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回復のはじまり。              ~トラウマからの脱却~

つらくてつらくて、とにかく目の前のことを精一杯やるだけの日々。

ふと気づくと、心の平穏が訪れていることに気づいた。

なぜ?
いつから?

きっとあの時からだ!!

歩いている時にふと、本当にふと、
「あれは母の人生だったんだ。母が感じてきた人生、私のじゃない」
そう思ったことが大きかった。

あの瞬間、初めて母の人生と私の人生が、切り離された気がした。

驚くほどに今までは、母の人生と私の人生が一致していて、母の感じてきたものが、まるで私が感じてきたかのように私の中に棲み付いていた。

それに気づいた。

「人が怖い」
「自分の身の置き所がない」
「私は独りだ」
「誰もわかってくれる人がいない」


恐怖ともいえる孤独感。
身も凍るような感覚。

そんなものに幾度となく襲われてきた。
自分の人生を振り返っても、そんな経験なんてしていない。


あぁ、あれは母が経験してきたものだったんだ。

今まで私は何を生きてきたのだろう?
私は一体誰なんだろう?
何者なんだろう?

私ってどんな人だっけ?
私という人間がまったくわからなくなってしまった。

不思議な感覚。

まるで今、今日この日から
「わたし」という人間を模索していくかのような、
今日誕生したかのような、
でも年齢は50歳すぎ。
ちぐはぐな変な感覚。

この日を境に、発作が起こらなくなった。
あれほど震えていた全細胞も、静かに鎮座しはじめた。

あぁ、あれは母の人生だったんだ。
私のものじゃない。

これほどまでに母の生い立ちに影響されていたのかと、驚いた。



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