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向き合いたくないことと向き合うために。

2022年1月からスウェーデンで社会人大学院生をしています。
スウェーデンの公共報道機関SVTが発信する記事の中で、児童心理学者アンナ・ノーレンさんが『戦争について子どもと話すために』というタイトルで、3つの点に触れていました。 

年齢関係なく大人自身にとっても考えさせられることであり、戦争を超えた普遍的なコミュニケーションの形でもあると思い、重要だと思った部分を和訳の上、シェアします。

①「隠さない」- Dölj inget

現実に起きていることを隠したり、無かったことにしない。
ただ不安を隠すために「全然危ないことじゃないよ」と言わない。

相手の話や質問をよく聞いて、できるかぎり適切な形で情報をやり取りする。不安になりやすいのか、情報の扱いに慣れているのか、理解しておく必要があります。

②「正直でいる」- Var ärlig

正直に「分からない」と言って良いんです。「これからどうなるんだろう?」「近い将来に何が起こるんだろう……?」 

それは世界中の多くの人達が思っていることであり、また大人でも答えが分からないことでもあります。

③「勇気を持って聞く」 - Våga fråga

情報が手に入りやすくなった分、様々な経路から思っている以上に影響を受けていることがあります。 相手がどれくらい理解し、何を思っているのか。「どんな話を聞いてる?」「どう思ってる?」勇気を出して聞いてみます。

現在スウェーデンでは、ロシア側に近いバルト海にあるゴットランドに自国の軍隊を派遣しています。(スウェーデンでは2010年に廃止した徴兵制が2018年から復活。18歳以上の国民が毎年4,000人、男女問わず兵役についている)

色々な情報が飛び交う中で確かなことは、ロシア・ウクライナ間の戦争は「今突然に始まった」ことではないということ。日本在住歴の長いウクライナ人の方が「ロシアのウクライナへの侵略は8年前から始まっている」と仰っていました。

一方で、自国の侵略決断に断固として反対し、捕まるリスクを負ってでも決死の思いで反対活動を行っているロシア国民の方々も沢山います。 そして、中東やアフリカの紛争・内戦地域では今でも毎日人が争いによって亡くなっています。

アニメや漫画のように一方的な『悪』がいて、退治すれば世界平和……なんて簡単なシナリオはきっとありません。 

そして私達は、生活の中で自分自身のやるべきことに追われ、時間を割いて家族や近しい人間関係のことも考え、休む時には休みたい。 
そんな中で個人を遥かに超えた課題に目を向けるなんて難しい、正直考えたくない、という感情が出るのはごく自然ではないかと思います。

僕自身も個人でできることはきっと何もない、という無力感と、でもどんなに小さいことでも「何か」はきっとあるはずだ、という思いでこの文章を書いています。

また上の3つの点は戦争だけではなく、いじめやハラスメント、そしてこれからの人間関係にも通ずると、これからの対話のために残します。

【参考記事・動画】

「戦争についてあなたの子どもと話す方法」 Så pratar du med dina barn om kri

スウェーデン発|子どもを不安にさせないために|ウクライナ情勢を受けて、スウェーデンで報道されていること|子どもと戦争について語るとき【ふたりぱぱvlog】


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