見出し画像

ジョブ型雇用が進む環境下での企業の組織体制について

今回は、近年盛り上がっている「ジョブ型雇用」について、これまでの流れと今後の流れ、そしてそれに伴う今後の組織体制について、参考になるような情報を整理していきます。

|ジョブ型雇用導入の動き

大日本の労働人口の変化、コロナをきかっけとした働き方の変化、若手を中心とした働き手の価値観の変化、多様化などの流れがあり、大手企業を中心に導入が進んでいます。

また、中小企業においても一部取り組んでいる企業もあるようですが、まだもう少しこれからという状況のようですが、基本的にはジョブ型雇用というものには前向きな経営者が多くいらっしゃるようです。

|ジョブ型雇用とは?

ジョブ型雇用とは、松本順市氏によると、以下の通りです。

「ジョブ型雇用」というのは、日本的な雇用である「メンバーシップ型雇用」に対して、欧米型の雇用システムを表現する言葉です。

日本における経営環境の変化や人事上の問題を背景に、さまざまに論じられているこのジョブ型雇用ですが、端的にいえば、ジョブディスクリプション(職務記述書)を作成し、その職務内容に基づいて必要な人をその内容に見合った金額で採用する手法のことです。」

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いは一体何なのかといえば、ジョブ型が職務に対して人を付ける「就職」であるのに対して、メンバーシップ型は人を採用してから職務を付ける「就社」という表現が分かりやすいでしょう。

雇用の基点が、職務ありきか、人ありきかという違いです。

ちなみに、松本順市氏の簡単なプロフィールはこちらです。

30年連続増収増益を実現し、現在は東証1部上場している、株式会社魚力に当時アルバイト入社し、同時に社長の参謀役を務め、6K産業と呼ばれる魚屋の業界において、サービス残業130時間から業界初のサービス残業ゼロ完全週休2日制を実現。

現在は人事コンサルタントとして、2021年4月までの17年間で1306社の企業の人事制度づくりを支援しているダントツの日本一のコンサルタント。

日経新聞の編集委員である水野氏は、「ジョブ型を甘くみるな 人事・組織、根本から見直しを」という記事で、次の図のようにまとめている。

画像1


|ジョブ型雇用の流れが起きているはなぜ?

新卒一括採用などの日本的な人事制度が時代環境に合わなくなってきたことが問題とされています。

松本氏は、具体的にメンバーシップ型雇用がどんな問題をもたらしているとされるのかを以下に列挙しています。

「年功序列型賃金による高齢社員の賃金の肥大化」
「重要な仕事をしていても若年社員の賃金が低いこと」
「社員の成長意欲の低さ」
「優秀なグローバル人材・高度なテクノロジー人材を採用できないこと」
「専門性の高い人材が育ちにくいこと」
「日本企業の国際競争力の低下」

▶︎生産性の低さ(主に高齢社員)
日本の生産性の低さはかねてより話題になっていると思いますが、特に直近でのトヨタ自動車豊田章男社長や経団連の中西宏明会長らの、「日本型雇用システム」を見直しを議論すべきという内容において、高齢層社員の給与と付加価値の話題がわかりやすいかと思います。



▶︎働き方の変化(テレワーク)
コロナをきっかけに、テレワークという形を含めた働き方が変化していると思います。よく言われるように、コロナで変わったものは一時的なものではなく、近い未来くるべきものが早まって来た、という中で、

今後も全てが切り替わるとは思いませんが、テレワークでできる仕事(デジタル系)は増えていく中で、その流れは不可逆的なものがあると思っています。

これも様々なところで話に上がっていると思いますが、働く環境、働き方が変化した中で、社員、人材への評価も当然これまで通りにはいかないケースが多く、今後の評価制度の見直しを進めている企業も多いようです。

その一つとして、プロセスが見えづらい、働きぶりが見えづらいなかでのジョブ型の導入が進んでいるのではないでしょうか。

▶︎人材流動性の高まり

近年は、人材の流動化も進んでおり、そもそもこれまでの終身雇用を前提とした採用手法、評価制度が成り立たなかくなって来ていることも要因としてあるかと思います。

逆に外部の力を借りる際にも、今後はより人材のマーケット市場価値を意識したオファーをしなければならず、そこにおいては自社の雇用制度は関係なく、優秀な人材に振り向いてもらうための制度にしていく必要があるもだと思います。

▶︎優秀な人材の獲得(デジタル人材など)

上記記事で、NECのCTO西原氏は以下のようにコメントしています。

”個人的な見解ですが、これからの雇用形態では年齢、性別、国籍といったあらゆる面での“障壁”がなくなっていくでしょう。「新卒一律」といった発想も徐々になくなり、新人採用でもバリエーションが増えていくと思います。

最近、優秀な大学生がスタートアップを志してチャレンジしていることは素晴らしいと思います。会社に属さずに、フリーランスで複数の仕事をこなしていく人材も増えていくでしょう。

「社会的なインパクトを与える仕事をしたい」と、研究とビジネスを両立させようとする中堅の人材が大企業から飛び出していくケースも増えています。こういった動きにより人材の流動性が高まれば、給与制度にもダイナミックな変化や多様性が生まれていくでしょう。”

フリーランスや兼業複業などの働き方も多様化する中で、これは日本だけではなくグローバル全体で優秀な人材の獲得競争になっているため、年次などに関係なく能力、成果に見合った評価や給与制度が必要になるということだと思います。

|ジョブ型雇用が進む未来の形

ジョブ型移行が進んでいる中で、特に中小企業などこれからジョブ型雇用を考えている企業の場合、その雇用形態が進んだ先の未来はどのような形になるのか?という思いもあるかと思います。

複業研究家の西村氏は以下のようにコメントしています。

人=任せたい仕事をもっとも高いレベルで遂行できる人材

と「人」の定義がガラッと変わり、仕事の内容によっては「任せたい仕事をもっとも高いレベルで遂行できる人材」が従業員とは限らないからです。

そういうわけで、ジョブ型雇用へのシフトが進むと、人と仕事に対する「考え方」が変わり、「人」という言葉の意味の再定義が進んでいくはずなのです。

冒頭でお伝えした、ジョブ型は仕職務に対して人を付ける「就職」の考えのため、会社を成長させる上で必要な取り組みを行う際に、その実行する人は必ずしも自社の社員とは限らない、ということです。

そうすると、雇用形態に関わらず、会社成長に必要なプロジェクト、それを遂行するために必要な人材の起用が必要であり、複業人材、フリーランス人材、など日本に限らず海外含めた人材アサインの広がりがあると理解しています。

更に、先程の生産性の部分にも関連する内容で、リクルートワークス研究所の記事では、以下のようの述べられています。

職務給により、賃金配分を柔軟にできる
職務給の比重を高められることだ。職務給の比重を高めることができれば、企業は勤続年数や等級によらず、重要な職務についている人材の給与を高くし、そうではない社員の給与を低く抑えることができる。

社員の高齢化により人件費の上昇に頭を悩ませていきた企業にとって、固定的な賃金制度を脱し、賃金の適正配分の実現は悲願といっていい。企業にとってジョブ型雇用の導入により、賃金分配ルールを柔軟にできることは極めて重要である。


コロナで変化が急速になった感じはありますが、基本的には環境の変化は常に起こっていると思うので、もちろん変わらない部分もあると思いますが、基本的にはその環境に適応するために変化することは必須だと考えているので、是か否かというよりは何かしらの変化をしていく必要はあるのだろうと思いました。


以上です!最後までご覧いただきましてありがとうございます。
また記事を覗いていただけますと幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?