スティーブライヒ再考
今年の5月ころ、スティーブライヒをよく聞いていました。
特に繰り返しきいたのが、
Different trains
という曲。
ライヒはユダヤ人です。そして、Different trainsというこの曲はホロコーストを題材にした曲です。Trainsというのは、ユダヤ人を絶滅収容所に運ぶ電車のことを指しており、Differentというのは「運命がもし違っていたら」という仮定のことをいっています。それはライヒ自身のこととも、人種や時代の違うわたし達全てのことを指しているようにも思えます。
いろいろなバージョンがあるけれど、特に秀逸だったのがboiler roomのライブ映像。
ちなみに、上の写真はライヒの曲で踊っているローザスというコンテンポラリーダンスカンパニーの画像です。(こちらの作品も秀逸。Come outという曲。)
ライヒは、テクノなどの音楽家にも強い影響を与えており、僕は大学生の時からテクノをすごく聞いていたので、その時に知りました。
今回、聴きなおしたきっかけは、思想家の東浩紀という人が言っていたことが気になったからでした。
「悲劇や不幸せというのは、自分で選べない運命を抱えたひとのこと。無差別性の悲劇。」
例えば、津波などの自然災害、原発災害、そしてホロコーストがそうなのかもしれません。
でも、最も悲劇なのは、「人災による無差別性」
ホロコーストや原発災害など、時代に翻弄された災害のこと。
大学時代に、神話について学んでいたときに、恩師の先生が言っていたことはすごく印象的でした。
「文献を調べるときは時代背景を調べることが大事。そのことを前提にしたうえであえて言うと、ヒトラーには時代のヒーロー的な評価があった。」
これは、考えていくこと、物事をとらえていくこと、という自分の姿勢に強く影響を与えたものでした。
にんげんという存在、時代、悲劇の起こり方
現代は、捉え方によっては、恵まれた時代に入ってきたのかもしれません。
人権や個人という概念が成熟とはいえないまでも、少なくとも保障される時代になってきた。
その一方で、時代や人間存在に目を向けること、考えることの価値を感じています。
そのことを考えるとライヒの仕事への敬意や意味の重さということを感じずにはいられません。
人生は旅。探し求めるもの。
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