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【フードエッセイ】和食を考える(国立科学博物館)

先月の話になってしまう。

ふと美術館に行きたくなって調べていたら、上野でモネ展をやっているのを発見した。
これにしようと上野へ向かう。
当日は雨だったが、久しぶりの美術館ということで心も弾む。傘に弾ける雨音も心情を反映しているようだった。

道中、和食展の看板を見つけた。
和食展か、何を展示しているのだろうと興味を惹かれた。日程を見ると、もうすぐ終わってしまうらしい。今日を逃すと観られない気がした。えーい、モネ展は今度でいいかと博物館の方へ入館した。

和食については、元々『料理人』をやっていたので仕事としての経験があった。業務だけでは足りなくて(周りに追いつけなくて)料理本を漁り、知識や歴史も学んできた自負もある。
『料理本』については、以前こんな記事を書いた。


なので、少し偉そうな言い方にはなるが純粋な知識の吸収と言うよりも、どのような切り口で和食を見せる(魅せる)のだろうという興味だった。

入ってまず、人の多さに驚いた。
平日の雨にも関わらず、沢山の人が『和食』に興味があり足を運んだということに感心した。

展示の方は、水から始まりキノコ、山菜、野菜、海藻、魚介類と多様な食材を丁寧に説明していた。
いやー、入る前の偉そうな態度が申し訳ないです。すでに勉強になってます!


昆布に大根、キノコちゃん


お魚さんたち


続く『発酵』のコーナーは、科学的な説明が複雑だった。
説明文を読みながら進んでいったが、少ししたら忘れてしまうなという予感があり、この辺りは本でも買って復習しなきゃと思った。

酒のもろみちゃん


歴史についても面白い。
卑弥呼や徳川家康などの歴史上の人物が何を食べていたのか、再現模型での紹介があった。

ペリーのもてなし料理と江戸時代の料理書


お雑煮の文化圏とサンプル


この時点でだいぶお腹が空いてきた。
帰りはもちろん和食を食べて帰ろうと思ったし、ここにいる人のほとんどがそうするだろうという確信があった。

展示も終わりに近づき、最後に書いてあった『おわりに』という文が名文であった。

名文


帰りは当然、和食を食べて帰った。
『菜の花の天ぷら』『桜鯛の刺身』『あさりの酒蒸し』どれも美味しかった。

映画『かもめ食堂』でこんな台詞がある。

おにぎりは自分で作るより
人に作ってもらう方がずっとうまいんだ

かもめ食堂


色々と研究して自分で作る料理もいいけれど、やっぱり人に作ってもらう料理は最高だなと、ほろ酔いで乗り込んだ帰りの電車でそう思った。


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