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「オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」

「オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」
横浜美術館




この企画展、9月末からやってて、早く行きたくて行きたくて行きたくて仕方なかったやつなのですが、絶対にいいのわかってるのでもったいなくてとっておきたくて(好きなおかずはさいごに食べたい)、もう終わりそうなのでやっと行ってきました♡


今、パリにあるオランジュリー美術館が改装中で休館しているのですが、このタイミングになんと全146点のうち約半数の70点ものの名画が横浜美術館にやってきています!!こんな機会もう二度とないんだから!!すっっごいいいのいっぱい来てるんだから!!♡


魅力その1。じゃじゃんっ!(急だな)

『雌カマキリ』


今回来てるコレクション名、「ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨームコレクション」と呼ばれていますが、なんで2人やねん、2人で集めたん?という疑問が浮上するわけですが、これ、基盤はポール・ギヨームっていうパリで若くして才覚のあった画商でありコレクターが集めたコレクションなのです。

問題は妻のドメニカ。通称「雌カマキリ」。

カマキリの雌って雄を食べますよね?お察しの通り、ポール・ギヨームは44歳で不審な死を遂げます…。ぅあぁ…怖い。

その後、ドメニカは愛人の建築家のジャン・バルテルと再婚をし、ポール・ギヨームが集めたコレクションの中で自分の気に入らないものは売ったり(キュビスム嫌いでピカソ売りまくりました)、新たに購入したりしました(ルノワールやセザンヌなど既に価値が定まっているものを購入)。

ドメニカ自身にも絵画の価値を見定める目があったのがまたおもしろい。

しかしジャン・バルテルもまた不審な事故で死にます。えー…!

悪女ドメニカの存在は当時のメディアでも取り上げられ、決定的な証拠が出ず逮捕には至らなかったと言われていますが、実際は政府と裏取引をしてコレクションすべてを国に売却(ドメニカは寄贈ではなくあくまで売却という形にこだわった)することで逮捕を免れたのではないかと言われています。

というわけで、オランジュリーの所有物となったこのコレクションはポール・ギヨームが集めたものと、ドメニカが集めたものを見比べるとその好みの違いがわかりやすくておもしろいのでぜひそこにも注目していただきたいです!


ゴシップガール遠藤は悪女ネタが大好きなので、ドメニカの底知れない欲深さとアートを所持することによって得る権力の計り知れなさにドキドキしてしまいました♡(不謹慎)



魅力その2!…と続けていこうと思ったけど飽きたのでやめます(自由だな)


今回の展示作品はオランジュリーの至宝が来日しているわけですが、個人的なみどころは、ルソー、マリー・ローランサン、スーティンだと思います!


言わずもがな遠藤はルソー推しなのですが、超いいやつも含めて5点のルソー作品がきています!

ルソーは足を地面につけて描くのがへたくそで、浮いてるようにしか見えないのですが、自分でもそれに気づいたのか、『足を草で隠す』という荒手の手法を身につけて、足元には鬱蒼と草が生えています♡ほんとかわいい大好き🥰

遠近法もへたくそだし、比率おかしいし、こどもを描いてもおっさんみたいになるしへたくそなんですが、もう、そんなことどうでもよくなるぐらい絵を描くのが大好きで仕方ないっていう気持ちが伝わってくるので、ルソーの絵を見ると、超幸せな気持ちになる。大好きです。

そして今回あまりにも良すぎて絵の前のソファーで読書始めてしまうくらいにこの絵の前で一生を過ごしたいと思えたのがマリー・ローランサンの描いた5点。

彼女はキュビスムを経た、エコールド・パリを代表する画家なのですが、女性と動物の描き方が美しいのなんの…。動物が色っぽい。今まであんまり良さに気付けなかったのが不思議なぐらい、グレーがかった色調といい、柔らかで憂いを帯びた描き方といい、乙女の胸が高鳴りました。

そのなかで、雌カマキリドメニカを描いた肖像画があるのですが、なんだかすごく優しそうなかわいい女性で、ドメニカにもいろんな面があったんだろうなぁと思いを馳せてしまいました。



そしてスーティン。今まで全く知らなかったのですが、「ゴッホよりも重要な画家」と言われています。

彼は幼少期に虐待されていたり、様々なトラウマがあったそうで、動物が殺されている様子や貧困層の子供が働いている絵を好んで描いているので、全然好きじゃないしタッチや色が強烈でエグすぎてむしろ素通りしたい気持ちなのですが、凄くて身動きが取れなくなってしまう。コートールド美術館展にもスーティンの小さな絵が来ていましたが、その時も立ち止まってしまったぐらい彼の作品だけ放つオーラが全然違う。技術とかセンスとか周りからの評価とかそういうのじゃなくて、絵というものに彼のすべてがぶつけられていて訴えかけてくるもののレベルが他と全然違う。叫んでいる。

彼はゴッホとは違い、生きてる間に価値を認められ巨万の富を得るのですが、自堕落な生活ゆえ晩年は絵も描かず貧困に陥り、病気で亡くなります。なんて画家だ…。


もちろんほかにもピカソ、ルノワール、マティス、セザンヌ、モディリアーニと名画中の名画がたくさん来ています!


横浜美術館、とても広いので混みすぎることもなく、ところどこに大きなソファーがあるのですがその座り心地がふあふあなので、ぜひ行かれた際にはソファーに座ってゆっくり鑑賞してみてください◎


あと、今回の音声ガイドではピアニストの福間洸太郎さんによるドビュッシーの「夢」がフルでお聞きいただけます。ドビュッシー大好き遠藤は普段別のピアニストさんのを聞いてるのですが、福間さんのピアノのほうがより豊かで、思わず12回ぐらい聞いてしまいました。

ドビュッシーが片思いをしていた女性がピアノを弾いている姿をルノワールが描いた絵もあるので、ぜひ聞きながら見ていただきたいです。ニヤニヤしちゃう♡


というわけで見所しかない展覧会なので、ほんとにオススメです◎1月13日までなのでぜひ訪れてみてください。

わたしももう一度行こうかな♡

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