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読書備忘録

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2020年10月の記事一覧

タイムトリップできるとしたらどの時代に行きますか?(26-50)

週末の金曜日、冷たい雨で始まりました。お変わりありませんか?私は月1回の定期受診に行ってきました。 10月はひどく落ち込んだ日もありましたが、主治医のアドバイスでジムでの運動回数を増やし、なんとか持ち堪えたひと月でした。 さて今日紹介するのは直木賞作家 佐々木譲氏の作品です。 私にとって著者はハードボイルドな作品を描く作家というイメージですが、この作品は見事にそれを壊されました。 1937年の東京。隅田川で拾われた男が病院に運ばれてくる。身元不明の男は記憶を失っていたが

きみに贈る本~夜更かしの本棚(25-50)

日中実母の通院や買い物に付き合って、夕方になってジムへ行ったので今日の更新はこんな時間になってしまいました。 珍しく1日家を空けたので、少々疲れ気味の私にはこんな本が心地良かったです。 作家は何を読んできたのか、それらは人生にどんな影響を与えたのか。 最強の「中二病」小説、それぞれの青春時代の読書、価値観をひっくりかえされた本、国語辞典の「読み方」など……6人の小説家が自身をふり返り、おすすめの本と独得な読み方を紹介するユニークな読書案内。うち1冊は自己紹介をかねて自作を

もっと早い時に出会っていたら〜四畳半神話体系(24-50)

このコンテストを知り、この作品を知り、やっと昨夜読み終わりました。 私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい! さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。(Amazon内容紹介) 第1話四畳半恋ノ邪

老いて、死を迎えても家族であることは消えない(23-50)

晴れの日が続いたと喜んでいたら、一転雨になると1日中激しく降り、気温も20度に到達しない日が続くようになりました。これからはこんな日の方が多くなると思うとやはり気が滅入りますね。 さて、一昨日読み終えたもう1冊桜木紫乃氏の作品で「家族じまい」を紹介します。(番組表を見ていたら今朝のあさイチにご出演されていたようですね) 「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」。 突然かかってきた、妹からの電話。 両親の老いに直面して戸惑う姉妹と、それぞれの家族。 認知症の母と、かつて横暴

百人百様の人生の一部は私(22-50)

冷たい雨の降る木曜日、お変わりありませんか? 私はなんとなく頭が重くて、ベッドでグズグズしていましたが、9時を回ってお風呂に入りました。少しスッキリし朝昼兼用でパンとコーヒーをいただきPCに向かっています。 昨日夫がゴルフに行っていたこともあり、ググッと本に入り込むことができ2冊読み終えることができました。まずは江國香織氏の作品から紹介します。 死んだ夫と交信する女性、妻の乳房に執着する夫、自分の死に気づいたタクシーの運転手…百人百様の人生を歩む登場人物たちが持つ意外な

七度笑えば恋の味(21-50)

昨日一つ歳を重ね、爽やかな朝を迎えました。認知症状も進みますが、今後ともお付き合いのほどよろしくお願いします。 さて最近小説の中にも料理を題材にしたものが多くなって、人気も高く映像化になったものも少なくありません。 小説と同時にレシピも公開されていたりして、一石二鳥の感がありますが、私の場合料理が苦手で、できれば早めに終わらせたい方なので、やはり小説はストーリーを重視してしまいます。皆さんはいかがでしょうか? 昨日読み終えたのも料理が小道具として登場する作品ですが、主に

Zoojaそして「言の葉は、残りて」(20-50)

昨日は夫と少し外出、夫の好きなラーメンを食べ、先日友人が教えてくれた喫茶店に行きました。少し気分転換になりました。 面白い名前だなと思っていたら、夫が申すには業界の方はひっくり返し表現されるのが通例とか。譜面をメンフのように。 このお店も店内で流す曲はジャズと決め、ジャズをズウジャ→Zooja とされているようです。その上メニューはなく、店主が「珈琲とチャイしかありませんので、どちらにされますか?」と尋ねられるだけというシンプルなお店です。ある意味潔いと感じました。田舎町

夏の迷い子(19-50)そしてボスの日

おはようございます。久しぶりに友人に会う予定があって、ちょっとウキウキしつつ毎日のTodoをこなしての更新です。 昨日は私たちと同じ時代を生きてきた泉麻人氏の小説を読みました。 あのテレビ番組にお祭りの屋台、町並み、音楽、車、バブル。そして友達、初恋の人……。二度目の東京オリンピックを迎える定年世代にあの日々が帰ってくる!? 過去の出来事・思い出と現実が交錯する、全7編収録のじわっと染み入る小説集(Amazon内容紹介より) 収録作品は アイドルを探せ/バス運転士/バ

箱とキツネと、パイナップル(18-50)

おはようございます。私にしてはとても早く起きました。実は午前中夫の術後半年受診があるのです。問題はないと思いますが、この時間に更新をして一緒に出かけようと思っています。 さて昨日読んだのは村木美涼さんという作家の作品です。 大学を卒業したばかりの僕の新居は、一見普通のアパート・カスミ荘。でも、住人は揃って個性豊かだし、怪現象も続くし…。この土地はキツネに祟られているという噂まであるらしい。一体ここはどうなってるの!?ようこそ、カスミ荘へ。楽しい隣人とたっぷりの不思議があな

永遠の夏をあとに (17-50)

相変わらず、頭痛がして身体の重い日を過ごしています。昨日同様、今日も私には似合わない作品を紹介します。 田舎町に住む小学六年生の拓人は、幼い頃に神隠しに遭い、その間の記憶を失っている。そんな拓人の前に、弓月小夜子と名乗る、年上の少女が現れた。以前、拓人の母とともに三人で暮らしていたことがあるというが、拓人はどうしても思いだせない。母の入院のため、小学生最後の夏休みを小夜子と過ごすことになった拓人。だが、サヤはなぜか自分のことを語ろうとしない。拓人の記憶に時折よぎるのは、降り

ないものねだりの君に光の花束を(16-50)

最近自分の調子が悪いのか、心からこの本好き!と思える作品に出会えていない気がします。そこで敢えて自分で選択しないであろう本を今回は選んで図書館から借りてきました。 昨日はこんな作品を読み終えました。 すべてにおいて普通で、自分は“永遠の脇役”だと思っている高校生・影子。同じクラスには、世間を賑わすアイドルで、学校でも人気者の真昼がいる。そこにいるだけで目立つ彼は、まさに“永遠の主人公”。影子とは別世界すぎて親しく話したこともなかったが、一緒に図書委員をすることになったのが

伊丹十三、和田誠、若き時代を懐かしむ(15-50)

最近は私よりも若い方が亡くなることも多く、その度に自分の年齢を思い知らされる寂しい限りです。 そんな中でも多くの著名人と親交のあった和田誠氏の死もショックでした。そして彼関連の著書を探していると、「&premium」という雑誌で「無用之用」という書店がある作品を紹介していました。 それがこちらです。 1960〜70年代最高のエッセイスト・伊丹十三の単行本未収録エッセイ集。 食卓の作法、料理の秘訣、服選びに着こなし、日常に見るヨーロッパ文化、子育てから性教育、スポーツに社

罪人の選択とエディの死(14-50)

昨夜はとにかく疲れてしまい、22時までに横になってしまいました。 洗濯を終えたものの、まだ頭がすっきりしないので、珈琲をいただきながら書かせてもらっています。 昨日午前中に貴志祐介氏の作品を読み終わりました。私の記録によれば、貴志作品は第29回日本SF大賞を受賞した「新世界より」「雀蜂」以後初読みとなりました。 「夜の記憶」―『十三番目の人格―ISOLA―』『黒い家』の本格デビュー前に書かれた貴重な一編。貴志祐介ワールドの原点!「呪文」―『新世界より』の刊行後ほどなくいて

明日に期待せず、 静かに生きる(13-50)

昨夜やっと1冊本を読み終え、少し体調も上向きのようでと嬉しくなっています。それも昨夜更新したInstagramの記事のとおり、美味しいスイーツを食べたからかもしれません(笑) 読み終えた本ですが、最近新刊も出て、評判も上々の山本文緒氏の作品です。本作は単行本化もされていますが、私がこの単行本の表紙が好きです。 苦しみ抜いた日々から再生を果たした著者が贈る、あなたの心を温める珠玉の物語。無職で病弱な弟と暮す50歳独身の姉。(ネトリ)20年ぶりに田舎の実家に帰省したダメ男。(