記事。第4編では、起業した感想、イトバナシのこれからと伊達さんの夢についてお届けします。

【第3回 第4編】イトバナシのこれから、伊達さんの夢

【第3回 第2編】インドとの出会い

<イトバナシのyoutube動画>

今回の記事に関連して、株式会社イトバナシの起業直後、起業2年目の体験談について伊達さんが語っている動画を紹介します。

【起業して初めて知る、起業直後のグチャグチャ期】
起業直後の体験談について3点にまとめてわかりやすくお話されています。伊達さんの考えていたことや思いについてもわかる動画です。
【起業2年目でつまづいているあなたへ!】
起業はしたけれどまだ模索段階…という人向けに役立つ動画です。
「困ったこと」→「解決策」という流れで話しているのでわかりやすかったです。

itobanashiのHP: https://itobanashi.com/

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【魅力発掘家】として、様々な"魅力"を発掘中です。 コトバにすることで発掘したものに磨きをかけ、記事を通してより広く届けることでさらなる魅力へとつながってほしいなと思っています。