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不思議な遊郭街。

あの遊郭街が俺を呼んでいる。

2019年の夏頃である。フォロワーが運転するレンタカーで、京都北部へ連れて行ってもらった。京都といえば、和風で華やかな南部と、寂れて人口も少ない北部に分かれた南北問題が顕著である。当然、京都北部は幾つもの田舎を踏破してきたフォロワーさえもビビるほどの寂れ具合だった。(その反面、新鮮さもあった)

しかし、ある地域を通りがかったとき、ふと地域に似合わず華やかな建築の遊郭街に出た。一面に赤くて格式のありそうな建物が連なる、飛田新地のような風景が広がっているが、人は誰もいない。どこか異様な雰囲気である。


「あれ…?なんか変なところに出たね…」フォロワーが言う。私もそう思った。不気味な気持ちさえ感じた。


ところが、今思い返してもフォロワーとの京都北部旅行には、そんな記憶はないのである。フォロワーとは限界集落にある学校を巡っただけで、遊郭街に出たことなどない。ならば、俺はある日見た夢の記憶と現実の体験を混同しているのだろうか?

しかしそうとも言い切れないのである。確かに見た体験がある。リアリティがある。だが現実の記憶には存在しないとハッキリとは言える。結論は出せない。確認したところで、何の意味があるのだろう。

今でも、あの遊郭街が俺を呼んでいる気がする。

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夏の思い出

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