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春を摘む


天に枝を伸ばす桃の木の花がほのかに香る道を通りながら、ぷっくりとした蕾が一輪また一輪と花開いていく様を楽しみに出勤する毎日です。

桃の枝や木は、古来より邪鬼や魔を払うとされてきた吉祥の象徴でもあります。

そんなことを思いながら眺めていると、くしゃみふたつ。



回復とコントロール

本当に疲れきって帰ってきた時、私は夕食を摂りません。故意に、です。遅い時間ではなおのこと。

お風呂に浸かって深部体温をあげ、
少しクールダウンをしたら、そのまま体を真っ先に休めます。

なぜなら、食事をしてしまうと食べた物の消化などに身体の残りのエネルギーがほとんど使われてしまい、回復する方に十分に回らなくなるから。

そのかわり、
起きたら今度はしっかりと良い物を身体に取り込みます。
そこに季節のものが入れば、なお良しです◎

しっかり食べる朝食🍴

連勤疲れで、昨夜から今朝にかけてもそんな感じでした。

特にお料理に時間をかけられる休日は、内側からの体の回復に努めます。
バランスよく、彩りよく。
煮る・焼く・蒸すなど、調理方法もバラエティ豊かに。

何事にもほどほどと中庸が大切です。

本当はここに納豆ご飯なんかがあったら最高なのですが。
今日はこのあと、お勉強をする予定なので、炭水化物をあえて控えます。
眠気は炭水化物から来ると知ってから、集中したい時には予め摂取量をコントロールをするようになりました。


硬いあたまを

先日母と摘みに行ったつくしを調理しました。
袴剥きの作業は土まみれになって大変だし、人差し指と親指に灰汁がこびりついて真っ黒けになるけど、それが季節の楽しみでもあります。

袴剥き後

つくしはあたまのまだ開いていない硬いものを選んで摘みます。
胞子を飛ばし終わったあとのつくしは繊維が固くて噛み切れず、味もしなくなり美味しくありません。

頭の硬い人は嫌ですが、
つくしはあたまの硬いものを。

先程の朝食の写真の奥の白い小皿に盛られているのがつくしの炒め煮です。

知り合いの農家さんの畑で大量に採らせていただけた年には、
『つくしづくし膳』を作ったこともありました。

つくしづくし

大量に摘んでも、調理をするとかさがかなり減ります。


つくしご飯が大好きです。
炊いている時のあの香りも幸せ。
実家ではつくしを『おつく』と呼んでいて、例えばつくしご飯=おつくご飯

つくしのつくだ煮も我が家の春の定番です😋

大袈裟ではなく、
つくしを食べないと私の春は始まらず、つくしを食べないとその年の1年間なんだか元気が出ません。

高校を卒業して東京に移り住むと、あんなに生えていたつくしがどこを探しても生えていなくて。数年ぶりに都電荒川線の線路にみつけた時は痛く感激しました。そのまま線路に摘みに降りてしまいたいくらいに。笑

それを聞いた母が、毎年春にはクール便でつくしを送ってくれるようになりました。おつくご飯の炊きたてを直接お家まで届けてくれたことも。
「美味しい、美味しい」とぽろぽろ泣きながら食べる私を、母は優しく笑ってみつめてくれて。

何年経っても、つくしは私の春の大事なバロメーター。

去年撮った写真を見返してみると、今年は去年より少しだけ地面から顔を出すのが遅かったようです。

今は神奈川に戻ってきて、時間を合わせて母と一緒に何かを摘みに行ったりできる環境と、季節を敏感に感じとれる豊かな自然が周りにたくさんあることへのありがたみが身に沁みて分かります。


農家の天敵

そうそう。
つくしは農家の天敵なのだそう。
ある農家さんでは、5メートルも土を掘り返して雑草の根を一掃し、新たに耕した畑につくしが出たと言っていました。
つくしはそれほど生命力の強い植物なのですね。

摘ませてくださった農家さんも頭をかかえていらっしゃり、
「どうぞどうぞ、いくらでも」
「そんなもの、なににするの」
…というくらい疎ましがられていたつくし。笑

除草剤を使う農家さんも多い中、雑草の茂る田畑は私にとって魅力的な宝庫に思えても、家業とされている方々にはつくしはかなりの厄介者なのだと知りました。


春風の中で

つくしを食べないと調子が整わないほど、春先に摘んで食べるつくしが毎年のいちばんの楽しみです。
虫たちやカエルなど、生き物に話しかけたり戯れたり、傍らに生えるたんぽぽやヨモギや芹やふきのとうを摘みながら、袋やかごをぶら下げて、鶯の声をバックに春の風を浴びて田畑やそのあぜ道でつくしを摘む時間が大好きです。

▲時折り吹く春風と鶯の声をお楽しみください♪


つくしのあとは

つくしのあとに続く楽しみはスギナです。つくしが終わると一気にスギナが茂ります。

今年は『スギナすぎないおやつ』でも作ろうかな。笑
摘んで干して蒸して、スギナ茶も一緒に作ります♪


ハードな勤務に耐えうる健康で丈夫な身体の土台はやはり睡眠と食であり、季節の食材と、土に触れてそれを摘む癒やしの時間にうんと支えられていることを改めて感じます。

ふきのとう
顔を出したばかりのつくし
よもぎとつくしとてんとう虫



旬を知る

「季節の野菜」と言うと、みなさんがよく勘違いしている代表的なものがいくつか。

雑学です。

トマト
❌夏の野菜
⭕冬の野菜
トマトの旬は冬です。冬が一番美味しいんです❣️
とはいえ。夏に冷やしたトマトも最高に美味しいですよね。

かぼちゃ
❌冬の野菜
⭕夏の野菜
ハロウィンから冬のイメージしかないかぼちゃ。
冬の煮物やこっくりポタージュなんて格別ですよね。
でも実は、夏野菜なんです🎃✨

冬瓜
❌冬の野菜
⭕夏の野菜
冬まで保つので「冬瓜」といわれる由縁です。上品で煮崩れしないのが本当に嬉しい。湯葉と冬瓜の煮物が大好きです。


そのものの特性や旬を知ることで、見えてくるものと小さな幸せがたくさんあります。

つくしが出ているうちに第3弾・第4弾と摘みに行って、春のほろ苦さをまだまだ存分に味わおうと思います。

それでも季節の食材を摘むことが趣味や特技だと言えるくらい、もう少し時間を使えたらいいなぁと思う早春。
      

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