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デンマークからドイツへ行く4 -デンマークへ帰る-

前回のつづきから

ドムトルント(ドイツ) からデンマークへ帰る。
それまで今回の私の旅は完璧だった。列車は遅れることなく、迷子になることもなく、人々との出会いを楽しみ、良い感じに落ち着いた旅だった。

しかし、朝から嫌な予感はしていた。
一本目のドムトルント からハンブルクへの列車が朝から少しずつ遅れている。11時発の電車に乗るが、9時の時点で少しずつ遅れて来ていることを携帯が告げていた。
ハンブルグでの乗り換えが短かったため、これ以上遅れるようだったら新たにチケットを買って今すぐ宿を出た方が良いかな。と、そう思ったが、結局予定通りに宿を出た。


ドムトルントからハンブルクへ

今朝の心配は杞憂だったように大幅に遅れることなく無事ハンブルグに着いた。
ドイツに留学経験のある妹が「ドイツは列車の遅延やストライキは普通だし、駅員に聞かないと分からないから気をつけて」と言っていたので心配したが無事ついた。

余ったユーロを使い切るべく、自販機でコーラを買い、のんびりとホームでAarhus(デンマーク)行きの列車を待つ。

その間に、自分の電車を探している女性にホームを教えたりしていた。
彼女は「あなた、英語が分かりそう」とTheアジア系な私に電車を聞いて来たのだが、それくらい今回、ドイツではあまり英語が通じなかった。
デンマークのアーティストインレジデンスでは皆が自然に英語で会話していたので、勝手に「EU圏内みな英語ペラペラ」と思っていたがそうでもなかった。そしてそれに少し安心した。

そんな感じで待っていたらホームの電光掲示板から自分が予定していた列車の表示が突然消えた。



消えた。



周りの人もさわさわと動き出す。携帯アプリで見る限りでは特に何も起こっていない。
近くの係員に聞くと、インフォメーションへ行けという。

「ここ」から「ここまで」を情報やチケットを得るために往復する。
なかなかにエグい距離である。スーツケースを持っていたら泣いていた。

結果として、そこからハンブルクの駅で4時間待つことになった。

なぜだか分からないが、予定していた列車は来ないことになったらしい。
なぜだと思っても来ないものは来ないから、来ない。

購入していたチケットは変更払戻し不可のチケットだった為、再購入かと思ったが、インフォメーションの方が証明書を書いてくださり事無きを得た。ありがたい...

しかし、すでに指定席は満員、そして乗り換えなしでAarhus(デンマーク)に行ける電車は4時間後。
1時間ごとに4、5回乗り換える路線より、4時間待機を選ぶことに。


駅や付近で楽しみます。綺麗にユーロを使い切ったけれど気にしない。

おいしい

おいしい


駅の外で大きな音がした。
出てみるとレインボーパレードが。

Google Map上の虹はなんなんだろうと思っていたら、レインボーパレードだったのだ。
皆おしゃれでキラキラ。

しかしパレードの後のゴミがすごい。(換金のためにビンを集める人々もいたので、それはそれで良いのかもしれない)

長いと思っていた4時間は、しっかりちゃんと進んでくれた。


ハンブルク(ドイツ)からAarhus(デンマーク)へ
フリー席を無事確保し、Aarhus(デンマーク)へ。

座席番号の表示が以下の場合はフリー席
・空白
・frei
・ggf.freigaben (予約した人がいるかもしれない)
※ 反映されていない場合があるので、もし人が来たら替わる


電車の揺れにグロッキーになりながらデンマークへと入っていく。
ふと、列車が閑散とした駅に停まった。

駅、Padborg。窓からは迷彩服を着た人が見える。
行きでは入国審査はなかったが、ここでパスポートの提示を求められた。
デンマークの滞在許可カードも見せると、
「デンマークに住んでいるのか!」と係の人は人懐っこそうな笑顔で笑った。

デンマークに入った途端に風景が平たい。
デンマークにはじめに来たとき、飛行機の窓からも同じことを思った。
この平たい風景にほっとするくらいには長くいるんだな。と、そう感じた。


夜11時。
車内にひと気がない。これはこれでなかなかに怖い。
そこに一人の男性が駆け込んで来た。これが終電だからだ。

彼は、前に座っても良いかい?と聞いて来た。
3兄弟の誕生パーティをまとめてやってきた帰りで10時まで飲んでいたと、少し酒が入っている様子で愉快に話してくれた。

他愛もないお喋りであっという間にAarhusに。
グロッキーだったので話すことで気分が紛れ、彼がいてくれてよかったと感じた。ふと、彼の酔った様子から、もしかしたら彼は私と話したことは翌朝には覚えていないかもしれないな、と思った。奇妙な電車の、この瞬間だけの出会いがなんだか面白かった。

Aarhusに着き、デンマークだし、店は閉まっているだろうと諦めていた。
しかし、Aarhusのマックは24時間だと彼は言う。
そして駅のセブンも開いていた。最高だ。


Aarhus からViborgへ

どうにか暖かいものが欲しいと店内で見つけたインスタントのポリッジと共に、Viborgへと帰る。

25Kr (約400円)
物価の高い国へと戻って来た。この物価の高さにちょっと安心している自分がいる。危ない。

夜1時。無事到着。

ただいま、Viborg 。ひとり一人との一瞬の出会いと会話の素敵な旅だった。


そのあとレジデンスへと帰った私は、共同キッチンに放置され、溜まっていた(誰かの)お皿や鍋を思わずむちゃくちゃ洗い、片付けた(終





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