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しゅうまい焼き鳥?牛丼ラーメン?ニューヨークに点在する、なんちゃって日本食レストランの明らかにおかしい一品を愛をもってリポートするシリーズ その1

<ニューヨークに点在する、なんちゃって日本食レストランの明らかにおかしい一品を愛をもってリポートするシリーズ その1。”しゅうまい焼き鳥からの、よしのやビーフらーめん”がなんちゃって過ぎて、逆にハートフルだった話し>

筆者の住む大都市ニューヨークには、星の数ほどレストランがひしめきあっており、その中でも特に日本食は、大きな市場価値を見出している。ミシュランスターを獲得する店、現地の日本人からこよなく愛される老舗。日本国内でもなかなかお目にかかれないような、感動の一品に出会うこともしばしば。ただここで、あらかじめ宣言しよう。筆者はその様なものに、興味はない。もっとドキドキわくわくの、日本食と言っていいのかわからない変態メニューにしか興味がないのである。もしも貴方が、素晴らしいニューヨークの日本食を知りたいのであれば、ガイドブックをご覧になるといい。筆者は逆だ。まだ見ぬ、未開のワンダーランドへ、貴方をいざなう。

<しゅうまい焼き鳥!?>

アメリカの無数にある日本食レストランの中には、明らかに日本人が経営しているわけではない、なんちゃって日本食屋が数多く存在する。それ自体を否定するつもりはもちろんない。他国の料理を提供している日本人経営のお店だって、日本国内外問わず無数にある。ただ、そのなんちゃって日本食屋さんには、往々にして、なんちゃってメニューが自由になんちゃってしている場合がある。そんなものを宝探しのごとく、見つけた瞬間のあの意味の分からない高揚感は、何にも代えがたい。そんな中、今日もパトロールのごとく、インターネットで様々なお店のメニューを調べていると、光り輝く、至高のなんちゃってと巡り合った。その名も、

しゅうまい焼き鳥

............オッケーオッケー、すっっごくいいよ、どの角度から考えても、全く意味がわからない、ナイスなんちゃって。しゅうまいなの?焼き鳥なの?いーーや、しゅうまい焼き鳥さ。

次の瞬間、すでに外に飛び出し、抑えられぬ高揚感の元、早歩きでそのお店に向かってしまっていた。

外から見た感じは、これ。

そーっと中をのぞく。日本人ではない、アジア人らしき店員さんが2名。筆者を心地よい緊張感が襲う。さあ、行こう。しゅうまい焼き鳥、よし、行こう。

店内には3つ程テーブルがあったが、基本的にはテイクアウト専門で営業している雰囲気。店内にあるメニューで再度、しゅうまい焼き鳥が存在している事を確認。

うん、改めて、なんちゃってシテル。レジ前でオーダーするシステムらしく、そこへ向かおう。店員のお姉さんが自分の姿を確認し、オーダーを取る体制に入った。筆者を見ている。よしいくぞ

......あれ......あ、あれ......なんか恥ずかしい。筆者が悪いわけじゃないのに、すごく恥ずかしい。
わかってる、わかってるよ。しゅうまい焼き鳥など、てんでおかしなことをこの後言ってしまうこと。僕だって恥ずかしいさ。本当は言いたくないさ。でも、言わなきゃいけないんだ。乗り越えなきゃいけない壁は、あるんだ。だからこの時間は、僕とお姉さんだけの、秘密の共有さ。準備はいいかい?じゃあ、言うよ?

筆者「しゅ、しゅうまい焼き鳥ください」
お姉さん「しゅーまーやちとりは売り切れです
筆者「......え?」
お姉さん「..........え?」
筆者「あっ......売り切れ?」
お姉さん「あ、はい、売り切れです」

大人気ーーーーーー!!!売り切れてんの!?誰が食べるの?わけわかってオーダーしてんの?しゅーまーやちとりヤベーーー。

落ち込んだ

メニューからしゅうまい焼き鳥を発見した時のあの感動。ここまで、必要のない早歩きで来たあの道のり、なんだったんだろう。悲しくなってきた。ニューヨークは、厳しい街だ。そんな時は、いつも祖国を想う。

日本に居る父さん、その後元気にしていますか?父さんが作った卵焼き、食べたいなぁ。今日も僕は、元気です。" 

............違う違う、しゅうまい焼き鳥なかっただけだから。そこまでシリアスじゃないから。戻ってこい、俺!

さあ、ここで問題が発生した。しゅうまい焼き鳥がなくて、もし仮に何もオーダーせず帰ったとしたら、”しゅうまい焼き鳥ガチ勢” と勘違いされるじゃないか。そんな存在もしていない勢力を、一手に背負っていくのは荷が重すぎる。さぁどうする。目の前のお姉さんから、早くオーダーしてよとキツめのプレッシャーも感じる。急げ、急ぐんだ、俺。何か、オーダーしないと。

<よしのやビーフらーめんとの奇跡の出会い>

なんか変なのあったーーーー!!。早くオーダーしないとと、急いでメニューを見ていたら、一番最後の、麺のカテゴリーの所に、変なのあったーーー。その名も、「よしのやビーフらーめん」。父さん!やったよ!!僕、勝ったよ!!!

店員のお姉さんのワールドクラスのプレッシャーを全て無効化する至極の一言。
筆者「よしのやビーフらーめんください!!
お姉さん「よしのやビフらめんですね」
筆者「はい!ありがとうございます!

なんか握手しそうになった。

テーブルにつき、一旦落ち着きを取り戻した所で、考えてみる。しゅうまい焼き鳥がくれた、想定外の出会い。ニューヨークに牛丼チェーン、吉野家はない。というか、仮にあったとしても、この名もなき名店と、コラボするはずがない。怪しい。

わくわくドキドキする時間すら与えない、体感にして1分20秒くらいで、そのラーメンが出てきた。はっや。それが、これだ。

おおぅ!......マッジで何も言えねぇ。ラーメンの上に、ドカンと牛丼が乗っていて、どの辺が吉野家なのか、憶測が新たな憶測を呼ぶ。食べてみないとわからない。

食べた。......うん、マッジで何も言えねぇ。牛丼......うん、牛丼だよ。
さぁ、写真でもわかるように、スープがサイドで別に出てきている。ん?待てよ、これは、つけ麺なのか?スープを上からかけるわけではなく、つけ麺として楽しむのか?だからわざわざスープがサイドについているのか?

そこで先程の、店員のお姉さん(もはや戦友)にたずねてみた。

筆者「すいません、これはつけ麺ですか?それともスープを上からかけ......」
くいぎみにお姉さん「どっちでもいいよ(満面の笑み)」

どっちでもいいんだーー!。どっちでも美味しいということなのか、もしくはそんなこと気にすんなって事なのか。どちらにしても、その時のお姉さんの笑顔がまぶしくて、まぶしくて。

ということで、筆者は逆にスープを上からかけることにした。

さあ、食べよう。しゅうまい焼き鳥がいざなってくれた、最高の新たな出会いに酔いしれて。

......うん、なんか普通に食べれた。スープはどこか懐かしい、デパートなどのフードコートによくある簡易的なラーメンのその味。先代から代々、ぜっっったい受け継がれていない、ライトな味。でも不思議と、嫌いではない。なんか懐かしくて、むしろ好きだ。
さぁ、牛丼の部分とスープの相性はどうだ。......うん、特にスープと牛が絡み合うわけではなく、それぞれが独立して、全く関係ない関係性を保っている。でも何故かそこそこうまい。

完食した。さあ、結論を出そう。

吉野家マッジで関係ねぇ。牛丼らーめんでよくね?

ただ不思議と嫌いな味ではなかった。むしろ奇跡の出会いを鑑みると、来てよかったのではないか。最後に退店する際、もう一度お姉さん(もはや親友)の笑顔を見たくて、顔を見てありがとうと伝えたところ、満面の笑みでありがとうと返してくれた。お姉さん、色々お世話になりました。ありがとう、我が友よ。

筆者の住む大都市ニューヨークには、星の数ほど日本人が経営している素晴らしい日本食レストランがひしめきあっており、日本からの旅行者もビックリする様な、素晴らしいクオリティの品々を提供してくれるお店が多々ある。今後も筆者は、そんな素晴らしいお店の数々を全力で無視し、謎多きなんちゃって日本食レストランにフォーカスしていこうと、決意を新たにした。また、新たななんちゃってを求めて。

最後までご一読いただき、ありがとうございます。








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