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LSEのMSc Human Resources and Organisationsの紹介

MT(前期ターム)の最終講義が終わり、これまでの振り返りも兼ねて、私が所属する学科について紹介します。


学科の特徴

MSc Human Resources and Organisationsは Department of Managementの学科の一つです。
他の大学では複数のHR系の専攻がある場合もあります(例:Manchester, Edinburgh)が、LSEでは本学科が唯一のHR系の学科です。
募集ページによれば、理論と実践の「橋渡し」となるプログラムを提供しています。

"Grounded in LSE’s critical and analytical approach to learning, the programme provides a unique bridge between theory and practice."

本学科の大きな特徴の一つとして、修論の代わりになる「Links Scheme」なるものがあります。
これは修論(一人で執筆。10,000 words。テーマ自由)とは異なり、ペアで企業から与えられた課題に対し、15,000 words から20,000words のレポートを書きます。
また、別途その企業への報告書の作成も義務付けられています。
学生は修論を執筆するか、上記の「Links Scheme」に参加するか11月までに選びます。

私は色々情報収集した結果、修論を執筆することを選びました。
これに関しては別の記事でまとめます。

4.0単位の取得が修了条件であり、修論もしくは前述のLinks Schemeが1.0単位で、必須科目もしくは選択科目が一つ0.5単位です。
つまり、通常この学科の学生は「修論 or Links Scheme」(1.0)+「必須科目or選択科目」x6つ(計3.0)= 4.0単位という形で講義を受けることになります。

3つの「stream」

本学科は3つのStreamに分かれています。

"All students will gain core knowledge in the general foundations of HR management and strategy. Building on this foundation, students will then develop their learning into three distinct streams, offering the opportunity to specialise according to your specific career goals and interests"

以下、それぞれのstreamの紹介の抜粋です。
※英語の引用文はいずれも本学科のページより抜粋。

「Human Resources Management」

"This stream is designed to further develop your knowledge and skills in general HR management. On completion of the stream students will achieve the behavioural and knowledge components for the Level 7, Advanced CIPD qualification and will achieve Associate CIPD membership."

「Human Resources Management」(以下、HRM)は一般的な人的資源管理の知識及びスキルの獲得を目指しているstreamと言えます。
3つのstreamの中で最も科目選択の自由が少ないです。
去年も今年も選択可能な科目は1科目のみですが、修了後CIPDの最上級資格を取得できます。

※CIPDの資格に関しては、下記の記事で説明しています。

「International Employment Relations」

"This stream is designed to develop your analytical skills enabling you to shape and evaluate HR practice, employment relations and policy making in a global context. On completion of the stream students will achieve the behavioural and knowledge components for the Level 7, Advanced CIPD qualification and will achieve Associate CIPD membership"

「International Employment Relations」(以下、IER)は国際的な雇用関係や政策形成に主眼を置いているという感じですね。
私の年(2022/23)から修了後CIPDの最上級資格を取得できるようになった反面、選択科目が少なくなりました。
今年は6つの講義のうち、4つが必須科目、2つは選択科目です。

「Organisational Behaviour」

This stream is designed to develop your specialist knowledge in behaviour and change in organisations. You will develop expertise in analysing and managing organisational change and employee behaviour at the macro (i.e., group) and micro (i.e., individual) levels. Core courses take a multi-disciplinary approach and are grounded in theories, concepts, and empirical research from psychology, sociology, and management studies.

「Organisational Behaviour」(以下、OB)はCIPDの資格を取得できないですが、6つの講義のうち半分が必須科目は3つだけなので、3つのstreamの中で最も講義の選択の自由があります。

まとめますと、違いとしては、HRMとIERが修了後CIPDの資格を取得できる分、必須科目が多く指定されており(=科目選択の自由が少ない)、逆にOBは選択の自由が多いということです。
出願時にはエッセイに希望のstreamを明記しましょう。

私は出願時にどのstreamにすべきかかなり迷いましたが、CIPD資格の有無以外は、大きな違いはありません。
例えば、OBのstreamでもHRMやIERの必須科目に出席することができますし、選択の自由が少ないHRMやIERでも他の講義に「聴講」という形で単位登録はせず参加することも可能です(事前にその講義の講師に相談することをお勧めします)。

他のstreamの人と交流がないわけでは決してなく、全stream共通の必須科目では全生徒が出席することになりますし、講義とは別の「セミナー」(=ディスカッションメイン)でも他のstreamの人と一緒になります。

なお、私はIERですが、勉強会グループのメンバーにはHRMもいればOBもいます。

学費

2023/24の募集を見ると、HRM streams 及び IER streams は£28,824で、OB stream は£27,816と書いてあります。
約1,000£の違いは、修了後に「CIPD」の資格が付与されるかどうかという点ですね。
直近3年の学費は下記の通りです。
※IER steamsがCIPDの資格を付与されるようになったのは2022/23からです。

  1. [2023/24] HRM(CIPD): £28,824, IER(CIPD): £28,824, OB: £27,816

  2. [2022/23] HRM(CIPD): £27,240, IER(CIPD): £27,240, OB: £26,232

  3. [2021/22] HRM(CIPD): £26,232, IER: £25,224, OB: £25,224

つまり、毎年約1,000£以上上昇しています。
※2021/22にIER streamsでofferをもらった私の場合、1年入学延期したら£25,224から£27,240へ2,000£以上増えました。

LSEのサイトによれば、

"Fees are paid for each academic year for which students are registered and normally increase each year unless specified."

つまり、通常毎年学費は上がるそうです。

これはLSEに限った話ではなく、どの英国大学院のどの学科も毎年学費が上がっていると考えられます。
1,000£ならまだ良いほうで、私が出願を検討していたとあるラッセルグループの大学院のある学科は1年で4,000£学費が上がってました。

クラスメイト

全体としてはおよそ150名です。
今年はHRM:OB:IER=8:4:3ぐらいの割合です。
正確に数えたわけではないですが、出身としては3-4割ぐらいがインド、同じく3-4割ぐらいが中国、残りがその他の国々という感じです。
日本人は私含めて4名で、去年は3名でした。

男女比は見た感じ3:7ぐらいで女性が多いです。

意外だったのは、フルタイムの職歴が全くない(大学を卒業してすぐに本学科に入学した)、もしくは1年未満の人がおそらく過半数を占めているということです。
とはいえ、そのような人たちも母国で外資系企業(Big4や人事系コンサル等)や大手企業の長期インターンを経験してきています。
また、LinkedInを見てみると、クラスメイトの多くがHR分野の経験をしています(そもそもその経験をした人たちだから、このHR専攻に興味を持ち、合格できたとも言えますが)。
フルタイムの職歴がある人の前職はコンサルやNGOのほか、中に国連勤務をしていた人もおります。

したがって、今後この学科に出願を検討している方で今現在フルタイムの職歴がない方は、ボランティア等の課外活動よりかはインターンの経験(できればHR関係)を積んだほうが有利になると考えられます(飽くまで私個人の考えです)。

なお、事務局によれば、平均年齢は25歳ぐらいだそうです。

出願数と入学者数

2023/24の募集ページによると、Applications(出願数)とIntake(入学者数)は下記のとおりです。

LSEは学科によっては募集ページに上記のようにどのくらい応募者数がいて、何名入ったか書いてある場合があります。

本学科の応募総数/入学者数はどのStreamも6倍ぐらいですね。

出願書類のアドバイス

CVやエッセイ等の出願書類作成時は、前述の私のクラスメイトの情報を参考に他の出願者を想定して、戦略的に書くことをお勧めします。
例えば、肩書や仕事内容がHR関連ではないとしても、人をマネジメントしたことや、チームワークを発揮したことを5W2Hを意識して(「What?」「How?」「How many?」etc..)書けば、見栄えは変わると考えられます。

ただ、1,500 wordsのうち自身のback groundは多くても2割程度にとどめておくことをお勧めします。
毎年同じ指示になるかわかりませんが、私のときは LSEから「academic interest を重要視する」旨の指示があったと記憶しています。
Back groundも大事ですが、どのようなトピックに興味・関心があり、LSEで何を学びたいかがよりチェックされるとご留意ください。

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