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【読書】アーキテクト思考∣全体を描く考え方を学べる本

アーキテクト思考という本を読みました。

この本は建築家のように全体の構想を描く方法を解説した本です。

一方で社会の構図についても解説しており、私が今までの人生でずっと不満に感じていたことを指摘していました。

それでは振り返ってみましょう。


川上の思考と川下の思考

川上と川下の定義

本書では川下と川下という表現が出てきます。

川上は構想とか企画、変革、創業などを指します。一方で川下は制度の整った組織や伝統的企業、実行段階、安定期、オペレーションなどを指します。

ここでのポイントは川上と川下で求められる能力は違うことと、世の中は川下がマジョリティーで川下の方が声が大きいこと、そして世間一般の常識は川下の常識であることです。

川上と川下の違い

川下は役割分担された専門家がいる世界で、自分の担当範囲だけを知っていればよく、何事も多数決て決める世界です。

川上は何をするかを0から考える世界であり、全体の絵を描くため特定の知識だけ詳しくてもできません。ましてや多数決やみんなの意見なんて取り入れたらまとまらなくなります。

人の意見を参考にするのは良いですが、アーキテクトがゼロベースで主導して全体の構図を描く必要があります。

世間は川下を中心に成り立っている

世間一般の常識は川下の常識です。

多数決とかみんなと一緒は一例です。これらは常識中の常識です。

ルールが整った組織で、決められたことをみんなでやりましょうというのが世間一般では常識であり、川下の世界の常識でもあります。

勝手なことをしたり、一人だけ違うことをしたりしては迷惑となります。

また世間一般で優秀とされる人は、与えられた課題をこなすのが上手い人や、特定分野の知識が豊富な人です。

前者の代表的な例が高学歴とか大企業で優秀な人です。後者の代表的な例が士業です。

具体と抽象を行き来して考える

本書では具体と抽象を行き来して考えることが解説されています。

具体だけで考えてしまうのが川下の思考です。よその会社が上手く行ったことをそのまま採用するなどがいい例です。

他にも例えば商品Aが売れていないといったら、値引きや宣伝でもっと売ると考えるのが川下の思考です。

こういうときは売れない理由の分析や、アンケートなどによる調査から入り、売る相手を変えるとか、商品のポジショニングを変えるのが川上の思考です。

XだからYみたいな単純な対応ではなく、一歩引いて考えて、zもあるとか、Y2もあると気付けるのがアーキテクト思考なのですね。

これは私も自分のメディアで感じています。PVが今一だと、もっと沢山作ってアップすることでPVを増やそうとしてしまいます。

しかしこれでは当たり外れが大きくて中々増えません。そもそも作品や記事を作るにはかなりの労力がかかります。

そこで検索ニーズがありそうな記事は何かと考え調べたり、共感を得られる記事や曲は何かと考えたりするわけですね。

作ったら作った分だけ成果が出ることを考える必要があるわけです。

構想はみんなの意見や専門家の意見ではなく一人で考える

世の中は何事にも多数決が関わってきます。選挙だって多数決なので国家運営も多数決なのです。

企業でも全ての部署の意見を聞いて取り入れるという総花的なことが行われます。

しかしアーキテクト思考では川上の企画などのフェイズでは、みんなで考えてみんなの意見を反映するのではなく、アーキテクトが全体の絵を描くようにと解説されています。

みんなの意見を取り入れて中途半端にしてしまったり、既存の枠に縛られてしまったりしては、新たなものを生み出すことはできないでしょう。

もう一度確認すると、アーキテクト思考を使うのは上流の構想や企画の段階です。川下の既存のものを上手く回していく世界ではありません。

川上と川下のどちらが正しいとか優れているではないです。川上ではアーキテクト思考の方が適しているという話です。

とはいえみんなの意見がダメならワンマン社長はありなのかと言うと、これも微妙です。

ワンマン社長がいい絵を描ければOKでしょう。ワンマン社長の問題点は暴走です。非現実的なことを次々に社員にやらせたり、非現実的なのに一人で勝手に決定したりすることにあります。

アーキテクトの独断専行にならないためにも、最初に目的とターゲット層を明らかにして取り組みたいものです。

今まで人生で感じてきた不満が明らかになった

私はなぜこんなにも怒られなければいけないのだと腹を立てることが今までの人生で何万回とありました。

しかしこの本を読んで解りました。川下の論理に従えないからです。いつも真逆の考え方をして、正しいと言い張っているから、怒りを買いまくって叩かれまくったのでした。

この本ではイノベーションを起こすのは専門家ではなくよそ者、若者、ばか者だと書かれています。正確にはイノベーション論でそう言われていますとこの本に書かれています。

よそ者、若者、ばか者とは常識がなく、空気を読まず、深い専門知識もない人たちです。世間一般でいえば、優秀や立派とは対極的なダメな人たちです。

ところがこういう人たちの方がアーキテクト思考には適しているのです。なぜなら既存の枠にハマらずに新しい発想ができるからです。

私も落ちこぼれで非常識でダメ人間の極みとか世界最低に能力と人格と常識がないとしょっちゅう言われていますが、だからこそ究極のばか者としてアーキテクトを目指すのがいいなと思いました。

また私の場合は創作が好きですので、世界観とかルールを考えるのも好きです。まさしく落ちこぼれでばか者ならではです。

優等生なら既存のルールの理解が早く、既存のルールに上手く適合するでしょうからね。

終わりに

読んでみて実に面白い本でした。久々に思考力の本を読んだのもあるかもしれません。

私はマネジメントが好きなのでアーキテクトは私にとって縁が無いと思っていました。

しかしこの本を読んでアーキテクトはできそうだし案外向いているかもと思えてきました。

幸いにも私はマネジメントが好きといえどプレイングマネージャー派です。マネージャー兼アーキテクトができたら良さそうです。

というわけでアーキテクトができるよう頑張ってみたいと思いました。

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