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【読書】たのしごとデザイン論 完全版|デザインの仕事に対する考え方を解説した本

最近はデザイン書を読み続けています。デザインの考え方を仕事に活かしたいのもありますが、創作のためでもあります。

今回はたのしごとデザイン論という本を読みました。デザインとは云々から始まり、仕事に対する考え方、スキルアップの仕方などを解説した本です。

主にデザイナー向けの本ですが、この本に書かれている抽象化を使うと、専門職の中でもディレクター的な仕事すなわち、クライアントワークやスペシャリストを活かすことが求められる仕事には当てはまりそうですね。

それでは振り返ってみましょう。


デザインに対する考え方

抽象化

前半はデザインに関する考え方が紹介されています。その中でも全体を通して繰り返し登場するのが「抽象化」という言葉です。

「抽象化」は対象から要素や性質を抽出することです。例えば象から鼻を抽出すれば、見た目が象っぽいアイコンを作れます。

デザインではアイコンやデフォルメされた図などが登場します。これらは抽象化した結果なのです。

デザインはセンスという特別な才能で行うものというイメージが世間一般にあります。しかし実際には論理的思考力も発想力も必要なのです。

ちなみに本書にはセンスの解説も出てきますので読んでみてください。もちろん世間一般とは違います。デザイン書で見かけるようにインプットだと書かれています。

主役を意識する

デザインをするときは、何でもかんでも目立たせるのではなく、主役や脇役を明確にするのがよいです。ドラマや映画、舞台などのように、役柄を決めて、それに応じた目立ち度や配置をするというわけですね。

ロゴは将来に向けて

本書にはロゴとは何かに関する解説もあります。文字がロゴタイプで図がマークなのですね。デザインノートではロゴタイプとシンボルマークだった気がしますが、言い方がいくつかあるのでしょう。基本設計と外部設計、詳細設計と内部設計みたいなものかもしれません。

ロゴとマークに関して、私は企業の特徴や個性を抽象化するものだと考えていました。しかし本書ではどこを目指して進んで行くのかも含めて考えると書かれています。

これも意識した方がいいなぁと思いました。私のような趣味で創作をやっている人間は、創作用のメディアのロゴしか作りませんが、目指すところすなわちパーパスやミッション、ビジョンなどは考えた方がいいということですね。

スキルアップ

本書にはスキルアップについても色々書かれています。特に気になったのが基礎研究と応用研究の話です。

仕事では元請ならクライアント、2次請以下に所属しているのなら商流が上の会社、自分がメンバーなら上司やプロジェクトマネージャー、ディレクターなどの要望に応えていく必要があります。

つまり作りたいものではなく、作ってほしいものを作る必要があるのです。クリエイターでもエンジニアでも、モノづくりに携わる人としては、最新の表現や技術で作りたいとか、自分が最近興味がある表現や技術で作りたいというのはあると思います。

でも仕事は依頼主があってのものなので、好きなように作ることはできません。

だから多くのクリエイターやエンジニアは自分にとって興味がある表現や技術をプライベートで勉強しているのだと思います。

ここでいう仕事の部分が応用研究です。そして最新あるいは興味がある表現や技術が基礎研究に当たります。

本書では基礎研究の例が紹介されています。研究職における本来の基礎研究の意味ですと、青色LEDの材料になった窒化ガリウムの話が紹介されています。デザイナー的にはファッションショーや自動車メーカーのコンセプトモデルが紹介されています。

現実にお店で売っていてもいいのか、実用性はあるのかという観点では早すぎても、新しい表現や機能を実現できれば、基礎研究としてはOKでしょう。

基礎研究は業界のショーなどで最先端のものを見てもいいのでしょうけど、一番いいのは実験しまくってみることです。そうすることで自分の表現や技が増えていきます。

表現や技が沢山貯まると、それらを活かせる機会が出てくるでしょう。

私が創作をやっているのは、単に好きだからというのもあります。しかし創作をやることで発想力が鍛えられ、それが仕事で問題解決に役立つんじゃないかと思っています。そこで創作を通して色々調べたり考えたりしています。

本書で言う基礎研究ですね。今まで実験と捉えていましたが、基礎研究という捉え方もよさそうです。

仕事術

本書はクライアントワークにおける仕事術も沢山解説しています。その中で私が特に気になったのは、ラーメンと餃子の話です。

私自身が若い頃に解ってなかったのですが、仕事は依頼主が求めることをやるものであり、自分がこうだと思うと勝手にやってはいけないのです。

本書ではラーメンを頼まれたのに餃子を出す話が紹介されています。これじゃ困りますよね。

一方で言われたことだけしかやらない人では平凡です。もっとも下請という立場だと言われたことだけやってろという立場のこともありますが。

だからラーメンを頼まれたらラーメンを出して、ついでに餃子を試作品なのでお代は結構ですが食べてみてくださいと出すのです。依頼されたこと+αの提案をするわけですね。

言い方は上手いですが、自己啓発本でよく言われている、頼まれたこと以上の価値を顧客に出すという話です。言われたことはキッチリやって当たり前だけど、+αがあることで自分のスキルアップ、他人との差別化、顧客評価の向上が実現できるのです。

私もただ言われたことだけやっておしまいではない仕事を大事にしたいと思って、+αの価値を出せる機会をうかがっていたりします。

言われたことを上手くやる人はいくらでもいますが、言われたこと+αまでできる人はあまりいません。こだわりたい部分ですね。

終わりに

デザイン書と思って読んだら、スキルアップや仕事術まで書かれていて、予想外に収穫が多かったです。

デザイナーとしてのスキルアップや仕事術の話は、若手デザイナーが参考にするとよいでしょう。

趣味で創作をやっているアマチュアクリエイターも、プロがどういう考え方ややり方をしているかを知ることができるので、参考になると思います。

最近は趣味や特技で副業する人もいそうなので、クライアントワークの話が副業で活きてくるかもしれません。

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