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サソリの足音が聞こえる

ジャイアントキラーの名を持つ車が他にない。
それだけで手に入れる理由は十分だった。
代替可能性は基礎が海に沈んでしまっている家のごとく限りなく低く、
ブランディングに独占禁止法が適用されようものなら即法律違反だ。
手に入れるための色々な制約は一瞬にして吹っ飛んでいった。

ジャイアントキラーとして、この相棒を迎え入れることは使命だったのだ。
「そんな小さな車に400万も払うの?」
何回に同じことを言われたことかわからない。
「普通のサラリーマンが買える唯一のスーパーカー」
誰かが言ったこのキャッチコピーはとても気に入った。

人間と機械、たかが10年や15年の付き合いかもしれない。
しかしボーダーを超えた感覚的などこかで、
ジャイアントキル の思想がリンクしそうな気がしている。

こんなに人の目を気にしない選択をしたのは生まれて初めてかもしれない。
心のそこから納得して手に入れる相棒だ。
物に対してここまで気持ちを重ねたのも初めてかもしれない。

「サソリの毒にやられた」
ABARTHの魅力にとりつかれた人々は口々にこの言葉を残す。
私にとってABARTHはそうではない。
共に時代を駆け抜けるジャイキリバディである。

ABARTH 595 COMPETIZIONE
発注して3ヶ月経ち、イタリアから近隣のディーラーまでとうとうやってきた。
納車まであと1週間となったが、だんだんに近づく私のサソリとの対面に
少し緊張している。

今までお世話になった愛車に感謝しつつ、
サソリとの生活に思いを馳せているところだ。

それにしても、ブランドに独占禁止法が適用されるかどうかという件、
ふと頭に浮かんだがこれはなかなか面白い。
ワクワクするタイトルだ。
つまり思想に独占禁止の令が下されたら。
策定の仕方も運用の仕方も全くわからない。
いつかブログで大いに語り散らかしてみたいと思う。

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