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夏川草介著「君を守ろうとする猫の話」

本屋大賞2024年大賞は「成瀬は天下を取りに行く」でした。推しの作品が、受賞して本当に嬉しいです。成瀬シリーズこれからも続いてほしいです。

さて本日発表された本屋大賞で、4位になった「スピノザの診察室」の著者夏川草介さんの新刊を読み終えました。

今日はその作品を紹介させていただきます。


読み終えた本

2024年2月28日に小学館から224ページの単行本として発売されています。

あらすじ

幸崎ナナミは十三歳の中学二年生である。喘息の持病があるため、あちこち遊びに出かけるわけにもいかず学校が終わるとひとりで図書館に足を運ぶ生活を送っている。その図書館で、最近本がなくなっているらしい。館内の探索を始めたナナミは、青白く輝いている書棚の前で、翡翠色の目をした猫と出会う。
「お前なら、きっと本を取り戻せるはずだ。」ようこそ、新たな迷宮へ。

Amazon内容紹介

感想

以前、著者が書かれた「本を守ろうとする猫の話」という作品を読んだ記憶があって、その続編だろうと思い読み始めました。

今回の主人公は、13歳のナナミ。喘息の持病のため自ずと図書館い通う中学生です。今回は猫のトラとナナミが協力して、図書館から盗まれた本を取り返しに行くのです。

前回の主人公、夏木林太郎は成人となり、妻を迎え、祖父が営んでいた古本屋を継いでいて、トラとナナミが焼かれそうになった本を取り戻す途上、道の窓口となっている店で協力するという、つながりがありました。

ナナミにもイツカという幼なじみはいて、喘息持ちの彼女をいつも気遣ってくれる存在です。それは、ナナミの父が話す

人は一人で生きてるわけじゃない。辛いときはいろんな人の力を借りればいい。そして、借りたものはまた返せばいい

そんな存在でもあるようです。

夏木林太郎の妻もまた、

「大事なことは、目の前にあるどんなことも大切にすること」
「どんなものにも、心は宿るの。あなたが大切にしたものには心が宿って、必ずあなたを守ってくれる」

ナナミにとって、大きな理解者の一人となりました。

ナナミは図書館の本を取り戻すという、冒険をしながら、大切な教訓を多く得ます。

「一番怖いのは、心を失うことじゃない。失った時に、誰もそれを教えてくれないこと。誰かを蹴落としたときに、それはダメだと教えてくれる友達がいないこと。つまりひとりぼっちだってこと」

筋立ても語り口も児童文学のようですが、実は本当に大切なことを見失っている私たち大人へ警鐘を鳴らしている作品のように、私には感じました。
著者、夏川草介さんの懐の深さを改めて知りました。

Amazonから画像を拝借
前作と関連した装丁が素敵です

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