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定年になっても『必要とされる人』になるために、今から会社の中でできること

こんにちは、bizlogueです。

今回は「キャリア自律」に関するテーマから、bizlogueメンバーで『ヤフーの1on1』『1on1ミーティング』の著者である本間浩輔が、ある“残念な3つのシナリオ”を用意しました。

この3つの話はどれもが架空のものではなく、全ての人に起こり得るシナリオ。その場面に遭遇してしまったときに後悔しないように、そして手遅れにならないために今から会社の中でできることがある――本間、そして同じくbizlogueメンバーの吉澤幸太が「キャリア自律」について考えました。


シナリオ1:会社がなくなってしまった時

吉澤 前回、『キャリア自律』というワードが出てきました。

本間 キャリアはすごく重要なテーマですし、それを自分のものとして考えることはすごく大切なことだと思います。前回申し上げたのは、目の前の仕事を一生懸命やっているだけだと、いつか後悔する時が来ますよという話でした。これはかなり挑戦的な話だとも思います。

吉澤 でも、実際にそうだということなんですよね。

本間 これはどこから来ているかと言いますと、例えば「今日の1on1は何を話す?」と部下に聞くと、「特に何もありません」という答えが返ってくる時があるんですよね。

吉澤 典型的な“1on1あるある”の1つですね。

本間 おそらくその人は「仕事で成長しなくてもいい」、「私は目の前の仕事を一生懸命やっているから」と、こう思っているんだと思います。もちろん、話すことがないという理由はそれだけではないと思いますよ。でもベースとして、人は生き残るためにも成長していかなければいけない。まあ、成長という言葉が良いのか悪いのかわかりませんが……。ただ今回、残念なシナリオを3つ考えてきました。

吉澤 ほう、3つ。

本間 1つは、会社がなくなるということはあり得ますよね。今日、ここに来る途中の駅でいわゆる労働組合の人たちが色々なことを訴えていたんですが、どうもその会社が整理されて、同じような会社を近くに作ったらしいんです。その整理された会社にいる有能な人だけが新しい会社に引っ張られて、そうではない人がクビになってしまったらしくて。

吉澤 そんな場面に遭遇したんですね……

本間 「労働を引き継げー!」って訴えているんですけど、それを見た周りの人たちはどう思ったでしょうかね。僕もかつて会社を整理するということを経験しましたが、やっぱりそういうことは現実としてあります。どんな大企業であってもこの部分だけ切り離すというパターンもありますよね。

吉澤 はい、実際にしょっちゅう起きていますよ。

本間 だから、そうなってしまった時、つまり会社がなくなったり変わったりした時でも「お前だけは来てくれ」と言ってもらえる人間になれるかどうか。これがキャリア自律ですよね。

吉澤 そういう状態を作っておくということですよね、キャリアで自律するということは。

本間 今挙げた例は極端かもしれませんが、あり得る話です。これが残念なシナリオの1つ目です。

シナリオ2:上司とそりが合わなかった時

吉澤 はい。では2つ目は?

本間 上長と合わない時ってありますよね。

吉澤 それは絶対にあります。

本間 これはハラスメントとかの話ではなくて、そりが合わないというケースってあるわけですよ。その時に辞めるという選択肢を持てないというのは不幸だと、僕は思うんですよね。

吉澤 そういうことか、なるほど。

本間 もうちょっと違う言い方しますと、かつて話題になったいわゆるブラック企業。あれを見た時に僕なんかは「辞めればいいじゃん」と思うわけです。

吉澤 単純に言えば、そう思いますよね。

本間 でも、辞められないわけです。なぜなら「次」がないから。という意味においてはやはり自分自身をアップデートして、リスキリングしていかないといけないですよね。それは自分が望むか望まないかは別として、またこれは上長が良い・悪いではなく、この人とは合わないということがあり得る。ブラック企業に限らず、ホワイト企業でもあり得る話です。そういう意味では他の選択肢を持っておいた方がいい。これが2つ目です。

シナリオ3:定年になったらどうするの?

吉澤 プランBを持っておくということですね、なるほど。では3つ目は?

本間 60歳で定年になったらどうするの?という話です。

吉澤 これは身につまされる話ですね。

本間 かつては定年まで会社にいれば、平均寿命もそれほど長くはなかったですし、年金制度もしっかりしていた。老後は2000万円あればどうのこうのという話もありましたが、今はそんな時代ではなくなってきた。

吉澤 少なくとも僕たちが子供のころに聞いていた話とは全然違ってきていますよね。

本間 どう見たって今以上の年金がもらえるとは思えないですし、物価は上がる。

吉澤 そして平均寿命も延びる、と。

本間 となると、僕たちが今一番やることは貯金ではなくて、定年しても必要とされるような人になること

吉澤 いやあ、そうなんですよねぇ……

本間 そのためには健康であることが一つの重要なことなのですが、やっぱり日常の仕事を通じながら自分が成長していって、必要とされる人になること。というふうに考えていくと、学び続けるという言葉はアレかもしれないけれど、仕事の場所で成長し続けることが大事。であれば、1on1でも「今日は何を話す?」と上長から聞かれて答える言葉が「何も話すことはありません」ではなくて、「もっと成長したいのですが」「こういう経験したいのですが」とか「上長から見て僕の仕事はどう思いますか」と、積極的に部下側から言うことができると思うんです。

会社や上司を使い倒して“信頼貯金”を作る

吉澤 そうか、学びとか成長とかになると、みんな学校に行くようになるんですよね。もちろん学校に行くことはいいと思いますが、目の前で自分のことを結構見てあれやこれやと思っている人がいるわけだから、それをもらいに行けということですね。

本間 そうそう。仕事をして、その後にお金を払って余暇時間をつぶしてまで学ぶくらいのことだったら、仕事の中で学んだ方がいい。しかもそれは業務時間としてカウントされるわけですから。

吉澤 お金を払うのではなく、もらって学んだ方がいいんじゃないかと。

本間 はい、しかも上長も使ってできることですからね。勉強とか学びとか成長と聞くとなんだか面倒だと思うかもしれないけれど、やっぱり仕事の中で適用範囲を増やしていく。そして僕たちも定年が近いのでその例で言うと、「前職でもらっていたような給料は出せないけど、ぜひこの仕事をやってくれませんか」と言ってもらえるような人になってほしい。そのためにはそういうスキルを身につけないといけないですし、ある意味、“信頼貯金”というようなものを作っていかなければいけない。

吉澤 そうですよ、そうやってプランBを作っていかないと立ちいかなくなってしまいますし、ちょっと怖いですよね。今、挙げてもらった3つのシナリオはどれも起きることですから。その中で漫然とその機会を逃していくことはとてもリスクが高いとも言えますよね。

本間 ほら、僕たちはもうこれから頑張ってもしょうもないと言いますか……

吉澤 いやいや、そんなことはないですよ(苦笑)

本間 若い人たちは時間がまだあるわけですから、外で学ぶのではなくて、今のその場を学ぶ場に変えて会社とか上司を使い倒す。そのために1on1を使うというくらいの発想を持ってもらうと、キャリア自律につながっていくのではないかなと思いました。

吉澤 キャリア自律は話せばまだまだ色々なことがあると思いますが、今回の話題は結構ど真ん中を行ったなと思いましたね。またこのテーマに関して別の切り口で話すことができればと思います。ありがとうございました。


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■ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法
(著・本間浩輔)

■1on1ミーティング―――「対話の質」が組織の強さを決める
(著・本間浩輔、吉澤幸太)

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