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小学生の時の記憶。

 皆さまこんにちわ。私の小学生の時の記憶の一つで強烈な印象が残っているお話です。

 時は昭和45~6年くらいだったと思います。近所にどデカい工場があってその入場門の前にこれまた広い場所があり、そこに材料なのか残骸なのか分からないけどフレコン(でっかい土嚢袋みたいなの)の山がいくつもあって、そのピラミッドみたいに積み上がっているところに登って遊ぶというのがほぼ日課でした。今思うとそれが崩れたら間違いなく即死ですがその時代はそんな危険なものがそこら中に有って気にもしてなかった。その広場の真ん前に酒屋さんがあって裏手に回ると色々な空き瓶が積んであり、日本酒の栓を集めて分解してバッジを作って自慢しあったり、ラムネの瓶を割ってビー玉を集めたりしても全く怒られることもなく大らかな時代だった。そしてその横には大きな神社があってお祭り事以外の日はあまり人が居なくて時間が止まったようなシーンとした境内で割と大きな社殿が建っていた。

 その社殿の下に潜っていくと地面の冷んやりとした感触が心地良かったので結構好きな場所だった。ある日、また潜り込んで割と奥の方まで行った時にもっと先の方で何か気配を感じて鳥肌が立ったのです。間違いなく何かに見られていると気づき戻ろうとした時、「おいっ」と呼ばれて振り向くと暗いところで二つの目玉がこちらを見ていた。犬でもなく猫でもなくて人間だった。おしっこチビりそうになりながら必死で逃げた。このシチュエーションでは体の小さい子供の方が早く逃げれるものだなと思った。
家に帰って話す訳にもいかず神社の下に潜って遊んでいたことがバレると親に殴られて泣くハメになるので内緒でした。皆さま神社の下に潜って遊ばないようにね。何が居るかわかりませんよ。

 子供というのは何かと遊びを見つけるものです。昔の集落みたいな場所では青年団や消防団みたいな組織が有って、定期的に消防車が見回りでゆっくりと周回していてその後ろに飛び乗って村を一周ドライブして帰って来たタイミングで消防団のお兄さんに怒られるもまた乗せてねー、、おーええでー、、というようなのどかな風景もまた懐かしいものです。
そんなのどかな村の中でちょっと変わったおじさんがいて、いつも半袖シャツに半ズボンという裸の大将にそっくりであちこちで目撃されるある意味で名物おじさんでした。でも、悲しいかな今で言うちょっと障がいを持っていたようで普通に喋ることが出来ずウーウー、あーあーとしか言ってるとこしか見たことがなく、親も絶対に関わるなといつも言っていた。でも、逆に興味が湧き一度話しかけて見たんだ。そしたらちゃんとは喋れないけど、見たこと無いような優しい目でこちらを見ていて、表情が嬉しくてたまらない感じだった事を覚えている。本当にやばくて危ない人なのか?という疑問を持ってからさらに観察することになり、さまざまなことが分かった。

 ある時、その人が死んだらしいと噂で聞いた。防火池で溺れたらしいということであっという間に忘れられ、話題にも触れられなかった。でもそれから聞いたのが誰かを襲ったり脅したりしたのではなくて溺れていた子供を助けるために溺れちゃったらしいという事だった。きっと本当は役に立ちたいと思っていたんだと思った。あの時に見た優しい目は子供の目だったような気がしたな。

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