映画「ジョジョ・ラビット」を観て
9月10日「ジョジョ・ラビット」という映画を観た。
原題は「Jojo Rabbit」。2019年のアメリカ映画で、タイカ・ワイティティ監督の作品だ。
キャストは、ジョジョ役のローマン・グリフィン・デイヴィス、エルサ役のトーマシン・マッケンジー、ロージー役のスカーレット・ヨハンソン、アドルフ・ヒトラー役のタイカ・ワイティティなどである。
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あらすじは、
第二次世界大戦中、孤独なドイツ人少年のジョジョは周囲からいじめられており、イマジナリーフレンドのアドルフ・ヒトラーのみが救いだった。ある日、母親が屋根裏にユダヤ人の少女を匿っているのを発見したことから、政治的な考えが変わり、ヒトラーのナショナリズムに向き合うことになる。
と、いった内容。
で、観終わっての感想。
コミカルに描かれているが・・・
この映画は、第二次世界大戦中のドイツの状況をコミカルに描いている。この映画は、コミカルに描かれているので感じにくいが、もしシリアスな描き方をしていたら、相当キツい映画である。
あえてコミカルに描くことにより、いかに戦時中の洗脳が恐ろしく馬鹿げたものであったか。そのあたりを浮き彫りにする作品になったと思う。
洗脳教育の怖さを感じる
それにしても、戦時下の洗脳教育は、少年たちを「狂気の戦争人間」に育てていたことがわかる。子どもは教育により、その考え方が基礎となり大人になってゆく。ジョジョも、まさに洗脳教育の賜物だった。母親さえも、それを否定できない世の中であったことだろう。母親はこの世の中のおかしさに気づいてはいたが、それを徐々に強要しなかった。それは、ジョジョの命を守るためのアクションであったかもしれない。
ジョジョは自ら、世の中のおかしさに気づいてゆく
ユダヤ人のエルサを最初に見たときは、通報したり、自らの手で殺すことさえ考えていたジョジョ。でも、エルサと話すうちに、彼女が悪い人間ではないことに気づく。また、母親が戦争に反対して街中で処刑されたことは、ジョジョの心を引き裂き、洗脳から抜け出す大きな力となったのではないだろうか。
最後行動に、教官の愛を感じた
映画の終盤。アメリカ軍がついに街中に入り、ドイツ兵たちは捕まってゆく。ついに、ジョジョまで捕まる羽目になる。そこには、洗脳教育をしてきた教官も捕まっていた。ただ、最後に教官に愛の力が宿る。ジョジョを助けようと、あえて「このユダヤ人が!」とののしり、暴力をふるう。それは、(お前は助かれ!)と、いう最後の芝居だった。おそらく、教官はその後銃殺されたと思う。このシーンは、この映画の一番重要なシーンかもしれない。
第2次世界大戦中の、ドイツ国内の終盤の姿を、あえてコミカルに描かれている作品。いわゆる戦争映画ではなく、愛の映画に仕上げられている気がした。
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