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JOHNDOEに寄せて

 noteに投稿している「花木」を改編し、こちらの脚本に劇中詩として引用していただいています。  22/6/26に上演されたものです。映像はないみたいですが本は読めます。よ…

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1年前
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花木

あたり一面 深い緑 喉の渇きを つよく感じる 横を通り過ぎる 暴力的な何か 見慣れない影 追って森の奥へ いつしか発芽して 光を浴びる 細胞分裂している僕らを …

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1年前
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うつくしい花

よい生垣になりたい つよくこどく 靄がかかる あめ、用水路 流れていく たゆたうばかり ゆめのまにまに しばらく 野 になる どこでもない どこか 水 溜まり …

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1年前
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tempest

「今日はとても良い天気だ」  教会の側、十字を切りながら通り過ぎる。性別も宗教も知れない私を、誰も救いはしない。嵐が近い。 (駅改札前には喫煙し舌打ちをする人あ…

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1年前
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「open your eyes」

 車を運転していたらイヌが飛び出してきた。気を取られていた。後方でイルカがマンホールくぐりをしているのに気がつかなかった。でも大事なのはイヌ。イヌが無事なことが…

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1年前
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アンドゥ・トロワに寄せて

アンドゥー・トロワ氏は おどるよう白線を超える 縦列駐車は苦手だけれど クランクがわりとうまい 道路標識は見逃しがちで 見逃した事によく気づく 物語の強さと現実の弱…

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2年前
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ME

し すれば なに でもなれる はず で とびこ む 春 沸く 晴 はる めく る る 目が 立つ 猿 すべり はやく 逸 る なつ 吐く 懐 では ない か 芝 らく …

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2年前

(zoe・trope)

もっとかんたん もっとかなしい どちらもあるということ おどりくるう ( みんなすこやかでいてください ) めぶき もえぎ こうよう らくよう くりかえしてゆく うまが…

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3年前
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「しからば尸」

(2020角川短歌に出して恐らく掠りもしなかった50首) こんにちはやたらしずかな病室のリネンはしろくしわが一筋 食堂はしずか拡がり絵が掛かる うごかぬからだ幽体離脱 闇…

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3年前
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タイムマシンを忘れない

五次元から声がしている 嘗て覚えていたことを忘れ 忘れられないあの人を忘れる おぼつかない海馬をかきむしる 耳をかたむけるがおもい出せない 忘れ去られたことをふいに…

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3年前
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のぞむとかなわない

望まなければ叶うかというとそういう訳でも無い 切なさを孕むことが当たり前のようになった生活 女子高生がエモいと言って横を通り過ぎるヨワい 強く望みすぎると壊れてし…

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3年前
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JOHNDOEに寄せて

 noteに投稿している「花木」を改編し、こちらの脚本に劇中詩として引用していただいています。
 22/6/26に上演されたものです。映像はないみたいですが本は読めます。よろしければご覧ください。

 3人の考え抜いた表現の中で、風が吹いて脱力するような、一助になれば良いなというのを念頭に書きまして。
 強いものと表現の相性を思いつつ、ふりかえれば世界の広がりのことしか考えていません。遠くを眺めて

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花木

あたり一面

深い緑

喉の渇きを

つよく感じる

横を通り過ぎる

暴力的な何か

見慣れない影

追って森の奥へ

いつしか発芽して

光を浴びる

細胞分裂している僕らを

森が嗤う

ゆめをみて

とおのく

いしき

深くふかく眠る

(21/6)雑誌投稿用

うつくしい花

よい生垣になりたい

つよくこどく 靄がかかる

あめ、用水路 流れていく

たゆたうばかり

ゆめのまにまに

しばらく 野 になる

どこでもない どこか

水 溜まり 道に迷う

傷口から 浸出液が

掬うきみの 指先よ

緑に染まる うつくしい花

(21/6)雑誌投稿用

tempest

「今日はとても良い天気だ」

 教会の側、十字を切りながら通り過ぎる。性別も宗教も知れない私を、誰も救いはしない。嵐が近い。

(駅改札前には喫煙し舌打ちをする人あり。待ち構えていて、隙あらば唾を吐きかけようとしてくるので注意されたし。土の香り。)

 市井の人の言葉、国勢調査で知れたことか。ここは治安がわるい。魂削り出した台詞を数えきれぬほど書き留めては履き捨てられる。

 やまない雨、病まない

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「open your eyes」

 車を運転していたらイヌが飛び出してきた。気を取られていた。後方でイルカがマンホールくぐりをしているのに気がつかなかった。でも大事なのはイヌ。イヌが無事なことが第一、僕には。

 犬種はわからない。ミックスだろうか?パピヨンみたいな耳、ダックスフントみたいな脚、キョンみたいな鳴き声。

 対向車も後続車もない、一通かというぐらい狭い細道。家屋が立ち並ぶ、郊外のしずかな昼下がり。急だった。ブレーキと

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アンドゥ・トロワに寄せて

アンドゥー・トロワ氏は
おどるよう白線を超える

縦列駐車は苦手だけれど
クランクがわりとうまい
道路標識は見逃しがちで
見逃した事によく気づく

物語の強さと現実の弱さ
どちらが身に刺さるか?

胃はタオルになりうねる
舗装された道が引かれる
生花か造花か当てる遊び
無駄と思われる装飾や鏡
うそが並ぶ関係性はなぞ

アンドゥー・トロワ氏も
またその内の1人として

仕事に行く前のストーブ
形容さ

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ME

し すれば
なに でもなれる
はず で
とびこ む

春 沸く 晴
はる めく る
る 目が 立つ

猿 すべり
はやく 逸 る
なつ 吐く 懐

では ない か
芝 らく し
飽くる あ  き

ふ 湯 雪
まみれて られて
されて とれて
なく 凪ぐ 無

骨なのね
 す  よ 

たよう たよう 
たゆたう たいよう

担う
 に なる

(21/5) 雑誌投稿用

(zoe・trope)

もっとかんたん
もっとかなしい
どちらもあるということ

おどりくるう
( みんなすこやかでいてください )

めぶき もえぎ こうよう らくよう
くりかえしてゆく

うまがはしる えが まわる
ぼくはこれになります

めをとじて
ゆっくりと ひらく

まえとあとでかわらぬ世界
すこし ぱられる している

ふあんになる
きぼうになる
どちらでもないということ

(21/2/13)

「しからば尸」

(2020角川短歌に出して恐らく掠りもしなかった50首)

こんにちはやたらしずかな病室のリネンはしろくしわが一筋
食堂はしずか拡がり絵が掛かる うごかぬからだ幽体離脱
闇向こうみたこともない明滅が私を捉えて離さないので
窓硝子曇らす吐息拭っては消える赤い白い線に点に
陽があたる眩しい壁に気圧されて血圧下がる君がぼやける
手首には抗菌仕様バーコード名前性別生年月日
防護服身も心も隠したら私は無敵無

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タイムマシンを忘れない

五次元から声がしている
嘗て覚えていたことを忘れ
忘れられないあの人を忘れる
おぼつかない海馬をかきむしる
耳をかたむけるがおもい出せない
忘れ去られたことをふいに思い出し
忘れることを忘れ、戦争も平和も忘れ
鳴り響いている第九だけが妙に懐かしい
重ね合わせ交差しても蘇らない記憶があり
忘れないでいてということを忘れないでいて
とどめておくこと、とどめておかないこと
ただ流れすぎていく音、停滞して

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のぞむとかなわない

望まなければ叶うかというとそういう訳でも無い
切なさを孕むことが当たり前のようになった生活
女子高生がエモいと言って横を通り過ぎるヨワい
強く望みすぎると壊れてしまう何かを持っている
ときどきどこへ向かえば良いのかわからなくなる
気持ちの行き場を失ってわたしが行方不明になる
行方不明のまま踊る踊りながら誰かを探している
もどかしさでどうにかなりそうな僕らを包むのは
熱風どこからともなく涙も乾く程に

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