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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】アレルギーと鍼灸(疾患別編)

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。
いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

今回は、数多くあるアレルギー疾患の中から、代表的な以下の3疾患
・アトピー性皮膚炎
・蕁麻疹
・喘息
をとりあげて、東洋医学的な原因、および鍼灸による治療のポイントを明らかにしていきます。

では、最後までどうぞお付き合いください。


1.アレルギーとは

以前の記事『【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】アレルギーと鍼灸https://note.com/ayajazari/n/n85a85d5f71e0』の中では、

 1.アレルギーとは
 2.アレルギーと鍼灸
 3.鍼灸治療によるアプローチ

という内容で、アレルギーに関しての西洋医学・東洋医学な基礎知識をご紹介するとともに、鍼灸によるアレルギー疾患に対するアプローチとして、アトピー性皮膚炎に対する症例をひとつご紹介しています。
アレルギーの概要について知りたい方、こちらの記事を、まだ読んでいないという方は、ぜひ一度お読みください。

また、代表的なアレルギー疾患である、花粉症に関しては、以前、『【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】花粉症と鍼灸https://note.com/ayajazari/n/ndaea8e90b543』の記事で、詳しく解説をしていますので、併せてぜひ一度お読みください。

2.アトピー性皮膚炎

東洋医学としての病名には、「四弯風」・「異位性皮膚炎」等があり、その原因のおもなものとしては、以下があげられます。

2-1.湿熱

胃腸の働きの低下が原因となるものです。
過食やアルコール、脂っこいもの、甘いものなどの摂り過ぎや、体質的に胃腸が弱い場合、胃腸の消化吸収能力が低下し、体内に老廃物や余分な水分が溜まりやすくなります。
溜まった老廃物は行き場をなくし、皮膚の表面付近で循環停滞をおこして熱を帯びた状態となり、アトピー性皮膚炎の痒みを発症させます。
このタイプの場合、患部は肘、膝裏が多く、ブツブツとした発疹ができて、かきむしると、透明または黄色い浸出液が出てくるのが特徴です。

鍼灸治療では、湿熱邪を身体の外に出しやすくする、あるいは胃腸の働きを強化して老廃物を自らの力で排出できるように、有効なツボを選んで鍼またはお灸をします。

2-2.血熱

イライラ、精神的ストレスが原因となるものです。
普段からイライラしたり思い悩んだりしてストレスがかかりすぎると、心身共に過緊張状態になり、体内循環が停滞してしまい、たまったストレスを発散できなくなります。
そうすると、体内に熱がこもりやすくなり、その熱が皮膚に痒みを発症させます。
このタイプの場合、患部は顔や頸などの上半身が多く、赤みをおびて、かきむしると出血をするのが特徴です。

鍼灸治療では、体内にこもった熱を取り除きやすくする、あるいは身体の過緊張状態をゆるめるように、有効なツボを選んで鍼またはお灸をします。

2-3.血虚、瘀血

皮膚の潤い不足が原因となるものです。
長年にわたりアトピー性皮膚炎を患うことで、皮膚の状態を改善させて皮膚表面を潤わせる機能が働きづらくなり、皮膚表面の健康な状態を保つことができなくなります。
また、加齢により、皮膚が乾燥しても同様のことがおこりやすくなります。
その場合、潤いを失った皮膚は、乾燥してゴワゴワしたり、少しひっかくだけで出血をしやすくなります。
また、皮膚が黒ずんで、肥厚、甲錯などが生じやすくなることもあります。

鍼灸治療では、血を補いやすくする、あるいは血の滞りを取り除きやすくするように、有効なツボを選んで鍼またはお灸をします。

3.蕁麻疹

東洋医学としての病名には、「風隠疹」・「癮疹」「隠疹」等があり、その原因のおもなものとしては、以下があげられます。

3-1.風熱、風寒、衛外不固

暑さ・寒さを原因とするものです。
外界の気候変化から身体を守るバリア機能(=衛気)が弱り、身体が外界の気候の変化にうまく対応できなかったり、日常生活の不摂生・過度の疲労・虚弱体質などで身体機能が低下しがちだったりすると、風寒・風熱邪(いわゆる風邪=感冒)が入り込みやすくなります。
風寒・風熱邪が、体表の浅いところ(=皮膚)に留まると、身体はそれを身体の外へおいやろうとすることから、蕁麻疹の症状が出ます。
このタイプの場合、寒冷蕁麻疹・温熱蕁麻疹といったものが該当します。
また、外界の急激な温度変化をきっかけとして痒みの症状がおこるほか、汗をかいた後に風にあたったり、風に当たった後にぞくぞくした後に蕁麻疹の症状が出る、という症状の特徴をもちます。

鍼灸治療では、身体に入り込んだ暑さや寒さをとりのぞく、あるいはバリア機能(=衛気)を強化するように、有効なツボを選んで鍼またはお灸をします。

3-2.脾胃不和

食生活の乱れによる胃腸の弱りを原因とするものです。
海鮮類や香辛料など刺激の強い食べものをとりすぎたり、体質的に胃腸が弱い場合、胃腸の消化吸収能力が低下して、老廃物(湿熱邪)を身体の外へうまく排出できなくなってしまいます。
その老廃物が皮膚表面あたりにとどまって循環停滞をおこし、痒みを発症させることから、蕁麻疹の症状が出ます。

鍼灸治療では、湿熱邪を身体の外に出しやすくする、あるいは胃腸の働きを強化して老廃物を自らの力で排出できるように、有効なツボを選んで鍼またはお灸をします。

3-3.心経欝熱

イライラ、精神的ストレスを原因とするものです。
精神的に緊張した状態や焦り感が続いた場合、体内循環が停滞してしまい、たまったストレスを発散できなくなり、熱がこもりやすくなります。
その熱が、精神的なストレスから解放されたタイミングで、一気に身体の外に吹き出して、皮膚に痒みを発症させることから、蕁麻疹の症状が出ます。
このタイプの場合、動悸や不安感、不眠などの症状を伴い、夜間に痒みが悪化することがその特徴です。

鍼灸治療では、体内にこもった熱を取り除きやすくする、あるいは身体の過緊張状態をゆるめるように、有効なツボを選んで鍼またはお灸をします。

3-4.気血両虚

虚弱体質、身体の弱りを原因とするものです。
幼少期から身体が弱く病気がちであったり、大病から回復して体力的な衰えが目立つ場合、身体機能が低下をして、身体に必要となるエネルギーや血を十分に作り出し、身体全体に巡らすことができなくなります。
結果、外界の気候変化から身体を守るバリア機能(=衛気)が弱り、先に紹介済みの「暑さ・寒さを原因とする蕁麻疹」を発症しやすくなります。
身体を潤して栄養する役割を果たす、血が不足することで、皮膚表面の健康な状態を保つことができなくなり、蕁麻疹の症状が出ます。
このタイプの場合、反復して症状が出て、数ヶ月あるいは数年続いたり、疲労感にともなって症状が悪化することがその特徴です。

鍼灸治療では、エネルギーや血を補う作用が働きやすくなるように、有効なツボを選んで鍼またはお灸をします。

4.喘息

4-1.外感(風熱、風寒)

寒さや暑さを原因とするものです。
外界の気候変化から身体を守るバリア機能(=衛気)が弱り、身体が外界の気候の変化にうまく対応できなかったり、日常生活の不摂生・過度の疲労・虚弱体質などで身体機能が低下しがちだったりすると、風寒・風熱邪(いわゆる風邪=感冒)が入り込みやすくなり、体内の気血水の循環が停滞しやすくなることから、体内に老廃物が溜まりやすくなります。
こうしてつくられた老廃物のひとつが、喘息の症状をひきおこす痰であり、急激な寒さや暑さなどの温度変化があった時や、風邪をひいたタイミングで喘息発作が出やすくなる傾向がみられます。
このタイプの場合、発作の前あるいは同時期に寒気や喉の痛み、鼻水などの風邪症状を伴いやすいという特徴があります。

鍼灸治療では、身体に入り込んだ暑さや寒さをとりのぞく、あるいはバリア機能(=衛気)を強化するとともに、咳の症状をやわらげて、痰を身体の外に出しやすくするように、有効なツボを選んで鍼またはお灸をします。

4-2.食積、脾胃虚弱

胃腸の弱りを原因とするものです。
通常、食べ物や飲み物は、口から摂取されて消化管に入り、体内に栄養として取り込まれますが、その過程で出る、老廃物や余分な水分は、汗・尿・便など、排泄物となって体外に排出されます。
しかし、刺激の強い物、脂っこい食べ物、甘い物、生もの、水分を摂りすぎると、身体の消化・吸収・排泄機能が弱り、それらの老廃物や余分な水分は上手く体外へ排出されなくなります。
あるいは、体質的に胃腸が弱く、身体の消化・吸収・排泄機能が弱い場合にも同様のことがおこりやすくなります。
そして、老廃物や余分な水分は痰となり、溜まった痰を口から排出しようと咳が出るのが、いわゆる喘息の症状なのです。
このタイプの場合、慢性的に便秘・軟便・下痢気味だったり、普段から食べ過ぎを繰り返したりしやすく、食べすぎた後に喘息の発作がおこりやすい、という特徴があります。

鍼灸治療では、咳の症状をやわらげて、痰を身体の外に出しやすくする、あるいは胃腸の働きを強化して痰が作られないような身体づくりをするように、有効なツボを選んで鍼またはお灸をします。

4-3.肝気鬱結

心身の緊張を原因とするものです。
精神的なストレスにより気持ちがピーンとはった状態が続くことで、おのずと身体も緊張しやすくなります。
この身体の緊張は、無意識に呼吸の浅さを作り出し、呼吸により全身に空気を巡らす作用が低下してしまい、体内循環が停滞して老廃物が溜りやすくなり、痰となります。
こうして、体内でつくられた痰を咳により排出させようとして発作がおきる、これが精神的なストレス負荷を原因とする喘息の症状です。
このタイプの場合、仕事が終わった後など、ストレスから解放された直後に症状がおこりやすく、一日リラックスして休日を過ごした場合には発作がおこりにくいという特徴を持ちます。

鍼灸治療では、咳の症状をやわらげて、痰を身体の外に出しやすくする、あるいは、身体の過緊張状態をゆるめて痰が作られないような身体づくりをするように、有効なツボを選んで鍼またはお灸をします。

4-4.虚証

体質的な弱り、つまり虚弱体質を原因とするものです。
先天的に病気がある、幼少期から身体が弱く病気がち、成長後に大病を患い体力が落ちて身体が弱くなってしまった等の場合、五臓六腑(いわゆる内臓)の様々な機能が低下しがちになり、風邪をひきやすくなります。
また、虚弱体質が原因となり、胃腸が弱り、消化吸収能力が低下しがちになることもあります。
結果、これまでに説明してきたようなタイプの喘息症状がおこりやすくなります。
このタイプの場合には、いったい身体のなかのどの臓腑が弱いことが原因で喘息症状につながているのかをはっきりとさせることが、治療を行う上では重要となってきます。

鍼灸治療では、咳の症状をやわらげて、痰を身体の外に出しやすくするとともに、五臓六腑の機能を強化して虚弱体質を改善するように、有効なツボを選んで鍼またはお灸をします。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、『アレルギーと鍼灸(疾患別編)』と題して、
・アトピー性皮膚炎
・蕁麻疹
・喘息
をとりあげて、東洋医学的な原因、および鍼灸による治療のポイントを明らかにしてきました。

東洋医学、鍼灸においても、アレルギーの様々な疾患に対して鍼灸によるアプローチが可能なことがご理解いただけたでしょうか。

今回はここまでとなります。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

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画像の出典:https://www.photo-ac.com/


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