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1on1で本当に重要なことは「リモートか、リアルか」ではなく「部下側のコミットメント」

こんにちは、bizlogueです。

今回はbizlogueメンバーの吉澤幸太のもとに最近寄せられた問い合わせの一つである「リモートでの1on1」に関して。新型コロナの影響により世の中の働き方がガラリと変わりましたが、その最も分かりやすい形がリモートワークでしょう。今やリアル出社の方が少なく、リモートが当たり前という人も多いのではないでしょうか。

そうなると、bizlogueのメインテーマである1on1もリモートでいいのか、それともやっぱりリアルで対話する方がいいのかと疑問が出てくるのは当然と言えば当然。

この「リモートでの1on1」について、『ヤフーの1on1』『1on1ミーティング』の著者である本間浩輔が考察。ただ、1on1においてはリモートか、リアルかではなく、それよりももっと大事なことがあると本間は指摘しています。


本間はリアル1on1の方が好き

吉澤 最近、相談と言いますか、問い合わせをいただいていることがあります。それが「リモートでの1on1」に関して。広く言えば1on1だけではないかもしれないですが、やっぱりリアルでの対話とは違いますし、どのあたりに注意したらいいのか。こういう相談を漠然と受けたのですが、これに関して本間さんはどう考えていますか?

本間 今、リモートをどうしようかというのは1on1に限らず一つの大きなテーマになっていますよね。ある会社は「社員はみんな出社しろ」と言いますし、それに対して「なぜ出社しなければいけないんだ」と言う人もいる。また「ウチは100%出社しなくていい」と言う会社もあって、バラバラな感じがしますよね。

吉澤 はい、そうなっていますよね。

本間 吉澤さんはどう思っています? 実際に吉澤さんの仕事としてはどのくらいの割合になっていますか?

吉澤 私に関しては95%くらいがリモートですね。

本間 そうなんだ。それで仕事はできている?

吉澤 もう、そういうものという感じになってしまっていますね。

本間 それは意外ですね。吉澤さんが90何パーセントと言った瞬間に「リアルで」と言うかと思っていたので、「それは昭和ですね」という答えを用意していたのに。

吉澤 それは期待に沿えず、すみません(苦笑)。

本間 この話題については僕もよく質問されることなんですけど、僕に関して言えばリアルの方が好きです。

吉澤 好きか嫌いかで言えば、という話ですね。

1on1の本当の目的は「上長と部下の相互作用」

本間 だけど、世の中の流れとしてはオンラインにならざるを得ない部分ってあるじゃないですか。

吉澤 ええ、それはあると思いますね。

本間 もちろん、リアルの方がいいと思います。やっぱり情報量が違いますから。

吉澤 情報量ね、それは大事。

本間 だけど、絶対にリアルじゃなきゃいけないかと言いますと、オンラインの方が便利なこともある。

吉澤 実際、そうですよね。

本間 わざわざ時間を合わせたり、そのために会社に来たりしなければいけない。僕としては社員には会社に来てほしい派ですけど、例えば1時間の通勤時間をかけて会社に来て、それだけでヘトヘトになってさらに仕事をして、終わった後にまた1時間かけて帰宅するのは非効率的。だとすると、オンラインにならざるを得ない、というふうになると思います。ただ、重要なのはオンラインかリアルかという問題よりも、1on1というものは基本的には「上長と部下の相互作用」じゃないですか。

吉澤 はい、決して一方的なものではないです。相互作用という面がありますね。

本間 だから、オンラインであるか・ないかという問題よりも、相互作用が上手く行くか・行かないか。

吉澤 ええ、そこが1on1の本当の目的ですからね。

部下側の人たちがどれだけコミットしてくれるか

本間 上長はもちろん傾聴でもって1on1に臨むし、部下はここで自分が思っていることを話そうと思っている。その相互作用、これが大事なんですよね。

吉澤 それで言いますと、ある社員の振り返りに付き合ったことがあるんです。部下を持っている管理職の人を相手に「最近、1on1上手く行ってる?」なんて話をしたんですが、その管理職の人が「先週、出張があって1on1できなかった」と言ったんです。これ、リモートだったら、出張していてもある意味では関係ないじゃないですか。もちろん、出張はそれなりの理由があって行ってるわけですし、いつもとは違うスケジュールで動いているという部分もあるとは思いますが、じゃあ15分程度オンラインでつなげないかと言うと、そうでもないはずと思うんです。普段からリモートでやっていれば、そんなに環境は違わない。そもそも部下のための1on1であれば、上長が出張だからできないというのはちょっと言い訳にはならないのではないかなと思うんです。そういう話があったなと今、連想して思い出しました。

本間 今の話を僕的にまとめると、リアルで会った方がいいには違いないですが、それを毎回できるわけではない。とすると、オンラインの利点をうまく利用しつつ、時には回数を増やすとか、そういうことができればいいなと思います。そして、それよりも重要なことは、これまで僕たちは1on1というと上長側に「頑張れ」「準備しよう」と言ってきたわけですが、部下側にもそれなりのコミットメントが必要だろうと思いますね。

吉澤 うん、そうですね。

本間 この話はまた別途したいと思いますが、オンラインかリアルか、メモを取るか取らないか、いろいろと迷うことはあると思います。多分、人事の担当者とかはよく聞かれるんでしょうね。それで答えが分からないから僕たちに相談してくれるのはすごくありがたいことですが、それよりも重要なことはやっぱり部下がどれだけ1on1の場にコミットしてくれるのか。もちろん上長がそれを受け止めることも大事ですし、1on1の時間が終わったら、この時間は忙しい上長があなたのための取ってくれた時間なんだと思い返してほしい。そして、部下の人にとっては1on1で上長に話すことは恥ずかしいし弱みを見せることになるかもしれない事柄があって、それが回り回って自分の評判につながるかもしれない、けれどもその事柄をしっかりと上長に話すことによって成長につながる――そんな感覚が重要だと思います。

吉澤 そうですよね。だから1on1は上長と部下の両方で作るものなんです。1on1研修とかをやってしまうと、ついついマネージャーだけを集めて「ああしとけ、こうしとけ」「テクニックはこれだ」みたいな感じになってしまう。もちろん、そうしたテクニックなどは応用して使うにしても、基本的には上長と部下の両者が協力し合って良い場を作っていくものですから、大事なのはその関係が作れるかどうか。これをポイントに今回はリアルでやった方がいいねとか、もっと頻度を上げるならリモートを活用するとか、こういう判断が必要なのかなと思います。ですから、どっちが良い・悪いということとはちょっと違うかもしれないので、ポイントは上長と部下のコミットメントという部分になりますよね。

本間 上長と部下の関係性については一度、ちゃんと話をした方がいいかなと思いますね。僕たちがミスリードしてしまった部分があるかもしれないので、これはまた別の機会で話したいと思います。

吉澤 はい、ぜひともよろしくお願いします。


bizlogueではYouTubeでも情報発信を行なっています

■ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法
(著・本間浩輔)

■1on1ミーティング―――「対話の質」が組織の強さを決める
(著・本間浩輔、吉澤幸太)

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