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実録 「何もしないリーダーシップ術」で成果を上げる方法

マネージャー(管理職)になる事は、サラリーマンとして1つの目標です。

しかし、一般社員のときは自分の仕事を全うし、成果が上げれば評価されていたのに、幹部になった途端、組織で成果を上げることを求められます。

こんな時、新任マネージャーは、どのように対処していけばいいのかについてお話しします。

1.新任マネージャーの悩み

マネージャーになると、昨日まで実務をこなして評価されていた立場から、今度はリーダーシップを発揮して成果を上げることを求められます。

しかし、メンバーと相互依存することに不安を感じる人は、しばしば「自分はプレイングマネージャーなんです!」と言って「忙しさ」に逃げ出す人がいます。

こうなってしまうと、自分が上げるべき成果を見失い、ただ闇雲に仕事に手を出して成果を上げられず悩んでしまいます。

2.マネージャー(管理職)の成果とはなんだろう

マネージャーの役割とは、変化を察知してメンバーの能力を駆使し、イノベーションを起こして成果を上げることです。

さらにメンバーの「強み」を見出して適正な学習の機会を与え、スキルや能力に昇華させることもマネージャーの重要な役割です。

つまり、イノベーションを起こすことメンバーに学習の機会を与えてスキルに昇華させるため、リーダーシップを発揮することです。

これからお話することは私の体験ですが、リーダーシップを発揮させるための1つの事例です。

3.突然 全く知らない市場、全く知らない製品を扱う海外営業部長になった日

私は某油圧部品メーカーで、30年近く自動車部品の営業をしていましたが、ある日、農業機器の油圧部品を扱う海外営業部長を任じられました。

同じ会社で扱う製品とは言え、それまで見たこともない製品、関わったこともない市場でした。

海外営業部のメンバーは、油圧製品や貿易実務のスペシャリスト集団で、技術から営業、物流まで幅広い知識と経験を持った人達です。

そんな猛者がいる中に着任すると、早々にこんなことがありました。

・何か問題があってもアテにされない、相談されない。
・質問しても、表面的なことだけで本当のことを言わない。
・製品をよく分かっている他部署の部長に相談している。
・海外物流の専門用語はさっぱり分からず、担当者から無視される。
・客先から「今度の部長は大丈夫か?」と言われている。

メンバーにしてみれば、部長たる人物が、市場も知らない、製品も知らない、物流も知らないでは疑心暗鬼になるのは当たり前です。

さて、、、どうしたものか? 

50代になって、新しい製品知識を勉強したところでメンバーに追いつく事はないだろう。まして客先への製品説明なんてできる筈もない。

このままではどん詰まり。。。
「さぁどうしよう」と悩む日々を送っていました。

4.マネージャーの役割を考えてみたら、「なーーんだ、やれることあるじゃん!」っと気がついた


マネージャーの役割は、イノベーションを起こし、メンバーに学習の機会とスキルを上げさせることだと述べましたが、それを実行するためには正しい意思決定が求められます。

つまり、マネージャーは正しい意思決定をするために、必要なことだけやればいいことになります。

そこでメンバーに私の役割を明らかにしました。

【やること】
・取引に関すること。
・価格に関すること。
・客先との関係に関すること。
・社内調整、問題解決に関すること。

【やらないこと】
・製品に関する説明
・専門的な実務作業に関すること。

これを遂行するためには、全ての情報を時系列に記録し、そこから問題点、仮説、課題、戦略戦術をコミュニケーションを通してメンバーと共有することです。

そのためのツールとして、下図(UXノート)でメンバーと共有しました。

UXノートはマーケット毎に、毎月1ページのノートを作り、メンバーからあがってくる情報を時系列に記録するツールです。

1)メンバーから毎日上がる情報を要約して記録する。

What(起きたこと) 毎日報告される問題を要約する。

Do(やったこと)  メンバーの特性を分析する。

2)ひと月終わったら、メンバーと一緒に以下の4つを話合う


できたこと(成果) 半期毎のメンバーの評価査定に使う
Why(仮説) なぜその問題が起こったのか仮説を立て、解決すべき問題は何かを分析する。
Why(課題) 成果に直結する問題を見出し、課題に落とし込む。
How(戦術) 次月にやるべきことを決める。

この6つだけに焦点を絞ってコミュニケーションをとれば、製品を知らなくてもマネジメントできます。

さらに、市場で何が起きているのか見えるので正しい意思決定ができるようになります。

さらに、「Do」と「成果」を分析すれば担当者の「強み」が見えます。

「強み」が見れば、その担当者に何を学ばせれば、どんなスキルが手に入るかが分かります。

5.楽(らく)そうにしているマネージャーは、最高のリーダーシップを取っている証拠

マネージャーは、常に変化を見出してイノベーションに繋がるかを察知し、同時に部下の強みを見出すことに注力すべきです。

このスタイルは、傍目から見ると、
「あの部長。。。いつも暇そうにしてるなぁ」
「あの部長。。。なんにもしてないのに、なんで成果があがってるんだ?」
と言われるかも知れません。

なぜそう見えるのかというと。。。

忙しく実務の追われる暇などなく、全ての情報を俯瞰し、解決すべき問題を見極め、何をすべきかを考え、その判断が正しいかどうかを検証するために現場に出向き、成果に直結する課題を見出すことに注力しているかです。

皆さんはいかがお考えでしょうか?






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