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バットマン:ダークビクトリー ネタバレあり感想・あらすじ解説


侮られた時こそ人間は最も強くなれるのだ



バットマン翻訳コミックの感想第7回は『バットマン:ダークビクトリー』です。

こちらは前回感想を書きました『バットマン:ロング・ハロウィーン』の続編です。

どのくらい続編かと言うと1P目の最初の語りが『ロング・ハロウィーン』の事件の犯人のネタバレから始まるくらいです。

また、『バットマン:イヤーワン』とも関連が深く、本作を読まれる場合は『イヤーワン』→『ロング・ハロウィーン』→『ダークビクトリー』と読まれるのをおすすめします。

本作の後編であるVol.2には『イヤーワン』の始まりから『ダークビクトリー』の終わりまでの時系列表も有り分かりやすいです。

前作『ロング・ハロウィーン』に続き本作もミステリーとなっておりゴッサムシティに現れた新たな連続殺人鬼を追い、前作同様トゥーフェイス(ハービー・デント)がヴィランの中心となり、前作で崩壊したゴッサムシティのマフィアの終焉が描かれています。

そして本作最大の特筆すべき点はバットマンのサイドキックの代表である『ロビン』の初代であるディック・グレイソンが登場し『ロビン』となる過程が描かれている点です。

前作で信じる友人を失い人間不信に陥ったバットマンが共に戦う相棒を見つける話でもあるのです。

ちなみに前作に続き本作も多くのヴィランが登場します。

以下登場するヴィランです。
トゥーフェイス
ジョーカー
キャットウーマン
リドラー
ペンギン
スケアクロウ
ポイズン・アイビー
ソロモン・グランディ
マッドハッター
カレンダーマン
ミスター・フリーズ

前作から登場しているヴィランは引き続き登場し追加でミスター・フリーズが登場します。

また、後編のVol.2に本編の『ダークビクトリー』の後に短編としてマッドハッターがメインヴィランの『バットマン:マッドネス』が収録されています。

あらすじ

ゴッサムシティを震撼させた"ホリデイ連続殺人事件"から約1年。犯罪王カーマ イン・ファルコーネの死を契機に、ゴッサムの裏社会の実権は、ファルコーネ一 家に代表されるギャングファミリーの手から離れつつあった。
1年前、彼ら組織犯罪を根絶すべく立ち上がったバットマンとジム・ゴードンに とっては歓迎すべき事態ではあったが、共に誓いを立てた地方検事ハービー・デ ントのトゥーフェイスへの変貌は、なおも二人の心に暗い影を落とす。
時代が大きく動こうとする中、新たな連続殺人事件が発生する。警官ばかりを狙う犯人"ハングマン"の目的とその正体とは…

バットマン:ダークビクトリー Vol.1 | ジェフ・ローブ, ティム・セイル, ャスダ・シゲル, 御代しおり |本 | 通販 | Amazon

"ホリデイ連続殺人事件"から約1年。恐怖の記憶も覚めやらぬゴッサムを新たな 連続殺人鬼が跋扈する。その名は"ハングマン"。警官ばかりを狙うハングマンの 意図とは何か、そして、殺害現場に残されたゲームに隠された秘密とは…。
ゴッサムを支配下に置いてきたファルコーネ帝国の黄昏を尻目に、我が物顔で暴 れまわるジョーカーら、"フリーク"達。トゥーフェイスとなった盟友ハービー・ デントの思い出を胸に、心を鬼にして捜査を進めるバットマンとジム・ゴードン本部長。
古き悪と新たな悪、そして正義を求める者達の三つ巴の戦いは、ハングマン事件 を軸に思わぬ展開を見せていく。新たな悲劇を呼びながら…。

バットマン:ダークビクトリー Vol.2 | ジェフ・ローブ, ティム・セイル, ャスダ・シゲル, 御代しおり |本 | 通販 | Amazon

物語は前作『ロング・ハロウィーン』から数か月後。
前作の事件の犯人『ホリデイ』と『トゥーフェイス』ことハービー・デントの逮捕の余波は広がり続けていました。
弱体化したファルコーネファミリーがトゥーフェイスに恨みを抱く中、トゥーフェイスら複数のヴィランの集団脱獄が起こります。

その直後、『ホリデイ』の事件を模したかのように祝日に警察関係者が殺される事件が続き、現場にはハングマンと呼ばれる暗号ゲームが残されることから犯人は『ハングマン』と呼ばれるようになるのでした。

バットマンとジム・ゴードンら警察は『ハングマン』を追いますが事件にはファルコーネファミリーやヴィラン達も関わりゴッサムシティはまた混乱するのでした。

ハングマンとは日本には馴染みがありませんが海外の2人用ゲームで出題者が絞首台に吊るされた人を描き切る前に回答者が出題者が出す文の穴を埋めるアルファベットを当てるゲームです。(なんて悪趣味な・・・)

作中の解説書にも分かりやすく説明してあります。

登場人物(前作『ロング・ハロウィーン』含むネタバレ有り)

バットマン(ブルース・ウェイン)

主人公。
ゴッサムシティの大富豪ブルース・ウェインがバットマンとして犯罪者を取り締まっている。
活動を始めて4年目。
前作で友人だったハービー・デントが悪に堕ちたことで人を信じにくくなっている。
ハングマンの事件解決に奔走する。

ジェームズ・ゴードン

ゴッサム市警の本部長。通称ジム・ゴードン。
前作でバットマンと共通の友人だったハービー・デントが悪に堕ちたことでバットマンとの関係も険悪になってしまった。
デント夫妻と仲の良かった妻であるバーバラとの関係もまた悪化してしまい息子を連れて別居している。
知人の警察関係者が連続殺人犯のハングマンに殺され、犯人逮捕に向けて動いていく。

ジャニス・ポーター

ゴッサムの新任地方検事の女性。
前作の事件の犯人であるアルベルト・ファルコーネの担当をしている。

ヘンリー・グスタフソン
ジュリア・ロペス
キング
マーク・オコナー
ローリーン・ウォルコックス

オハラ署長が選びゴードンが組織した内偵班のメンバー5人。

クランシー・オハラ

ゴッサム市警署長。
ゴードンとは友人のような関係。ウェイン夫妻殺害事件後の警官のありかたに悩んでいる。ハングマンの最初の犠牲者となる。

ギリアン・B・ローブ

『イヤーワン』に登場した元ゴッサム市警本部長。
相変わらず子どもが好むようなおもちゃが好きで服にキャラクターの小物を付けている。

アーノルド・フラス

『イヤーワン』に登場した元ゴッサム市警の悪徳警官。
『イヤーワン』ではゴードンとバットマンにボコボコにされた。
警官を辞めた後はクラブの用心棒をしていた。

ブランデン

『イヤーワン』に登場した元ゴッサム市警警部補。
『イヤーワン』ではSWATチームリーダーでバットマンを追い詰めた。

フランク・プラット

『イヤーワン』に登場したゴッサム市警巡査部長。
『イヤーワン』ではSWATチームの狙撃手だった。

スタン・マーケル

『イヤーワン』に登場したゴッサム市警刑事。

アルフレッド・ペニーワース

ウェイン家の執事。
ブルースのバットマンとしての活動を支える。

ディック・グレイソン

ハリーサーカス団の両親と共に空中ブランコを行っている少年。
公演中に両親が事故で亡くなりブルース・ウェインに引き取られる。

ファルコーネファミリー

ソフィア・ファルコーネ・ギガンテ

前作で亡くなったファルコーネファミリーのボスであるカーマイン・ファルコーネの娘。
前作の事件でキャットウーマンともみ合い大きな傷を負い、車いすで生活することになった。
父親を殺害したハービー・デントを憎んでいる。

アルベルト・ファルコーネ

カーマイン・ファルコーネの息子でソフィアの弟。
前作の事件の犯人である『ホリデイ』の正体。
前作でバットマンに暴行されて逮捕された。
死刑になるはずだったがジャニス・ポーターにより死刑にはならなかった。
向かいの独房にはカレンダーマンが居る。

マリオ・ファルコーネ

カーマイン・ファルコーネの息子でソフィアの弟でアルベルトの兄。
国外退去になっていたが帰国してファミリーの罪の清算を目指す。
ドラマ『GOTHAM(ゴッサム)』にも登場してレスリー・トンプキンスと婚約するが色々あってゴードンに殺される。

ヴィラン

トゥーフェイス(ハービー・デント)

顔が半分爛れた「2」「コイントス」にこだわるヴィラン。
元は正義感が強かったが地方検事のハービー・デントだったが前作でサルバトーレ・マローニに顔を半分酸で焼かれたことをきっかけに自身の敵を殺すことにためらいが無くなり邪悪な面が出るようになった。
物事を決めるときはコイントスで決める。
前作の事件の後に自首をして収監されていたが抜け出してヴィラン達をまとめあげる。


キャットウーマン(セリーナ・カイル)

猫のコスチュームで窃盗を繰り返すヴィラン。
正体はセリーナ・カイルでブルース・ウェインと親密な関係でバットマンを助けることもある。

ジョーカー

正体不明のサイコパス。
トゥーフェイスと組むがかつてデント夫妻を襲ったこともあり信用されていない。

ソロモン・グランディ(サイラス・ゴールド)

巨体と怪力のゾンビのような男性。
童謡『マザー・グース』の一説『ソロモン・グランディ』の言葉しか喋らない。
ゴッサムシティの下水道に潜んでいる。

ポイズン・アイビー(パメラ・アイズリー)

植物を操る女性。
男性をフェロモンで操ることもできる。

スケアクロウ(ジョナサン・クレイン)

かかしの恰好をして相手に恐怖を与えるガスを浴びせるヴィラン。

リドラー(エドワード・ニグマ)

なぞなぞ好きな知能犯。
前作の事件で『ホリデイ』に狙われて唯一生き残った。

ペンギン(オズワルド・コプルボット)

黒いシルクハットと黒い傘が特徴の男性。
前作では出番が少なかったが今作はもう少し出番が増えた。

マッドハッター(ジャービス・テッチ)

不思議の国のアリスにこだわるヴィラン。

ミスター・フリーズ(ビクター・フリーズ)

特殊なスーツを着て冷凍銃を持つヴィラン。
前作から唯一追加されたヴィラン。

カレンダーマン(ジュリアン・デイ)

記念日に合わせて犯罪を起こすヴィラン。
同じように記念日に事件を起こす連続殺人鬼『ホリデイ』であるアルベルト・ファルコーネとは向い合せの独房に居る。
前作とは異なり脱獄をする。

ハングマン

前作の『ホリデイ』と同じように毎月記念日に警察官を殺害する正体不明の連続殺人鬼。
殺害方法は丈夫な縄で首で締め上げ吊るすというもの。
遺体にはハービー・デントに関わる資料に書かれた「ハングマン」のゲームが貼り付けられている。

解説・感想(ネタバレ注意)

※本作はミステリー作品なので未読でこれから読まれる方は注意してください。











前作に引き続きバットマンの世界観で描かれるミステリー作品としてとても面白いです。

前作の事件の犯人である『ホリデイ』と同じく記念日にこだわる犯行。
殺害されるのはかつて『イヤーワン』にも登場していた警察関係者
遺体にはハービー・デントの資料と共に残されるハングマンのゲーム。
脱獄してヴィランをまとめるトゥーフェイス
ハービーに父親の復讐を狙うソフィア
そして自身と同じような境遇のディックを引き取り心を閉ざしていたバットマンが心を開くまでの過程。

それらの要素が作品の中に詰め込まれており読み応えがあります。

ダークビクトリー


物語は前作のホリデイ事件から数か月後、犯人であるアルベルト・ファルコーネと新任検事のジャニス・ポーターの会話から始まります。

前作の事件で共通の友人であるハービー・デントを失ったバットマンとゴードンの関係には軋轢が生まれ、残されたファルコーネファミリーは収監されているハービー・デントへの復讐を狙っていました。

そしてファルコーネファミリーがハービーの暗殺を狙う中、トゥーフェイスとジョーカーらヴィラン達が脱獄する事件が起こります。
残っていたアルベルトはジャニス・ポーターによって保釈され、ソフィアの元には墓から掘り起こされ盗まれたカーマイン・ファルコーネの死体の一部を送られてくるのでした。
さらにハービー・デントに関する資料も盗まれ、ハロウィンの日にゴッサム市警署長であるクインシー・オハラが首吊り死体として発見されるのでした。

バットマンはリドラーを尋問したりハングマンのゲームを調べたりして犯人を追います。
根を詰めるバットマンを心配するアルフレッドに対してバットマンはハービー・デントが酸で顔を焼かれる前に自分の正体を明かそうとしていたことを話します。
バットマンは自分の正体を伝えていればこのような状況にはならなかったと後悔の念を持っていました。

一方で保釈されたアルベルトは謎の声に悩まされます。

感謝祭をジャニスは誰かと過ごし、ブルースはセリーナと過ごします。
リドラーはバットマンをバットシグナルで呼び出し、ハングマンのゲームの解き方を話すのでした。

そしてゴッサム市警の元本部長のギリアン・B・ローブがクインシー・オハラと同じ状況の遺体として発見されるのでした

翌月のクリスマス、かつて『イヤーワン』でゴードンの同僚だったアーノルド・フラスがオハラ、ローブと同じように首を吊りハングマンのゲームが書かれたハービー・デントに関わる資料を付けられた状態で発見されるのでした。

バットマンは事件の犯人を追い、スケアクロウやアルベルトを問い詰めるのでした。

翌月の大晦日、新たなハングマンの犠牲者として『イヤーワン』でSWATチームを率いていたブランデンの遺体が発見されました。

バットマンはトゥーフェイスが怪しいと思い下水道のソロモングランディに誘導してもらうとそこにはデントの部屋があり、妻であるギルダの写真が飾られていました。
バットマンが部屋を調べていると仕掛けられていた爆弾が爆発しバットマンとグランディは流されていきました。

ここのバットマンの独白が好きです。

ハービーの遺したもの、それは・・・

やり直せない人生の欠片・・・

あの洞窟をまた思い出す・・・

自らを封じたあの館を・・・

ハービー、グランディ、私自身・・・

我々は皆、喪失の人生を送ってきた・・・

残ったわずかを闇に託し・・・

これが私の望みか

闇にのみ存在する世界が・・・

両親の記憶をそんな場所には・・・


グランディを助けて上がった所に人影が有り、ハービーだと思ったバットマンはハービーに戻ってやり直そうと伝え、ハービーのことを友人だと言うのでした。

2月14日バレンタインデイ、バットマンはブランデンの部下だったプラットがハングマンに狙われると思い追っていると逆にプラットに狙撃されてしまい、気が付くとプラットはハングマンに殺害されていました。
遺体にはハービーの妻のギルダの写真が貼り付けられハングマンのゲームが書かれていました。

キャットウーマンはカーマイン・ファルコーネの遺体を探しに遺体安置所に侵入すると何者かに襲われて殺されかけた所をバットマンに助けられます。
バットマンはキャットウーマンにファルコーネファミリーとの繋がりを問いますがキャットウーマンは答えずにバットマンから去りました。
ゴードンの家には別居していた妻のバーバラが戻り、ブルースの元からはセリーナが去りました。
そしてジャニス・ポーターがトゥーフェイスと男女の関係で繋がっていることが明かされました。

ゴードンはオハラの選んだ人選からハングマンの事件解決の為の内偵班を作ります。
ファルコーネファミリーではソフィアとマリオがファルコーネファミリーの方針を巡り対立します。

3月17日聖パトリックデイ、警備主任のスタン・マーケルがハングマンの犠牲者となって発見されます。

2週間後、地下水路ではヴィランが集まりトゥーフェイスがカレンダーマンを尋問してました。
カレンダーマンはハングマンの正体はハービー・デントだと言います。
トゥーフェイスは疑われるのは迷惑だと言いカレンダーマンに次のハングマンの犠牲者を問うのでした。
カレンダーマンはハービー・デントに尋ねるべきだと答え、今日はエイプリルフールだから早く訊くべきだと言います。
トゥーフェイスはコイントスをします。

ゴッサム市警ではバットシグナルが点いてるのに気づいたゴードンが屋上に行くと首に縄をかけられて吊られました。
そこにトゥーフェイスが縄を握っているところをバットマンが突き飛ばしまし追い詰めますがゴードンが止めます。
ゴードンはトゥーフェイスは縄を切ろうとしたと言い、バットマンはトゥーフェイスを離します。
トゥーフェイスの真意は分からないままトゥーフェイスは去っていきました。
現場には事件の報告書が落ちておりマリオ・ファルコーネが逮捕された時のもので検挙したのは当時巡査部長だったクインシー・オハラ、スタン・マーケル巡査、担当検事はハービー・デントでした。

その頃マローニファミリーの麻薬担当のアンソニー・ズッコは麻薬の密輸方法としてサーカス団に目を付けます。

母の日、ゴッサム市警本部の駐車場で内偵班のヘンリー・グスタフソン刑事がハングマンの犠牲者として発見されました。

ファルコーネ邸ではジョーカーがソフィアを襲いますが弟のアルベルトがジョーカーを撃ち助けます。
そこにバットマンが乱入しアルベルトとジョーカーを止めました。

ブルースは亡き母の基金を元にしたチャリティサーカスの公演に行きますがそこで空中ブランコの演目中に事故が起こり、ブルースは孤児となったディック・グレイソンを引き取ります。
執事のアルフレッドはかつて両親を亡くしたブルースとディックを重ねるのでした。

父の日、ヘンリーと同じく内偵班のメンバーのマーク・オコナー刑事がハングマンの犠牲者となりました。

ブルースはバットマンの姿で正体を隠してディックに声をかけます。両親の死は事故ではなく仕組まれたものであることを2人は話すのでした。

ブルースの両親の墓の前でディックを引き取ったことを話し、ディックの人生を変えてやりたいと語ります。

ブルースはディックに寄り添いますがディックはなかなか心を開きません。ブルースはディックに「もっと君と話したい」と伝えるのでした。

独立記念日、ゴードンは内偵班のメンバーと共にトゥーフェイスの一味の居る下水道に潜入します。
下水道ではトゥーフェイス、ミスター・フリーズ、マッド・ハッターが向かえます。
ゴードン達は苦戦しながらも進み、バットマンも合流しますが内偵班のメンバーのキングがハングマンの犠牲者となった姿で発見されます。
さらにトゥーフェイスがローリーン・ウィルコックスを人質にとりますがキングを殺したのは自分ではないとトゥーフェイスは言います。
ゴードンとトゥーフェイスは対立します。
にらみ合いが続く中、トゥーフェイスは投降してゴードンに逮捕されました。

ディックは単独で両親の死の真相を探りますが犯人の一味であるファルコーネファミリーのエドワード・スキーパーズの返り討ちにされますがバットマンに助けられます。

ディックはバットケイブで目を覚まします。
バットマンはハービー・デントに自分の正体を明かせなかった事を後悔していました。

バットマンはマスクを脱ぎ、自分の顔をディックに見せます。


「・・・もっと君と話がしたい・・・」


ここの場面好きですね。
ブルースが自分と同じような境遇であるディックに対して心を開こうとしているのが伝わります。

ディックは訓練し、バットマンと共に両親を殺害したズッコを追い詰めますがズッコは心臓発作で亡くなりました。

逮捕されたトゥーフェイスの裁判の日、実は取引関係にあったジャニス・ポーターとマリオ・ファルコーネが密会をしていました。

トゥーフェイスがハングマン事件の容疑者である裁判の最中、ミスター・フリーズ、ソロモン・グランディ、ポイズン・アイビーが地下から出てきて裁判所を襲います。
バットマンが応戦しますがトゥーフェイス達はハングマン事件の証拠を盗んで逃亡するのでした。

下水道のアジトでポイズン・アイビーはトゥーフェイスにキスをして誘惑して操ろうとしますがトゥーフェイスには通用しませんでした。

バットマンやスーパーマンですらポイズン・アイビーには操られるのでトゥーフェイスの精神力の強さなのか妻ギルダへの想いの強さなのか分かりませんがこれはすごいことです。

ゴッサム裁判所のエレベーター内で内偵班のウィルコックスの首に縄がかけられて吊られます。

「・・・あんた・・・何でよ、私達・・・」

ウィルコックスはハングマンに向けて疑問の声を上げて殺されました。

ハービー・デントが下水道にへと姿を消してから二日後、ポーターはジョーカーとスケアクロウにデントのところに連れられてきました。
ポーターはデントに2人に自分たちの関係を教えるように言いますがデントはポーターを銃で撃ち殺しました。

一方でバットマンとゴードン達もポーターとトゥーフェイスが繋がっていたことに気づきます。

二週間後、ファルコーネ邸のアルベルトの寝室のベッドにポーターの死体が置かれてアルベルトの手には銃が握らされていました。
アルベルトは謎の声に自殺を施されますが拒否をして鏡を撃つと中にはカレンダーマンが居ました。

2時間後、ファルコーネ邸の外でカレンダーマンが顎の骨を砕かれて気を失っていました。
カレンダーマンの足にはアルベルトをモニターしていた器具が付いていてバットマンとゴードン達が呼ばれました。

アルベルトとソフィアの姿はなく、ポーターの死体からバットマン達はトゥーフェイス達によるホリデイへの共謀だと予測します。

レイバーデイ、バットケイブではディックがハングマン事件で残されたハングマンのゲームのメッセージを見ていました。
その中で最初の事件のメッセージであった「お前達の誰も(NONE)安全ではない」ではなく「お前達、9人(NINE)は安全だ」ではないかと推理します。
9人とはソフィアを筆頭にファルコーネファミリーやマローニファミリー等のマフィアの主要メンバーを指します。
バットマンはディックに探偵としての見込みを見出すのでした。

ディックの推理を元にファルコーネのペントハウスをバットマンが調べると隠し扉が有り中にはハングマンが犯行に使っていたと思われる仮面と縄が有りハングマンのメッセージが残されていました。

メッセージを解読すると「バットマン、お前の負けだ」となります。

その時バットマンの首に縄がかかり体が引っ張られて外の建物に打ち付けられるとそこにはキャットウーマンが居ました。
なんとか縄を外したバットマンはキャットウーマンになぜ居るのか問い詰めます。

キャットウーマンは前回の事件で負傷したソフィアが治療と整形でイタリアに行っており、その詳細を調べにイタリアに行っていたのでした。
ソフィアは負傷した顔の整形治療をしましたが父親のカーマインと同じキャットウーマンの爪痕を自ら付けるのでした。
バットマンはキャットウーマンになぜソフィアに執着するのか聞きますがやはりキャットウーマンは答えません。

コロンブスデイ、トゥーフェイス率いるヴィラン達はマフィアの主要メンバーを殺して回りました。
残っているのはソフィア、アルベルト、マリオのファルコーネファミリーのみになりました。

※『ハングマン』の正体のネタバレ注意











マリオ・ファルコーネはゴードン達内偵班に保護を申し入れます。

アルベルトはカレンダーマンに撃たれて負傷をしていました。
ソフィアはアルベルトの顔に枕を押し付けて窒息させて殺します。

マリオはポーターと繋がりソフィアの動向を伝えたこと、内偵班だったローレン・ウィルコックスがソフィアと契約関係にあったことを話します。

「ソフィア・・・ソフィアがハングマンだ」


バットマンがハングマンの正体に気づいたそのとき、ゴッサムの地下から火の手が上がります。
トゥーフェイスをおびき出すためにソフィアがガス管を開き火を放ったのでした。
バットマンが地下に行くとスケアクロウが燃えていたので助けてトーフェイスの居場所を聞きます。

ハングマンのメモはハングマンの意図を告げるメッセージだとバットマンは気づきます。

お前達9人は安全だ

このゲームは二人で遊べる

悪か善か己を見極めろ

そして皆に正義を

罪故に有罪

仲間による裁き

第一級殺人

法廷の秩序

正義は盲目なり

目には目を


「昔、父にこう言われたわ。

侮られた時こそ人間は最も強くなれるのだ。

そう・・・誰も車椅子の女が犯人だとは思いもしない」

ソフィアはトゥーフェイスの首に縄をかけて吊り、立って対峙します。
ソフィアは車椅子に乗り歩けない振りをしていたのです。

ソフィアは父親の復讐としてハービー・デントが地方検事として名声を上げる人生を支えてきた警察関係者をハングマンとして殺していたのでした。
内偵班を殺害したのは真相に気づかれる恐れがあったからでした。

ソフィアはトゥーフェイスを殺そうとしますがバットマンが止めます。
バットマンはソフィアを捕まえようとしますがバットマンに助けられたトゥーフェイスがソフィアの頭を撃ち殺害して首に縄をかけて吊るします。

ヴィランの一味は地下で逃亡を図りますがバットケイブにたどり着きます。そこでディックのトラップにかかりトゥーフェイスとジョーカー以外は倒れました。

コスチュームを着たディックがジョーカーとトゥーフェイスを翻弄します。

「ガキ一人に慌てるな!」

「一人なもんか

ダイナミック・デュオだぜ!」


バットマンはトゥーフェイスを殴りながらもハービーが親友だった過去は変わらないと思うのでした。

トゥーフェイスはバットマンに銃を突きつけます。


「邪魔者は皆死んだ。これでゴッサムはオレのモノだ。」


この言葉からもバットマンはハービー・デントは既にトゥーフェイスに殺されていたと悟るのでした。

バットマンを狙っていたトゥーフェイスはジョーカーに撃たれて落下していきます。


「ヤツにゃゴッサムは理解できねえよ。オレやお前と違ってな。」


ジョーカーはバットマンを狙いますがそこをディックに突かれてジョーカーは倒されました。


ゴッサム市警の屋上、バットマンはハービー・デントの遺体が見つからなかったことをゴードンに伝えます。
ゴードンはバットマンにハングマンの事件を止めた礼を伝えるのでした。

ファルコーネファミリーで父と姉弟の家族を失い唯一生き残った不幸な男マリオはファルコーネ邸に火を放ち一人呆然と膝を抱えるのでした。

遺体が見つからなかったカーマイン・ファルコーネの墓前でセリーナはカーマインに語り掛けます。
セリーナは自分の父親はカーマインだと語るのでした。
ここの設定は映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』でも引用されていますね。

カーマイン・ファルコーネの遺体はトゥーフェイスがミスター・フリーズに凍らせて保管をしているのでした。

バットマンはディックに戦いへの決意を問います。

「何と呼んで欲しいんだ?」

「ロビン」


「バットマンとロビンだ」


バットマンは両親へのゴッサムの悪の一掃する誓いを変わらないこと、そしてもう一人ではないことを思うのでした。

こうしてハングマンの事件、ダークビクトリーは幕を閉じました。

前作で支配力を失ったマフィアの終焉とハービー・デントのトゥーフェイスへの完全なヴィラン化、そしてバットマンの相棒ロビンの誕生が描かれてここからスタンダードなバットマンの世界観へと変わっていく様が見られる作品でした。

個人的にはこの『イヤーワン』→『ロング・ハロウィーン』→『ダークビクトリー』と続くバットマンのオリジンとも言える物語構成がとても好きです。

日々闘い続ける中で結果は伴わず悲劇が続くことに悩むブルースの心理とそれでも進み続けるバットマンとしての信念が繊細に描かれているのも良いです。

バットマン:マッドネス


本編である『ダークビクトリー』とは別に短編である『バットマン:マッドネス』も収録されています。

内容としてはゴードンの姪であるバーバラ・ゴードンがゴッサムに来てマッド・ハッターに誘拐された所をバットマンに助けられるシンプルなストーリーですがゴードンに反発する反抗期のバーバラや亡き母との「不思議の国のアリス」にまつわる思い出、レスリー・トンプキンスというブルースの少年時代の支えになった存在の描き方などが丁寧で良いです。

また「不思議の国のアリス」に取り憑かれ狂気を抱えたヴィランであるマッド・ハッターの描かれ方も良いですね。地味に強かったりもします。

ちなみに本作ではバーバラはゴードンの姪ですが別の作品ではゴードンの娘だったりバットガールとしてバットマンの仲間になります。
こういう設定変更はアメコミあるあるですね。

ラストのバーバラがバットマンにお礼を言おうとしますがバットマンが既に姿を消しているのもバットマンらしくて好きです。

まとめ


バットマンを映画やゲームから好きになり、バットマンの原作コミックも読み始めた自分にとっては『イヤーワン』『ロング・ハロウィーン』『ダークビクトリー』の物語はバットマンの強さや弱さや繊細さが描かれてよりバットマンが好きになりましたね。

というわけで『バットマン:ダークビクトリー』でした!

読んで頂きましてありがとうございました!


前回の投稿からだいぶ間が空いてしまいましたが今後もこんな感じでゆる~く投稿していくと思いますのでよろしくお願いします!

次回の感想についてですが前作『ロング・ハロウィーン』と本作『ダークビクトリー』『イヤーワン』の続きの物語なのですが実は脚本はジェフ・ローブで『イヤーワン』の脚本家であるフランク・ミラーではないのです。

そして実はフランク・ミラーが脚本で『イヤーワン』の続編であり本作とは別の描かれ方をしているディック・グレイソンとの出会いとロビンへの変貌が描かれている『オールスター:バットマン&ロビン ザ・ボーイ・ワンダー』があるのです。

次回はこちらの感想を投稿しようと思うのですがこちらの作品、『イヤーワン』の時から作風がガラッと変わって登場人物ほぼ全員が攻撃的で暴力的になっています。

また読んで頂けると嬉しいです!

よろしくお願いします!

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