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見落とせないRed flagの話

こんばんは。
本日は鑑別やリハビリをする上で絶対に外せない(頭の片隅に入れておきたい)Red flagの話をします。

・そもそもRed flagって?

Red flagって聞いたことがありますでしょうか?
私は、学生時代は一言も耳にせず、医療機関に入った新人の頃にPTの先輩から指導を受けました。

Red flagとは、生物学的兆候。重篤な疾患の警告兆候のことを指します。

例えば腰痛の患者がクリニックないし、院に来たとします。
訴えているのは腰の痛みですが、腰以外の問題で症状が腰部に出ている場合もあります。
その背景に重篤な病気が隠れているケースがあることを私たちセラピストは理解をしておく必要があると思います。

・各部位のRed flagについて

それでは各部位のレットフラグについて簡単にまとめていきたいと思います。

・腰部のred flag

どれも重要な、情報です、聞き落としのないように患者さんの問診をしていきましょう。
これらの情報を加味した上で、除外をしていき問題がなければ『筋骨格系の腰痛』と判断をして治療を進めていきます。

腰部痛の身体所見を取る際の検査の特性について以下の論文ではこう記されています。

Diagnostic evaluation of low back pain with emphasis on imagingより和訳

出てきましたね、感度・特異度!!

がんの転移による腰痛の可能性を疑う場合のポイントとしては
50歳以上・癌の既往歴・体重減少・1ヶ月以上の治療に無反応』でしょうか!
1ヶ月も様子を見ていたら、病状が悪くなってしまいそうな気もするので初診の段階で『最近の急激な体重の減少がなかったか、癌の既往がなかったか?』などは事前に聞いて置けると良いと思います。


・頸部痛のRed flag

頸部痛のRed flagは元々、腰痛のRed fllagを参考に作成されているようです。
まずは、病歴、症状の特徴や変化が器質的な筋骨格系障害にみられるものと一致しているかどうかを判断する必要がありますが、その中でも以下のような状態の方は、注意を要します。

神経症状や全身症状を伴わない頚部後方の疼痛が主症状の患者には,腫瘍などの重篤な病変が存在することはほとんどないとも言われていますので、大きなポイントとして、下肢まで症状が出ている例や、歩行や膀胱直腸障害が起こっているケースなどには注意をして行かなければいけません。
また、『頭痛』を合併しているケースにも注意が必要だと考えています。
椎骨動脈瘤や頚動脈瘤などの血管障害の症状として急性の頚部痛と共に急性頭痛が起こるとも言われていますので、『頭痛』というキーワードにも場合によってはアンテナを貼るようにしています。

・背部痛のRed flag

背部痛と聞くと、私は自然と『内科的な問題はないか?』と漠然と思ってしまいますが、実際にはどのような疾患が原因で背部痛が起こるのでしょうか?
日経メディカルさんがまとめていたわかりやすい表があったので改変引用させてもらいます。

整形外科領域の疾患として、注意が必要なのは、脊椎の感染性の病変や圧迫骨折などの急性外傷が挙げられます。
また、腫瘍病変も見逃せません。

そのほかに、生命の危機に直結してしまうほどの『動脈系の疾患』も必ず念頭に置いておきましょう。
前職で腰部痛を訴えている患者で腰部のMRIを撮影したところ、腹部大動脈が異常に肥大していて、内科(循環器外科だったかな?)にコンサルしたところ、腹部大動脈瘤だったケースがありました。


・膝のRed flag(+トリアージ)


骨肉腫などは、よく情報として目に止まることが多いと思いますが、
意外と見落としがちなのが、青壮年や高齢者で急激に引き起こされる激烈な膝の痛みです。
歩けないほどの痛みで来院されて、大抵は車椅子を貸して欲しいと言われます。
みなさん予想がつくでしょうか?
図を見ていきましょう。

疾患として浮かべて欲しいのは、『急速破壊型の膝関節炎』、『骨壊死』です。
急速破壊型関節炎で最も有名なのはリウマチがベースにあり、関節破壊が生じてしまい、著しい機能障害を引き起こしてしまうことです。

骨壊死に関しては、変形性膝関節症などがベースにあり、軟骨下骨がすり減ってしまうことから、最終的に大腿骨の内側顆骨自体に壊死を生じてしまうケースと、
『特発性』と言って高用量のステロイドの長期間服用や、腎移植、過度の飲酒、血液凝固障害、度重なる放射線治療などが関係すると考えられています。

壊死の度合いにもよりますが、保存療法が選択された場合には、
厳重な免荷での管理が必要となってきます。

・肩関節のRed flag

肩関節に関しては、肩甲上腕関節自体の問題なのか、はたまた、上記のような疾患・病変が関わっているのかを判断しなければいけません。
特に、『肩が痛い』と訴えていても、患者自身が上腕などを触っているケースもありますし、痛みの質が(痺れ)だったりするケースもあります。

特に上肢の痺れ(片側や両側性によっても疾患は異なります。)や
巧緻運動障害などがあるケースは、見逃されやすい疾患が隠れているので要注意です。


・足部のRed flag

最後は足部のredflagについてです。

この中で、ポイントになってくるのは、『糖尿病による足部の壊死』です。
国家資格の試験でよく出てくる糖尿病の3大合併症のうちの一つですね!
し・め・じ(糖尿病性神経症・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症)で覚えましたね😁

整形外科領域ではあまり関係のない!って思っている方もいるかと思いますが、糖尿病を患っていることで足部に問題が出てくるケースがあるので是非とも診断基準を覚えておいていただけると、患者さんは安心されると思います!!!



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