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「頭の中に“問い”がある」「1年に2回会う友だちを作る」―ビジネスの成長につながるキーワード

こんにちは、bizlogueです。

昨年、4期目を迎えた『慶應丸の内シティキャンパス(慶應MCC)』の講座『実践「1on1」の本質』もおかげさまで全てのプログラムを無事に終了することができました。受講者の方たちにとって慶應MCCの講座がビジネスにおける新たな学び、きっかけになれば幸いです。

その一方で、講師を務めたbizlogueの本間浩輔、吉澤幸太にとっても毎回、受講者の言葉や姿勢から様々な学びが得られています。

2024年最初のnoteでは、第4期『慶應MCC』の中で特に印象深かった受講者の方とのやり取りから学んだ成長へのヒント、そして、そこからつながった話題として、本間がかつてある先輩から受けた人生の教訓とも言うべきキーワードについて話します。


慶應MCCの1on1講座は4年目でさらに進化した

吉澤 2023年の慶應MCCの1on1講座が終わりました。“おかわり”も含めて全ての講座が終了したわけですが、本間さん、第4期目の講座を振り返っていかがでした?

本間 はい、昨年も満員御礼で、定員24名のところを30名くらい入っていただきました。

吉澤 そうでしたね。本当にありがたいことに。

本間 第4期の講座は、これまでの第1期から第3期までの“リハーサル”が功を奏しまして……(笑)

吉澤 そんなことを言っちゃうと語弊がありますが(笑)、回を重ねることで講座も進化していきますからね。

本間 ええ、進化した結果、良い講座になった気がします。

吉澤 そうですね。また一つ成熟したと言いますか、こちらも学ばせていただいている分、相手方もそれが上手く反射しているのか、あるいは世の中がちょっとずつ変わっているということもあるでしょうね。そういうことを感じる第4期目だったのではないかなと思います。

本間 トピックスとしては『1on1の4段階』というものがありました。

吉澤 そうか、それは今回の新しいことでしたね。

本間 これは某社の人たちからインスピレーションを受けて、また参加者の一人の方が1on1のレベル4、知的コンバットにつながる話をしてくれました。

吉澤 そうだ、言っていましたね。

本間 「1on1がぬるくて、何でもかんでも上長が聞いてくれるのは助かるけれど、これでは私は成長できないのではないか」と。この話を聞いて、僕はドキッとしました。

吉澤 そうですね。ちょっと違う角度から入ってきましたよね。

本間 その人の一言もそうですが、もちろん参加者の皆さんが慶應MCCに真摯に向き合ってくれて、参加者の方の熱意によってこちらももっと頑張らないといけない、もっと分かりやすく話さないといけないという気持ちにもなりますよね。

吉澤 ええ、前から無責任だったわけではないですが(苦笑)、もう1回引き締め直すきっかけをいただけたと思います。

頭の中で“問い”が繰り返されることで良い学びにつながっていく

本間 それで先日、講座の振り返り会と言いますか、1期から4期の修了生の皆さんに集まっていただいて、もう1回エクササイズをやりつつ、その後の飲み会も二次会、三次会くらいまであったんですよね。本当に良い仲間ができたなと思いましたよ。

吉澤 そうですね。冒頭で申し上げたように、同じ名前の講座ですけど回を経るごとに少しずつ中身が変わって進化していくという中で、参加者の方は1期分しか講座に出ていないわけですが、1期から4期の参加者同士で縦と横にも串が刺さって、もう1回そこで対話して「前回はこうだった」「今回はこうだった」というところから、また新たな気づきがいっぱいあるんじゃないかと思いましたね。

本間 1期のYさん。とっても思い入れのある人で、彼と少し話をしたんですよ。そうしたら、ほら、「コーチの資格を持っている人やキャリアコンサルタントは1on1が下手だ」と僕は割と強い表現で言うじゃないですか。それで彼はコーチの資格を持っているし、コーチを育成しているから当時はカチンと来たらしいんですよ。

吉澤 まあ、そうでしょうね(笑)

本間 それで、あの時を振り返って「あの時はこう思っていました。今はこう思っています」という話をしたんです。もちろん、僕の言い方が良くないことではあるんですけど、当時のYさんはあの後に自分で色々と考え、そして今日に至ったという感じだったんですよね。やっぱり、頭の中に“問い”がある――Yさんであれば、「コーチ資格を持っている人には1on1が下手な人が多い、ということはどういうことなんだろう?」という、そうした“問い”が頭の中にあって、しかも彼は、もちろん僕よりも優れたコーチだし、教育もしているから要所、要所で僕が言った言葉を思い出したりもしたと思うんですよね。それでその晩は若干お酒も入っていましたが、彼とすごく良い話ができたと思っているんですよ。もちろん、僕が反省しなければいけないところもあるけれど、この4年、Yさんはすごく良い学びをされていたんだなと思いましたね。

吉澤 “問い”ね。確かにそうだと思います。僕もその当時の様子を覚えていますよ、我々も講座の1回目でしたから。それで本間さんはいつもの調子でガーっとやるわけですよね。そうすると、僕は参加者の皆さんの顔を見ていましたから、皆さん「んん?」みたいな感じになってくるのが分かるんです。で、休憩時間にも参加者の方が本間さんのもとに来て「さっきのはどういうことですか?」という話になって、かなり真剣な話が初対面同士の中で始まっていたというのを覚えています。確か当時は半分ほどオンラインの人もいましたが、Yさんは実際に講座に来ていて「ん~」みたいな感じで表情が変わっていました。でもそれはおっしゃる通り、彼の中で“問い”になり、「本間さんはああ言うけど、自分はこう思う」と日々仕事をする中で、その“問い”が繰り返されてきたのではないかなと思いますね。

本間 それは逆に言うと、僕もYさんから良い“問い”をもらったんですよね。もちろん、僕の言い方も良くないんだけど、「あ、こういう反応してくる。じゃあどうしよう?」というふうに思うわけです。それで僕も毎年、コーチ、カウンセラー、キャリアコンサルタントという人たちに対して「資格というものは運転免許のようなもので持っているのは一つの証明にはなるけれど、運転の上手い人もいれば下手な人もいるし、雪道の運転が得意な人もいればそうでない人もいる」ということをちゃんと伝えなければいけないと思っているのですが、これらの伝え方に関してYさんとの対話だったり、怪訝な表情をされたことによって考えが深まって、“問い”をもらうことになっている。

吉澤 そうですね。

本間 アンラーニングなのかなという気もしますね。

自分の発想に疑問を投げてくれる人が必要

吉澤 今の話で言いますと、ちょっと強めの表現に対してそれぞれが思い浮かべる内容は違うと思うんです。なので、本間さんは思い浮かべたことに対してやや過激な方向に寄った表現で話したけど、受け手の方はそれに対してまた思い浮かべることがちょっと違う。ただ、そのことがそれっきりで互いの一方通行だとそれだけで終わってしまいますが、その後にちゃんと、僕らがテーマにしている対話を行っていくことでちょっとずつ修正されていくんでしょうね。

本間 うん、そう思いますね。

吉澤 「これはこういうことなんですか?」と対話に少し熱が入るかもしれませんが、やり取りする中で調整されていくというところでどこかに接点が見つかり、それが次につながっていく。そういった仕組みなのではないかなと思います。それが3年、4年の場合もあるかもしれないし、もっと長い場合もあるでしょうし、すぐの場合もあるかもしれないですが、これをやめちゃうと、やっぱり人がつながっていかないという一つの例だと思いますね。

本間 そう考えた時に、僕らがどういう人たちと話をしないといけないかと言いますと、アンラーン(unlearn)とか、ちょっとアレ?と思うような会話ができる人。仲良しクラブで何でもかんでも「そうだね」と言うのではなく、たまに「それは違う」とか言ってくれる人だと思います。そして、Yさんが僕らにとってありがたいのは、ちゃんと来てくれるからですよね。

吉澤 そうなんですよ。そこはリスペクトですよ。

本間 アイツにはいつもディスられるから行かないという話ではなくて、やっぱり来てくれて、積極的に貢献してくれるところが素晴らしいと思いますし、そういうちょっと違う角度から僕らの発想に疑問を投げかけてくれると言いますか、そういう人は必要ですよね。

吉澤 そう思いますね、必要だと思います。

年に2回会うことで自分も豊かになれる人とはどういう人なのか

本間 僕の大先輩が「本間、年に2回会う友だちを厳選しろ」という話をしたことがあります。年に1回会って、バカ話をする人は別にそれでいい。ただ、年に2回会う人は、その人に会うとすごく学びが深まるとか、その人の話した言葉がどんどん頭に出てくるとか、そういう人にしなさいと。それでその先輩は「年に2回会う人は自分からアポを取りに行け」とも言ったんですよね。

吉澤 なるほど。

本間 僕自身、その年に2回会うと決めている人はもちろん、話していても楽しいです。でもやっぱり、たまに“刺す”んですよね。

吉澤 刺す?

本間 「お前、それでいいの?」とか。

吉澤 ああ、そういうことですね。

本間 もっと上手な言い方だと、「俺、こんなことやっているんだよね」と。今、パッと思いついたのは、年に2回も会えることはなかなかないですが、Jリーグのチェアマンをやっていた村井満さんですね。村井さんは「お前ダメだろう」という言い方ではなくて、「俺、今はこういうことやっているんだよね」という話をしてくれて、それを聞きながら「ああ、そうだなぁ」という思いが後になってジワリ、ジワリとわいてくる。ここで言いたいポイントは、仲良しで何でもかんでもイイねと言ってくれる人ではなくて……もちろん言い方はありますよ、「お前、それ違うぞ」と言ってくれる人もいれば、もっと違う言い方でそういうことを感じさせてくれる人もいます。そのような“年に2回会ってくれる人”を厳選しろ、それがお前の人生を決めるぞというくらいのことを大先輩に言ってもらったんですよね。そういう意味においても今回、年に2回会うことで自分も豊かになれる人とはどういう人なのか、その人に自分から会ってみることでどう変わるのかということをぜひ考えていただければと思います。

吉澤 2回というのが絶妙ですよね。3回でもなく、1回なら会う人はよくいるかなと思いますが……

本間 まあ、僕らは会いすぎですよね。

吉澤 年に2回以上は会っていますからね。

本間 1カ月に2回以上は会っているんじゃないですか?

吉澤 そんなには会っていないと思いますが(笑)。まあ、今年もまた慶應MCCの講座は年明けぐらいから募集をかけるということらしいので、5期目ということになります。

本間 4回の“リハーサル”を重ねて、ということになりますので5期目の講座はもっと良くなると思います。

吉澤 ええ、良くなるはずですので、また慶應MCCの講座については今後もいろいろと続きをお話できる機会があるのではないかなと思います。


bizlogueではYouTubeでも情報発信を行なっています。

■ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法
(著・本間浩輔)

■1on1ミーティング―――「対話の質」が組織の強さを決める
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