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自転車が、盗まれない。


わたしの愛チャリは、近所のリサイクル施設で2000円で手に入れた、オンボロ。

自転車に元々ついているはずのロックは、当初から無かった。


通勤に使う最寄り駅は、1日の乗降者数15000人を超える。

駐輪場はいつもいっぱいになる。「必ず施錠しましょう!」「ロックは二重に!」の看板が、駐輪場のどこにいても常に見える範囲に掲げられている。


2000円とはいえ、わたしの愛チャリ。みすみす盗まれるわけにはいかないし、盗まれると困る。

当然、使用開始日から後付けのロックをつけていた。




ここまでは、何のこともない話。


ある朝、時間を気にしながら朝支度を終え、愛チャリにまたがり最寄り駅へ。さて、いつものように自転車にロックをかけようとバックを探るが・・・見当たらず。


ロックを取りに帰る時間があるわけはなく、盗まれるなよ、と祈りながら愛チャリを後に、電車へ急いだ。


仕事を終え、駐輪場で愛チャリと再会できた時は、無事を喜び、ほっと胸をなでおろした。




あれから何カ月が経っただろう。

わたしはロックをしない楽さを覚え、ロックをする頻度は自然と減っていき・・・今はロックをどこに置いたのかさえ忘れてしまっている。


乗降者数15000人に上る駅の駐輪場で、ロックをされずに居るわたしの愛チャリは、今日も、盗まれることはなかった。



わたしの愛チャリは、オンボロ。
だからだろうか。


ちょっと、考えてみた。


もし、本気で、「自転車を盗みたい」という人がいたら。
例えば、緊急性があってどうしてもチャリを使って移動したい!という状況が発生した人がいたら。夜、徒歩で帰宅しようとしたけど、誰かに襲われる危機を感じている、とか?

そんな人がいたら、ロックがかかってない自転車が必要なんじゃないかって。


2000円でも、わたしには愛チャリだけど。
わたしの愛チャリが、万が一の誰かの役に立つならば、わたしはロックをかけずにいる方がいいのでは。

なんてね。



とはいえ。駅から帰る手段を奪われることは、実際問題、困る。買い直すチャリが2000円で手に入るとは限らないし。

わたしには、高価なチャリを買う理由は見当たらいない。2000円のオンボロで十分だ。が、実際、もし今の愛チャリを失って、次に買うチャリが15000円だったら。
わたしは果たしてロックをかけずにいられるだろうか。。。
これは正直、分からないな。



「盗まれない」記録。
明日も伸ばせますように。

そう願うことは、自転車を盗む緊急事態が、誰かに訪れることがありませんように、と祈ることに通ずるな、と。

妙な納得感が出たので、この話はおしまい。

これまでの経験で、なんとか自分の役割に気づくことができました。与えられた役割を全力で全うするため、「わくわく」と「ドキドキ」のど真ん中を走ります。 サポートでの勇気づけ、素直に嬉しいです\(^o^)/